11月3~4日にアルゼンチンのオスカー・ファン・ガルベスを舞台に開催されたスーパーTC2000シリーズ最大の1戦ブエノスアイレス200kmに、母国の英雄ホセ-マリア・ロペスがTOYOTA GAZOO Racingアルゼンティーナから参戦。持ち前のテクニックで優勝争いを展開しサーキットを沸かせたものの、マシントラブルで無念のリタイア。代わってルノー・スポールの現王者ファクンド・アルドゥソ/マリアーノ・アルトゥラ組(ルノー・フルーエンスGT)が勝利を飾り、選手権連覇に王手を掛けた。
WTCC世界ツーリングカー選手権3連覇を達成している元チャンピオンのロペスは、自らを育んだ母国のツーリングカーシリーズ最大の1戦にゲストとして登場。古巣トヨタで現在もエースを務める大ベテラン、マティアス・ロッシとペアを組み、最新のトヨタ・カローラをドライブすることとなった。
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その強力な援軍を得たロッシは予選で奮起し、見事なアタックを決めるもセカンドロウ3番手タイムが精一杯。その眼前に立ちはだかったのはルノー・スポールの2台、選手権リーダーの王者アルドゥソと、そのチームメイトであるエミリアーノ・スパタロ(ルノー・フルーエンスGT)だった。
トヨタ勢最上位の17号車でスターティングドライバーに指名された2008~09年TC2000、そして2012年のSTC2000王者ロペスは、「僕たちはスタートからアグレッシブなレースをするつもりだ。そのためにマティアス(ロッシ)は予選でもタイヤを温存してのアタックに徹してくれたんだ」と、気合充分。
「僕のレースペースはタイヤの残りライフに依存するだろう。レギュラードライバーたちに囲まれてのスタートになるだろうけれど、首位でマティアスにバトンタッチしたいと思っている」
そう語ってレースに臨んだロペスは、スタートから宣言どおりの積極的なアタックを披露。対するルノー・スポール勢もアルドゥソとペアを組むアルトゥラ、スパタロと組むルイス-ホセ・ディパルマと助っ人勢がスタートを担当する予想外はあったものの、ロペスは当初の予定どおり2周目には前を行くディパルマと接触上等のバトルを展開する。
ポジションを入れ替えながら続いた数周の勝負は、1コーナーでインを差したロペスが2番手を確保。そのままギャップを広げるとともに、首位を行くもう1台のルノーを追っていく。
同じころ、こちらも元WTCCドライバーで今季はプジョー・トタル・アルゼンティーナからレギュラー参戦するネストール・ジロラミ(プジョー408)のマシンから白煙が上がり、そのままピットへ。2014~15年STC2000王者は早々にレースを終えることとなってしまう。
続く10周目にも2016年王者で今季もタイトル争いを展開するアグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)のマシンを預かるフランコ・ヴィヴィアンがドライブ中に、クルーズのエキゾーストから炎が上がるトラブルが発生し、こちらもピットへ飛び込むとマシンから飛び降りる危機一髪の状況となり、早くもタイトルコンテンダーが姿を消す状況に。
そんな波乱を尻目に、ファステストラップを連発しながら首位アルトゥラの背後に迫ったロペスは、タイヤライフが厳しくなりオーバーテイクするには至らずもテール・トゥ・ノーズの状態で2番手をキープし、25周目にピットへと飛び込むとロッシにバトンタッチ。しかし、ここでトヨタ・カローラにもまさかの波乱が襲う。
「首位のルノーは1周後に入ると読んでいた。だから僕らは迅速なストップでアンダーカットを狙ったんだ。でもペチート(ロペスの愛称)が降りてきたとき、オイルセンサーのインジケーターは“ゼロ”を指していた。おかげでスタートでは2度もストールしたんだ」と肩を落としたロッシは、なんとかコース上に復帰したもののマシンはエンジン失火の症状を抱え、まともにドライブすることもできない状態に。
「あらゆるボタンやディスプレイを操作して、なんとかリセットを試みた。それでコーナーが迫っていることに気づくのが遅れてワイドになってしまった。それ以降マシンはストールしたまま何も応えてくれなくなった。戦略は完璧だっただけに本当にガッカリだ……」と語ったロッシは、このリタイアでタイトルの権利を完全に失うこととなった。
これでライバルの消えたアルドゥソ/アルトゥラ組のルノー・フルーエンスGTが75分制限のフォーマットに到達し、そのまま優勝。2位にシトロエン・トタル・レーシング・アルゼンティーナのファクンド・チャプル/マルセロ・チャロッキ組(シトロエンC4ラウンジ)、3位にTGRAのジュリアン・サンテロ/サンティアゴ・ウルティア組(トヨタ・カローラ)の表彰台となった。
このリザルトでタイトル争いを俄然有利にした王者アルドゥソは、いよいよ11月25日開催の最終戦コルドバでシリーズ連覇に挑むこととなる。
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