積算1万3375km 低く構えたスタイリング
高級車がひしめくロンドンの目抜き通りで、注目を集めるモデルは限られる。男の子が、 アウディeトロン GTへ熱い視線を送っていると気づいた時は、少し驚いてしまった。低く構えたスタイリングが、カッコよく映ったのかもしれない。
【画像】走りの洗練度はトップクラス アウディeトロンGT 技術を共有するタイカン Q8 eトロンも 全143枚
ゆっくり発進しようとすると、彼は母親のスマートフォンを借りて写真を撮りだした。eトロン GTの前には、ポルシェ911 ターボも停まっていたのだけれど。
積算1万3965km 長距離旅行の経験者が複数
AUTOCARの読者には、アウディeトロン GTで長距離旅行を楽しんだ経験を持つ方が複数いらっしゃるようだ。スペイン・マドリードからルーマニア・ブカレストまでや、アメリカのコロラド州からフロリダ州までなど、かなりの距離を走った猛者もいる。
それと比べれば、英国ロンドンからイタリア・ベローナまでのドライブなど、大したことはないかもしれない。新しいモノへ関心を抱くアーリーアダプターとして、強い冒険心をお持ちなのだろう。
それでも、今回の長期テストで重ねた走行距離は1万4000km近い。スコットランドやベルギー、オランダ(ネザーランド)など、複数の国を訪問した。その過程を通じて、じっくり特性を確認することができたと思う。
現在のモデルでトップクラスの洗練度
クルマという製品としては、素晴らしい水準だったといえる。不意にリモコンキーが数日使えなくなった事はあったものの、充電は毎回滞りなく、インフォテインメント・システムも好調に動き続けた。
動的特性で気を揉むような部分はなく、走行中に内装が振動することもなし。長時間を一緒に過ごしても、新たな弱点の発見はなかったといっていい。
細かい点を指摘するなら、パーキングセンサーが少し過敏なところ。初めての縦列駐車で、アラームが鳴り歩行者に当たりそうなのかと思ったが、リアタイヤが縁石へ150mmくらいまで接近しただけだった。
eトロン GTは、極めて洗練されていた。現在販売されているモデルでも、トップクラスだろう。インテリアの雰囲気と動的特性のマナーが、ここまで調和しているモデルは非常に珍しいとも思う。
確かに、カテゴライズが難しいクルマかもしれない。スーパーサルーンではない。BMW M3にスタートダッシュでは勝てるかもしれないが、BMW M5やメルセデスAMG E 63と競争できるほどの鋭さは備えていない。
リアシートの広さは、ボディサイズを考えれば狭い。ポルシェ911よりは広いけれど。シャシーはミドシップ・スポーツカーのようなバランスと落ち着きを得ているが、全長が長く車重は重い。4ドアのスポーツクーペという感じでもない。
実際の航続距離がアキレス腱
こう考えると、eトロン GTはその中間に収まるように思う。アウディで例えるなら、S8とR8の特徴を掛け合わせたような、絶妙なポジショニングにある。望ましいクルマが出来上がりそうに思えるが、実際そうだった。
イタリアから英国へ戻る途中、eトロン GTはアルプス山脈の険しいワインディングを越え、ドイツの長大なアウトバーンを突き進んだが、そのすべてを自然にこなした。市街地の渋滞に巻き込まれても、静かな車内はリラックスするのにピッタリだった。
長距離旅行を、まったく動揺せずに受け入れてくれた。航続距離という縛りを除いて。
グランドツアラーとして、現在のバッテリーEV技術は充分といえただろうか。少なくとも、筆者の日常には見事にフィットしてくれた。高精度なパワートレインと、活発で静かに市街地を巡れる能力は、筆者の気持ちをしっかり掴んだ。
優しい乗り心地と操縦性との兼ね合いや、パノラミック・ガラスルーフとレザー内装が生む居心地の良さ、精悍なスタイリングなど、現代的なグランドツアラーとして不満ない内容にある。それ故に、380km程度という実際の航続距離は、アキレス腱のようだった。
一層の「技術による先進」を期待したい
欧州各国で急速充電器の普及が進んでおり、数年前のように充電で大きなストレスを感じることはなくなっている。先の利用者がいても、数分待てば大丈夫。eトロン GTなら、15分前後で駆動用バッテリーは満たされる。
もちろん、380km走れるから、普段使いで電欠に陥ることは稀だろう。自宅に充電器を設置していれば、とても快適に付き合えるはず。
それでも、「技術による先進」をキャッチコピーに掲げるアウディとして、380kmが充分な数字だと筆者は思わない。テスラやメルセデス・ベンツ、ヒョンデなどは、より安価なモデルで、優れた動力性能と航続距離を実現している。
eトロン GTは、沢山の魅力を備えたバッテリーEVだと思う。だが、革新性でクラスを牽引するほどではない。550kmが現在の理想値かもしれない。2代目では、それ以上が叶えられると期待したい。
セカンドオピニオン
eトロン GTの内側にある技術が、革新的だとはいえないだろう。より遠くまで、より速く走れるバッテリーEVを、英国では3万ポンド(約543万円)前後で探せる。
しかし、スタイリングは凛々しく存在感がある。自動車の転換期にある今、歓迎すべきデザインの進化だといえる。 フェリックス・ペイジ
テストデータ
気に入っているトコロ
動力性能:殆どの場面で余裕がある。追い越しにはまったく不足ない
インテリア:実際に押せるハードスイッチが残され、内装の素材は高品質。機能と見た目が両立している
積載能力:フロントにも小さな収納があり、リアの荷室容量は405L。リアシートも使えば、相当量の荷物を運べる
使い勝手:ボディサイズは大きめながら、慣れれば市街地でも扱いやすい。
気に入らないトコロ
航続距離と力強さ:一度の充電で走れる距離の短さが惜しい。反面、電費は落ちるかもしれないが、ダイナミック・モード時のトルクカーブはもっと積極的でいい
走行距離
テスト開始時:122km
テスト終了時:1万3965km
価格
モデル名:アウディeトロン GT フォアシュプルング・クワトロ(英国仕様)
開始時の価格:11万2850ポンド(約2042万円)
現行の価格:11万1285 ポンド(約2014万円)
テスト車の価格:11万6315ポンド(約2105万円)
オプション装備
フルレザー・パッケージ:1665ポンド(約30万円)
タンゴ・レッド・メタリック塗装:950ポンド(約17万2000円)
eトロン・スポーツサウンド:500ポンド(約9万円)
シングルフレームグリル・ボディカラー:350ポンド(約6万3000円)
燃費&航続距離
カタログ航続距離:479-492km
駆動用バッテリー容量:83.7kWh (実容量)
平均航続距離:378km(4.5km/kWh)
最高電費:5.4km/kWh
最低電費:3.8km/kWh
主要諸元
全長:4989mm
全幅:1964mm
全高:1413mm
最高速度:244km/h
CO2排出量:−
車両重量:2347kg
パワートレイン:ツインAC永久磁石同期モーター
バッテリー:83.7kWhリチウムイオン
最高出力:475ps
最大トルク:65.1kg-m
ギアボックス:1速リダクション
急速充電能力:270kW
トランク容量:405L
ホイールサイズ:20インチ9J(フロント)+20インチ11J(リア)
タイヤ:245/45 R20(フロント)+285/40 R20(リア) ピレリ・エレクトP7 チントゥラート・ブルー
メンテナンス&ランニングコスト
リース価格:1340ポンド(約24万3000円/1か月)
CO2 排出量:0g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:30ポンド(約5000円:タイヤ修理)
充電コスト:1382ポンド(約25万)
充電含めたランニングコスト:1412ポンド(約25万5000円)
1マイル当りコスト:0.16ポンド(約29円)
不具合:なし
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