富士スピードウェイで行なわれたスーパーGT第2戦富士3時間レース。GT300クラスで独走優勝を果たしたのは、JLOCの88号車JLOC Lamborghini GT3だった。彼らはボンネット周りのアップデートが躍進に繋がったと語った一方で、ヨコハマタイヤのフィーリングも非常に高く評価していた。
88号車ランボルギーニは、予選から際立った速さを見せていた。その中で印象的だったのが、Q1を走った元嶋佑弥が数周に渡って繰り返しアタックに臨んでいたという点だ。
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今季のスーパーGTの予選はタイム合算方式が採用されており、Q1とQ2の合算タイムでポールポジションが決まる。そしてタイヤはQ1、Q2、そして決勝第1スティントと同じものを使用しないといけないため、Q1はできるだけ1回でアタックを終わらせてQ2に繋ぐというのが定石と言える。
しかし元嶋は、アウトラップから2周のウォームアップを挟んでアタックラップに入り、1分36秒084を記録すると、これがライバルを圧倒するタイムだったにもかかわらず、続く周回でも1分36秒089をマーク。そして続く周回でもセクター1でベストタイムを更新したが、そこからはアクセルを緩め、ピットに戻っていった。
3周連続アタックにも行かんとするような勢いを見せた88号車。予選後の記者会見で元嶋にタイヤへの懸念はなかったのかと尋ねると、次のように語った。
「最後のアタックに関しては、僕としてはコンマ2秒くらい上げられるという感覚があったので、チームに『アタックさせてくれ』と無線で言ったのですが、『もう十分だからいいよ』とのことだったので、あそこで止めた形です」
「ただ個人的に、今回選んでいるヨコハマさんのタイヤは、アタックを繰り返してやられていくような、ドロップが大きいようなタイヤではなく、むしろちょっとずつ上がっていくような感覚がありました。そういう意味でも、もう1周アタックしてみたかったですね」
開幕戦岡山では予選・決勝共にライバルメーカーの後塵を排し、トップ5に入ることすらできなかったヨコハマ勢。しかし今回の富士戦では予選トップ3をヨコハマ勢が独占した。こういった好調の要因について、横浜ゴムでスーパーGTタイヤの開発を率いる白石貴之はmotorsport.comに対し、予選後にこう語っていた。
「岡山では全体的にタイヤチョイスが難しかったです。あそこまで高温になるということはなかなか予想できておらず、タイヤを持ち込む上で難しい部分がありました」
「その辺りを踏まえて、富士ではタイヤチョイスをチームさんと共に進めてきました。チームさんとしても、岡山での結果を踏まえて富士向けにセットアップを見直していただいたりしたので、そこも結果に繋がったと思います」
今回のレースではコンディションに合ったタイヤチョイスをすることができたヨコハマ勢は、決勝でも88号車ランボルギーニが独走優勝を果たし、56号車リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-Rが2位、4位にグッドスマイル 初音ミク AMGが入った。元嶋は横浜ゴムのプレスリリースの中で、「どれだけプッシュしてもタイヤが全部応えてくれる感触」があったとコメントしている。
一方でGT500クラスに関しては、19号車WedsSport ADVAN GR Supraが10位、24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zが13位という結果に終わった。今季のGT500はミシュランの活動休止に伴い15台中12台がブリヂストンユーザーとなり、少数派のヨコハマとダンロップにとってはこれまで以上に厳しい戦いを強いられている。
GT500の結果について白石氏は、「今回、比較的タイムが出るところはあったものの、決勝ではピックアップに悩まされる部分もあり、岡山大会に続き厳しい結果となりました」としつつ、「それでも、5月の富士という時期にしては高温となった今回のレースでタイヤがどういう風に働くのかは確認できましたし、WedsSport ADVAN GR Supraが後半追い上げを見せてくれるなど、先に向けた良い見通しもありました。この結果を糧に、 第3戦以降も進んでいきたいと考えています」とプレスリリースにコメントした。
次戦は鈴鹿での3時間レース。ヨコハマにとっては、昨年久々のGT500優勝を果たしたサーキットでのレースとなる。
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