世界ラリー選手権(WRC)の2024年シーズンは最終戦ラリージャパンにして予想外の展開を迎えた。ラリーリーダーだったヒョンデのオット・タナク/マルティン・ヤルヴェオヤ組がクラッシュで姿を消し、ふたつのステージを残しマニュファクチャラーズランキングではヒョンデとトヨタが553ポイントで同点で並ぶ計算に……タイトル防衛を目指すトヨタは、勝田貴元に最終パワーステージで“攻撃命令”を下すようだ。
今年からWRCのポイントシステムは大きな変更を受けた。まずラリーを走りきったトップ10のドライバーに土曜日までの総合順位でポイントが配分され、日曜日は“スーパーサンデー”として独立した順位でトップ7に再びポイントが与えられる。
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タナク組がクラッシュしたことで、SS19までの結果でスーパーサンデーも含めたポイントを計算すると、トヨタはヒョンデとマニュファクチャラーズランキングで553ポイントで並ぶことになる。つまりタイトル争いの行方は、残る2ステージで左右されることになった。
マニュファクチャラーズランキングでは、各メーカーの上位入賞2名のみがポイント獲得の対象となるため、トヨタ陣営内で3番手となる勝田はその対象から外れているが、最終パワーステージではステージ上位5名にボーナスポイントも付与される。1点の重みが非常に大きい中で、勝田はリスクを負うことができる立場にいるのだ。
トヨタのWRCチームを率いるヤリ-マティ・ラトバラ代表は、現状では残るヒョンデの2台が強力な走りを見せているとしながらも、マニュファクチャラーズタイトル争いにおいて勝田がキーパーソンになると語った。
「こんなことが起こるなんて信じられなかった。(タナクが)コースオフして、ポイントで並ぶ機会が訪れた。パワーステージに向けて同点なんて、これまでこんなことはなかった」
DAY4午前のループをそう振り返ったラトバラ代表は、次のように続けた。
「今朝はヒョンデが非常に強かったみたいだ。我々は少しステップアップする必要がある。しかし今、タカはマニュファクチャラーズタイトル争いにおいて大きな役目を担っていると思う」
「少なくとも我々には3台のマシンがいるから、少しチャンスはあるはずだ。ただ、今朝のアンドレア(ミケルセン)やティエリー(ヌービル)のドライビングは強力だった。我々もどこかでスピードを引き出す必要がある」
ラトバラ代表はこれまで、勝田に対して攻めた走りを控えるよう指示していたが、パワーステージでは攻めに転じるよう伝えると明かした。
「少しクレイジーな状況だが、今は彼がアタックできる。これまで彼にはアタックさせていなかったが、攻める時がやってきた」とラトバラ代表は言う。
「彼は素晴らしい走りを私に見せてくれたし、コンスタントに走れるということを示してくれた」
総合順位で4番手につける勝田は、マシンの手応えが「しっくりきていない」と語りつつも、母国のファンの前で思い切り走りたいという思いを抱えていたと明かした。
「この後チームと話して、どういうふうにパワーステージに行くか議論することになると思います。ここまで持ってくるのは最低限の仕事だったので」と勝田は言う。
「個人的にはもちろんプッシュして良い形で終わりたいですし、これだけのファンがいる前で、僕も思い切って走りたいという気持ちが今週末がずっとありました」
「どういった形で最終パワーステージにつながるか、話してみないと分かりませんが、チーム的には行くしかない状況です。ライバルのタイムを見ながらになるかもしれませんが、とにかく、このチャンスをしっかりモノにできるようにしたいと思っています」
2ステージを残し、スーパーサンデーではヒョンデのヌービルとミケルセンがワンツー。ただ差はわずかであり、トヨタが逆転する可能性は十分残されている。
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