誕生55年 フェラーリ250GTO
フェラーリ250GTOと聞くとオークションで高額取引された投機対象のモデルに思えるが、実はそれを裏付ける特別なヒストリーを持つのである。
1962年からワールド・マニュファクチャラー・チャンピオンシップのタイトルが、それまでのスポーツ・プロトタイプカーからGTマシンで競われることに変更され、フェラーリが用意した最終兵器といえる存在が250GTOなのである。前任の250GT SWBをさらに磨きあげ、空力面まで配慮したスタイルは、性能に裏付けられた美しさを持つ。もちろんレースでも圧倒的な強さを見せつけ、フェラーリにマニュファクチャラー・タイトルをもたらした。
このようにフェラーリのモデルのなかでも素晴らしいレーシングヒストリーと、生産台数が36台(250エンジン搭載車)と極めて少ないことによる希少性、そして公道で乗れるレーシングカーとして当時からコレクターズアイテムであり続けている。それだけに熱烈な愛好家のもとで長く暮らす個体が多いのが特徴で、これまでに熱心なオーナーの手により1982年に20周年記念イベントが開かれたのを皮切りに、5年おきにイタリア、フランス、アメリカと舞台を変えながら続けられてきた。
誕生55周年となった2017年は、フェラーリ70周年記念イベントの一環としてフェラーリ社の主催によりイタリアで行われた。今回は生産された36台中の20台が9月25日にスタートポイントとなるフィレンツェに集合。これまでの250GTOツアーと同様に歴史的な名所を巡るとともに、その地のグルメを楽しむコンセプトは変えられていない。26日から28日までフィレンツェからキアンティなど近郊のスポットを巡った。
今回のラリーのハイライトは、29日にフィレンツェからマラネッロまで、かつてのミッレ・ミリアのルートでツーリングが行われたことだ。途中1960年代にロードレースが開かれ、フェラーリにとってもゆかりの地であるムジェロのロードコース(1周60km!)を走り抜け、現在フェラーリ社が所有するアウトドローモ・ムジェロを訪れてサーキット走行を楽しんだ。
そののちフータ峠を駆け抜け、ボローニャを経てマラネッロに到着。ギャラリーが待ち構えるガッレリア・フェラーリでその雄姿を披露したのち、かつてくぐった正門のゲートを抜けて工場内をパレード。社長室のあるメインビル前の広場に250GTOを並べて華麗なラリーを終えた。
その晩、参加した250GTOはクラシケの建物の前にライトアップされて並べられ、特別なラリーの最後を飾った。オーナー達はクラシケ部門のワークショップに集まり、そこに用意された特別なガラディナーを楽しんだ。その席で、フェラーリ社から2022年に250GTOラリーが開催されることが告げられると歓声が上がった。
全12枚 「フェラーリ250GTO 誕生55周年ラリー」詳細レポ
最初の3日間はトスカーナの名所を訪ね、美食を楽しむという、いつものプログラムが用意された。
29日はかつてロードレースが行われていたムジェロの公道コースを駆け抜けたのちにアウトドローモに到着。
ムジェロ・サーキットでは参加した250GTOにより、デモンストレーションランが行われた。
ラリーの途中はトスカーナ各地の城やシャトーに立ち寄り、イタリアの美味を堪能した。
マラネッロではガッレリア・フェラーリに立ち寄り、ギャラリーが到着した250GTOを出迎えた。
ラリーを終えた250GTOはクラシケの建屋の前に並べられ、ガラディナー時はライトアップされた。
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