今シーズンからQ1、Q2のタイム合算方式で決勝グリッドを決める予選方式となったスーパーGT。第3戦鈴鹿でのホンダ・シビック陣営は、Q1で7番手までに全5台を送り込む好調さを見せた一方、Q2では各車ともタイムが伸びず、最終的にトップ7に残ったのは2台だけという結果に終わった。
まさに対照的な結果となった。ホンダ陣営はQ1で8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTが2番手、17号車Astemo CIVIC TYPE R-GTが3番手、16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTが4番手、100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTが6番手、そして64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTが7番手。これは昨年までのノックアウト予選であれば全車がQ2に進める結果であり、今季のタイム合算予選においても、上位グリッド独占が狙える優位な展開に思われた。
しかしQ2は振るわなかった。Q2単体でのホンダ勢最速タイムは16号車ARTAの4番手であり、8号車ARTAが8番手、100号車STANLEYが11番手、そして64号車Moduloと17号車AstemoはS字でのスピンがあり14番手、15番手(17号車は厳密には基準タイム未達により順位は与えられない)となった。
まず不可解なのは、ホンダ陣営の2台が同じ場所でスピンを喫したということだ。64号車Moduloに関しては、HRC(ホンダ・レーシング)の開発陣によると、大草りきが担当したQ1の段階からセクター1でのタイムが芳しくなかったようで、特にS字では不安定だったという。それが伊沢拓也のQ2アタックにも影響した可能性がある。一方17号車Astemoの塚越広大は、「あの瞬間は攻め過ぎたとか姿勢を乱したとかではなく、勝手にクルマが滑り出したような動きでした。あんなスピンの仕方はしたことがなかったくらい」と語り、「自分のミスなので申し訳ないと思っています」と肩を落としていた。
なお、スーパーGT予選の前に行なわれたサポートレースのFIA F4では、1周目のS字でスピン車両がありセーフティカーが出動するアクシデントがあったが、それとの因果関係は不明だ。
その他の3台もQ1ほどの勢いは見られなかった。3台はQ1からQ2で平均して1秒ほどタイムを落としたが、ライバルメーカーは予選3番手の14号車ENEOS X PRIME GR Supraや7番手の23号車MOTUL AUTECH Zをはじめ、Q2でむしろ大幅にタイムを上げた車両もあった。
これについての見解を、HRCでシビックの車体開発を率いる徃西友宏氏は次のように語った。
「Q2の方がタイムが速くなっているのは、Q1で“何かあった”と思うのが普通です」
「特に14号車、23号車はタイムの上がり幅も大きいですね。そういう意味ではホンダ勢のタイムが落ちちゃっているように見えますが、我々としてはむしろQ1でこんなに上の方に来ることもあまり予想していなかったです」
「通常の(ホンダ、日産、トヨタ各メーカーの)車両パフォーマンスは混戦で拮抗していると思っているので、他社さんがQ1でうまくタイムを出し切れなかったところでウチがQ1をうまくまとめられた結果、見た目的にはこうなっているのかなという印象です」
また一方で塚越は、予選に向けては改善できたものの、練習走行の段階ではニュータイヤとユーズドタイヤのタイム差に手を焼いていたと明かしつつ、「タイヤのピークの使い方でいくと、僕らと(Q2でタイムを伸ばした車両)は違うんじゃないかなと思います」とも考察した。
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