スーパーバイク世界選手権(SBK)第6戦チェコラウンドがオートドローム・モストで行われ、レース1はアルバロ・バウティスタ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)、スーパーポール・レースとレース2はトプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith BrixxワールドSBK)が優勝を飾った。
野左根航汰(GYTR・GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)はレース2で13位フィニッシュを果たしている。
シーズン前半戦締めくくりとなるチェコラウンドは、第3戦エストリルラウンドの転倒で大腿骨頸部を骨折し、回復中であるマイケル・ファン・デル・マーク(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)が引き続き欠場。代役として、前戦イギリスラウンドにワイルドカード参戦したピーター・ヒックマンがエントリーした。
■レース1:チャンピオンシップトップのバウティスタが今季7勝目
スーパーポールではジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)がポールポジションを獲得。2番グリッドにはラズガットリオグル、3番グリッドにはマイケル・ルーベン・リナルディ(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)、そして4番グリッドにバウティスタが並んだ。野左根は15番グリッドからのスタートとなった。
レース1は気温19度、路面温度25度のドライコンディションで始まった。1周目にトップに立ったのはラズガットリオグルで、その背中にはレイがぴたりとつける。さらに少し離れてバウティスタが3番手で続き、ラズガットリオグル、レイ、バウティスタがいつものように後方を引き離していく展開となる。
僅差でラズガットリオグルを追っていたレイは、6周目にラズガットリオグルにオーバーテイクを仕掛ける。このときはラズガットリオグルにトップを奪い返されるも、その翌周の15コーナーでラズガットリオグルをパス。再び1コーナーでトップに立とうとしたラズガットリオグルからポジションを奪還し、レイがトップに立った。さらに10周目にはラズガットリオグルがレイをかわすも、再びレイがラズガットリオグルをパスする。
ラズガットリオグルとレイによる激しいトップ争いが続く中、バウティスタが10周目にラズガットリオグルをかわして2番手に浮上。さらに11周目に入るメインストレートでレイの前に出ると、1コーナーでトップに立った。そしてこのころ、コース上の一部には雨粒が落ち始める。レースは難しいコンディションとなった。
13周目になると、4番手を走っていたスコット・レディング(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)がトップ3に追いつき、トップ集団は4人のライダーによって形成される。レディングはラズガットリオグル、レイをかわして、16周目で2番手に浮上した。このころ、トップのバウティスタは後方との差を広げつつあり、レディング、レイ、ラズガットリオグルがワンパックとなって2番手争いを展開していた。
残り3周、1コーナーでラズガットリオグルがレイをオーバーテイクし、3番手に浮上する。最終ラップ、ラズガットリオグルが15コーナーでレディングをかわし、さらにレイがレディングのポジションをねらう。激しい表彰台争いは最後まで続いた。
バウティスタは終盤にトップを独走し、今季7勝目を挙げた。バウティスタの優勝によって、ドゥカティはSBKで1000回目の表彰台獲得の記録を達成している。2位はラズガットリオグル、3位争いを制したのはレディング。レイは0.115秒差の4位だった。
5位に入ったのはアクセル・バッサーニ(モトコルサ・レーシング)、野左根は18位でチェッカーを受けた。
■レース2:ラズガットリオグルが2レースで勝利
スーパーポール・レースは序盤、ラズガットリオグルがトップを独走。しかし終盤に2番手のレイがラズガットリオグルに接近し、最終ラップにわたって激しいトップ争いを展開した。レイはラズガットリオグルにオーバーテイクを仕掛けた15コーナーでラズガットリオグルがイン側の足を出したところに飛び込むも、オーバーラン。この結果、ラズガットリオグルが優勝を飾った。この優勝によって、ヤマハはSBKにおける100勝目に到達した。レイはグラベルに入ったもののコースに復帰し、2位。3位はバウティスタが獲得。野左根は16位でレースを終えている。
レース2は気温27度、路面温度38度のドライコンディション。このレースでは、アレックス・ロウズ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)は胃腸炎が悪化したため、ユージン・ラバティ(ボノボ・アクションBMW)は前腕の機能障害により欠場となっている。
スーパーポール・レースの結果により、ポールポジションにはラズガットリオグル、2番手にはレイ、3番手にはバウティスタが並ぶフロントロウとなった。ポールポジションスタートのラズガットリオグルが好スタートを切る一方、レイはスタートで5番手に後退する。2番手にはバウティスタ、3番手にはリナルディとAruba.it レーシング-ドゥカティの二人が続く展開だ。
レイは3周目までにバッサーニとリナルディをかわして3番手に浮上。レイにかわされたリナルディは4周目の1コーナーのブレーキングでレイの前に出るも、その瞬間にスリップダウンを喫して転倒リタイアとなっている。
トップがラズガットリオグル、2番手がバウティスタ、3番手がレイ、この3人がトップ集団を形成した。バウティスタは6周目の1コーナーでラズガットリオグルに仕掛けるが、ここでオーバーラン。コースに復帰したものの、3番手に後退した。代わって2番手に浮上したレイはラズガットリオグルとのテール・トゥ・ノーズのトップ争いを展開。7周目の1コーナーで、ラズガットリオグルをオーバーテイクする。しかしその翌周、やはり1コーナーでラズガットリオグルがレイからトップを奪い返した。
さらに、この二人にバウティスタが再び接近。トップ争いは三つどもえの様相を呈し始める。11周目、1コーナーでレイ、さらにバウティスタがラズガットリオグルをかわすと、レイがトップ、2番手にバウティスタ、そしてラズガットリオグルが3番手にポジションを入れ替える。さらに13周目、メインストレートでバウティスタがレイの前に出ると、ついにトップに立った。
15周目にはラズガットリオグルが1コーナーでレイをかわし、2番手に浮上。ラズガットリオグルは16周目にバウティスタをとらえ、トップを奪還した。ラズガットリオグルは18周目にファステストラップを叩き出すと、バウティスタとレイを引き離し始める。このときラズガットリオグルが記録したファステストラップは、これまでのファステストラップのレコードを更新するものだった。なお、ラズガットリオグルは残り3周でもファステストラップをさらに更新する1分31秒705をマークしている。
終盤に入って、ラズガットリオグルとバウティスタ、レイとの差は開いていった。一方、2番手のバウティスタを追いかけていたレイも、少しずつバウティスタとの差が大きくなっていく。
ラズガットリオグルはトップをキープして優勝を飾った。2位はバウティスタ、3位はレイが獲得。この結果、チャンピオンシップのランキングは変わらないものの、ラズガットリオグルはランキングトップのバウティスタに対し38ポイント差、ランキング2番手のレイに対し7ポイント差に接近した。シーズン前半戦を終え、チャンピオンシップはますます混戦模様となった格好だ。
4位にはレディングが入り、5位はバッサーニ。野左根は13位でフィニッシュし、ポイント獲得を果たした。
スーパースポーツ世界選手権(WSS)のレース1は、スタート直後の1コーナーで5人のライダーによる多重クラッシュが発生。ドミニケ・エガーター(テンケイト・レーシング・ヤマハ)など5人がリタイアとなり、エガーターの連勝記録は9で途絶えることになった。レースはロレンソ・バルダッサーリ(エヴァンブロス.ワールドSSPヤマハチーム)が独走で優勝。2位はステファノ・マンジ(ダイナボルト・トライアンフ)、3位はスティーブン・オーデンダール(カリオ・レーシング)が獲得している。エガーターはメディカルセンターで走行可能と診断されたが、転倒後の“スポーツマンらしからぬ行動”により、FIMスチュワードからレース2の出場停止処分が下された。
レース2ではレース終盤にバルダッサーリとニコロ・ブレガ(Aruba.itレーシング・ワールドSSPチーム)がトップ争いを展開。しかし、残り4周のメインストレートで発生した転倒によって赤旗終了。優勝はバルダッサーリ、2位はブレガ、3位はマンジが獲得した。
スーパースポーツ300世界選手権(WSS300)では、レース1がウエット宣言。12周で争われ、優勝はマルク・ガルシア(ヤマハMSレーシング)、2位はユーゴ・デ・コンセリス(プロディーナ・レーシング・ワールドSSP300)、3位はアルバロ・ディアス(アルコ・モーター・ユニバーシティ・チーム)が獲得した。岡谷雄太(MTMカワサキ)は21番グリッドスタートで、20位だった。
レース2では1周目に発生したクラッシュにより赤旗中断。レースは9周で再開された。しかし残り3周、17コーナーで発生した転倒により再び赤旗が提示され、レースは終了。優勝はビクター・スティーマン(MTMカワサキ)、2位はディアス、3位はレノックス・レーマン(フロイデンベルグKTM-パリゴ・レーシング)。岡谷は大きく順位を上げ、7位でレースを終えた。
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