WRC世界ラリー選手権は6月16日、第8戦イタリアの競技最終日を迎え、前日総合首位に立ったオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)が逃げ切るかと思われたが、最終ステージでマシントラブルとスピンが重なり後退。ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)が逆転で2019年シーズン初優勝を飾った。
2019年シーズン8戦目となるラリー・イタリア・サルディニアは、地中海に浮かぶイタリア領サルディニア島を舞台としたグラベル(未舗装路)イベント。ラフな路面コンディションと厳しい暑さがクルーに襲いかかる1戦だ。
第6戦チリ、第7戦ポルトガルで優勝し、勢いに乗るタナクは、セバスチャン・オジエ(シトロエンC3 WRC)など上位陣がアクシデントで姿を消すなか、着実に上位を走行。14日の競技2日目を終えた時点で首位と11.2秒差の総合3番手につける。
タナクはこの大会最長距離で争われた競技3日目にさらにペースを上げると、この日行われた6SSすべてでトップタイムを記録。25.9秒の大量リードを築いて総合首位におどり出た。
迎えた競技最終日はSS16~19の4ステージで争われる1日。タナクは着実にマシンをフィニッシュへ持ち帰り、リードを26.7秒として最終ステージのSS19へ臨む。
しかし、この最終ステージでタナクはトラブルからパワーステアリングを失ったと見られる上、ステージ序盤でハーフスピン。体勢を整えるのに大きく時間がかかり、1分25秒以上のタイムをロスしてしまう。
その後もタナクはトラブルを抱えたステアリングと格闘しながらフィニッシュへたどり着いたものの、ステージトップから2分以上遅れて総合5位に後退。代わって先に走行を終えていたソルドが逆転で総合優勝を飾った。総合2位はテーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)でシーズン初表彰台。総合3位にはアンドレアス・ミケルセン(ヒュンダイi20クーペWRC)が入っている。
劇的な逆転で自身2度目の総合優勝を手にしたソルドは「本当に信じられない気分だ。今回の勝利はタナクに不運があったせいで手にしたものだけど、僕にとって2度目の総合優勝を達成できてうれしいよ」と涙まじりに喜びを語っている。
サービスパークで走行を見守っていたTOYOTA GAZOO Racing WRTのチーム代表、トミ・マキネンはタナクに起きたアクシデントについて「このシーズンでもっとも一番がっかりした出来事だ。まだ信じられない。何が起きたのかまだわかっていないが、しっかり調査する」とコメントした。
勝利目前でトラブルに見舞われたタナクだったが、総合5位に食い込んだことでドライバーズランキングでは150ポイントで首位に浮上。4ポイント差でオジエ、7ポイント差でティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が続いている。
マニュファクチャラーズランキングでは、2台を表彰台に送り込んだヒュンダイが242ポイントでトップを維持。198ポイントでTOYOTA GAZOO Racing WRT、170ポイントでシトロエン、152ポイントでMスポーツ・フォードとなっている。
下位クラスのWRC2では、競技3日目終了時点で勝田貴元(フォード・フィエスタR5)がクラストップにつけていたが、最終日最初のステージでエンジンから出火するアクシデントがあり、リタイアとなっている。
次戦のWRC第9戦は8月1~4日に行われるラリー・フィンランドだ。
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