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「悪さは割り切って」「箸にも棒にもかからない」「スーパーGTへ活かす」【SF Mix Voices 第9戦決勝】

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「悪さは割り切って」「箸にも棒にもかからない」「スーパーGTへ活かす」【SF Mix Voices 第9戦決勝】

 11月10日、三重県鈴鹿市に位置する鈴鹿サーキットで、全日本スーパーフォーミュラ選手権最終戦『第23回JAF鈴鹿グランプリ』の決勝レースが行われ、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が連勝を飾った。2位は坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)、3位には福住仁嶺(Kids com Team KCMG)が入っている。

 その結果、坪井が2024年シーズンのドライバーズチャンピオンに輝いた。ここでは決勝後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、ドライバーたちが決勝レースについて語った内容をお届けする。

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■大津弘樹(TGM Grand Prix)
予選13番手/決勝未完走

 第8戦ではステアリングのトラブルで途中リタイアとなった大津。第9戦は予選で13番手につけるもトラブルが完全に解消されず、第9戦も25周でリタイアとなった。

 このステアリングトラブルには金曜日の走り出しから悩まされ続けていたという。

「開幕戦で松下(信治)選手が走ったデータがあったので、ポテンシャルとしては良いかなと思って期待をしていたのですけど、FPの走り出しからトラブルに見舞われていました。(日曜日の)最後のトラブルとFPの走り出しのトラブルがまったく違いました」と大津。

「金曜に良くなかったところを改善して土曜日に臨んだんですけど、また違ったフィーリングになっていました。そこのポイントも見直して『ここだ!』というのを見つけて決勝に臨んだんですけど、決勝でいざ走ると違う……。ステアリング操作時の違和感があって自分が思っているのとは違う動きをしてしまいます。そういう状態ではクルマのポテンシャルを引き出せなくて結構厳しかったです」

「チームの皆さんも頑張っていろいろ見てくれて、それこそダンパーとかも確認をしました。足回りとかアームとか、(原因は)その辺なのかなという目星を付けられて終わることができました」とは語るものの、最終大会で2レースとも本来のポテンシャルを発揮できずに終了。

「せっかく起用していただいたのに、こういう結果で終わるのは悔しいですね」と大津は肩を落としていた。

■笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)
予選7番手/決勝14位

 第9戦の予選では今季自己ベストとなる7番グリッドを獲得した笹原。シーズン後半になってQ2進出の機会も増え、ショートランについては手応えを掴んでいる様子だった。

 予選は今シーズンベストだったと思います。もうちょっと『こうしたい』というところはありましたけど、現状のなかではうまくまとめられたかなと思います。ただ、ライバルとの差が僅差だったのでうまくいけば5位になれたかなというところはありましたけど、それは仕方ないのかなと。振り返ると開幕戦は最後尾に等しいレベルだったので、そう考えれば大きな成長を遂げられてたのです」と笹原。

 しかし、決勝では序盤からペースが上がらず、前半は牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)に追われる展開。10周目のピットストップで2つポジションを上げるも、後半はさらに苦戦を強いられ、最終的に14位でレースを終えた。

「1スティント目から『厳しいな』という感じでした。4周目以降は牧野選手をディフェンスするだけで精一杯でした。前でバトルをしていても追いつけないので、ミニマムで入るという選択肢をとりました」と笹原。

 2スティント目はもっと苦しくなってタイヤもタレてしまいました。昨日のレースではそんなにタレることがなかったので、ちょっと不可解ですね。箸にも棒にもかからない感じで、どうにもならなかったです。

「1年間、決勝のペースに苦しみましたが、自分の中でやれることはある程度カバーできたかなと思います。ここまで解決の糸口が見つからないまま終わるのは悔しいですね」と険しい表情をみせていた。

■木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)
予選15番手/決勝11位

 15番グリッドからルーキーイヤー最終戦に臨んだ木村。11周目までに15台の車両がピット義務を果たすなか、木村はピットインを引っ張る作戦を採る。これは、レース序盤のマシンの状態を的確に見極めた結果の判断だった。

「タイヤを無理に使っても、後半ダメになるだけだと思ったので、レース前半ペースが悪いのはもう割り切って、タイヤをセーブすることにしました。ペースアップしようと思っても上がるタイムは知れていたので」

 周囲のマシンが続々とピットへと向かい、前が開けたところで、木村はプッシュを開始。18周目にピット作業に向かうと、見事にオーバーカットを成功させ実質13番手でコースへと復帰した。「いいドライビングができたと思います」と、木村は中盤のプッシュを振り返る。

 レース後半、タイヤを労るために「アウトラップだけは慎重に行った」木村だが、タイヤに熱が入るとチェッカーまでは全力プッシュ。2台をオーバーテイクして11位でフィニッシュした。

「前のクルマを抜けばポイント獲れるというのは分かっていたので、最後までずっとプッシュしました。最後、あと一歩ペースが足りなかった感じですが、でも出し切ったので悔いはないというか、やり切ったレースだったなと思います」

 そして木村は、後半スティント開始直後に1分40秒441という、このレースのファステストラップも記録している。

「一年の集大成として、自分の出せる力を出し切った結果だと思うので、そこは自信を持って、胸を張って帰れるかなと思います」と、ひとつの収穫を手にして、一年目のシーズンを終えることができたようだ。

■平良響(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)
予選19番手/決勝17位

 続いて、今回の鈴鹿JAFグランプリが自身3度目のスーパーフォーミュラ参戦となった平良。好走を見せた富士以来の入賞を目指したが、隊列後方でスティントの大半を過ごして17位完走となった。

「大きく順位をアップするには、セーフティカーがあったり、クリアなところで速いタイムで走るという戦いが必要になってくるので、(19番手から)大きくポジションアップするためにピットタイミングを引っ張る作戦を採りました」と平良。

 しかし、肝心のレースペースで他を凌ぐパフォーマンスを発揮できず。「(ピットタイミングを遅らせて)前がクリアになったなかでもペースは良くなかったので、富士の時みたいなレースはできなかったのかなと思っています」と悔しさを言葉にする。

 そうは言いつつも、隊列の最後尾で合流したあとは3台をパスする追い上げを見せた平良は、「今回は後半スティントで追い上げる作戦だとわかっていたので、ちゃんと抜くためのOTS(オーバーテイク・システム)を残していました」と、レースの組み立て方でうまくいった面についても触れた。

「なので、後半スティントではOTSのタイミングをライバルとずらしたりしながらバトルをして、なるべくロスのないように抜くことができたと思います」

 ただ、「欲を言えばまだまだ結果を出したいですし、悔しいですよ」と、実力を示すチャンスをものにできなかったことが悔しい様子。

「その気持ちをこれからどうすればいいのか、ちょっとわからないですが、ドライビングについての課題も見つけられたので、まだ残っているスーパーGTの最終戦鈴鹿へと活かしたいです。あとは、いつでもまたチャンスが来てもいいように、次があると思って準備をしていこうと思います」と改めて意気込んで鈴鹿を後にした。

■佐藤蓮(PONOS NAKAJIMA RACING)
予選4番手/決勝5位

 前戦富士ラウンドで調子を上げ、優勝経験者らと争っていた佐藤。迎えた最終戦の鈴鹿JAFグランプリでも引き続き上位を争う走りを見せ、第9戦では4番手スタートから5位となった。

 表彰台まであと一歩の入賞を果たした第9戦については、11周目のピットイン時に不運があったことを明かした。

「スタートでは遅れてしまったものの、その後に野尻(智紀/TEAM MUGEN)選手をオーバーテイクすることができました」

「ただ、ピット作業を終えたタイミングでKONDO RACINGの1台(山下健太)とタイミングがかぶってしまったので、アンセーフリリースの懸念もあり、少し遅れてコースへ向かいました」と佐藤。

「その結果、結構後方での合流となってしまいましたね」

 ただ、レースペースにはいい手応えを得ることができた様子で、「トップのふたりには及ばなかったかもしれませんが、表彰台に乗れるポテンシャルはあったとは思います」と悔しさを示す。

 今季はシーズン後半にかけて調子を上げた佐藤だが、その要因にはエンジニアとのコミュニケーションを挙げ、次のように語った。

「やっぱり、加藤(祐樹)エンジニアとのコミュニケーションで、欲しいポイントを自分から伝えられるようになって、より理解してもらっているからだと思います」

「とくに前戦の富士大会からは、シミュレーターも含めてやってきたことがマシンにもうまく反映できていたので、そういったところから調子が上向きに傾いていったのかなと思います」

 もちろん来年のレースへも、そのままの勢いで臨みたいところだろう。まだ来季の予定は明かせない様子だが、「レースペースの強さがトップに及ばないということは痛感したので、ルーキーテストのときに自分も乗れることになるのであれば、そこを補強したいなと思っています」と佐藤。表彰台に上がるために見えてきたヒントを、早く次に活かしたいという様子だった。

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