昨季中盤より新生TC2000(旧スーパーTC2000)として再スタートを切ったアルゼンチン最高峰のツーリングカー選手権は、早くも2023年シーズンの第2戦が3月17~19日に同国サンタフェ州ラファエラの高速トラックで開催された。そのオーバル戦では、今季よりYPFホンダRVレーシングとしてリニューアルしたチームのエース格、ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックTC2000)が勝利を飾り、この“テンプル・オブ・スピード”で2年連続勝利を成し遂げた。
ルノー時代にSTC2000シリーズ連覇も経験するアルドゥソは、昨季シビックのステアリングを握ってこの「地元戦」初制覇を達成したばかりで、チームの体制刷新を経ても「その成功をリピートしたい」と意気込む。
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「自分の地元と呼べるサーキットのなかで、残るはラファエラで勝つ必要があっただけだったが、その夢も昨季に実現することができた。ここはアルゼンチンのモータースポーツで最高の平均速度である時速364.796km/hのラップが記録された特別なトラックだし、そのラファエラで勝てたことはみんなへの恩返しでもあるんだ」と語ったアルドゥソ。
わずか2カ所のシケインを除いて全開区間の続くこのオーバルでは、勝利を収めるのが「容易ではないことを理解している」ものの、その方程式もまた「手の内にあるつもり」だと続ける。
「ストレートで速いクルマが必要であり、そのために他のレースと異なりセットアップが根本的に変更されている。シビック自体は最高速を武器としていないが、チームはダウンフォース獲得で重要な仕事をした。ただこの第2戦に関してのみ、個人的にはコーナーやブレーキング時のサポートより、ストレートエンドを優先したいと思う」
■決勝は熾烈な“ドラフト合戦”を制したアルドゥソが勝利を手にする
こうして始まった全長4.662kmの“テンプル・オブ・スピード”での週末は、FP1こそホンダのアルドゥソが首位タイムを刻んだものの、続くFP2は昨季2度目の王座を獲得したアクシオン・エナジー・スポーツのエース、リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)がトップに立ち、最後のFP3はTOYOTA GAZOO Racingチームのジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラTC2000)が最速の座を奪うなど、各陣営が一歩も引かない展開を繰り広げる。
そのまま現地土曜15時からの予選では、気温上昇のコンディションのなか前年覇者のマシンにまさかのトラブルが発生。わずか1ラップでピットへと戻り、最前列獲得の夢が早々に潰えることに。
代わって気を吐いたのが僚友ベルナルド・ラヴァー(ホンダ・シビックTC2000)で、最速だった王者ペーニャから0.268差の2番手タイムをマークし、トヨタのサンテロを抑え込むスピードを披露してみせた。
この結果、明けた日曜午前の11時25分に始まった35分+1ラップの決勝は、トップ10リバースにより予選10番手タイムだった新人ルーカス・ボタノヴィッチ(トヨタ・カローラTC2000)を先頭に、熾烈な“ドラフト合戦”が繰り広げられる。
中盤から終盤に掛けてファクンド・アルドリゲッティ(フィアット・クロノスTC2000)や王者ペーニャらが次々と首位交代して隊列を率いていくと、なんと最後尾から“プッシュ・トゥ・パス”も活用したシビックのアルドゥソが、猛然とポジションを挽回してくる。
事前の宣言どおり「最高速優先」のセットが施された83号車ホンダ・シビックTC2000は、チャンピオンのルノーに迫ると勢いそのままに鮮やかなオーバーテイクを披露。チェッカーフラッグが迫るなか、背後からのプレッシャーに耐え抜き首位を守ったホンダ陣営のエースが、2年連続の勝利を手にした。
2位ペーニャに続き、最後の表彰台にはルノーで帝王学を受け継ぐ18歳の新鋭イグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)が入り、スタンディングでも勝者アルドゥソにわずか2点差に迫るランキング3位に浮上している。
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