ハミルトン、女房役ボニントンとの”攻撃開始”の合言葉「ハマータイム」が生まれたウラ話を語る

　メルセデスのルイス・ハミルトンが、”攻撃開始”の合言葉である「ハマータイム（Hammer Time）」についてその由来を説明した。

　ハミルトンは2013年にメルセデスに加入して以降、”ボノ”の愛称で親しまれるエンジニアのピーター・ボニントンと二人三脚でF1を戦ってきた。

　その中でボニントンは、ハミルトンにプッシュするよう伝える際に「ハマータイムだ」と呼びかけるシーンが幾度となくあった。

　今シーズンはメルセデスの苦戦もありめっきり耳にすることはなかったが、ハミルトンがマックス・フェルスタッペン（レッドブル）と優勝争いを展開したアメリカGPでは、再びハマータイムが訪れた。翌戦メキシコシティGPでハミルトンは、最後にこの合言葉を聞いてから「少なくとも1年は経っているような気がした」と振り返っていた。

　このハマータイムという合言葉は、MCハマーが1990年にリリースした「U can’t Touch This」の中で使われたキャッチフレーズと、ハミルトンのF1内での3文字表記「HAM」にちなんでいる。

　motorsport.comからこのハマータイムの合言葉が生まれた由来について尋ねられたハミルトンは、ただプッシュしろと伝えられるよりも、自分を駆り立てることができるフレーズとして思いついたと説明している。

「ハマータイムを思いついたのは僕だったと思う」

　そうハミルトンは言う。

「彼が『今がプッシュする時だ』と言うような時があって、僕は『おい、俺はもうプッシュしてるぞ！』って感じで彼にイライラしていたんだ」

「でも、今こそ全力で持てるモノを全て使えということなら、”ハマータイム”だと言ってくれと伝えたんだ。僕らが成長していく過程のひとつだったんだ」

「ボノには本当に感謝している。ドライバーとエンジニアとしてのパートナーシップではこれまでで最長……そうでなくてもかなりの長さになっていると思う。僕の成功において、彼は無くてはならない存在だ」

　ハミルトンとボニントンは、成績上F1で最も成功を収めたドライバー・エンジニアコンビであり、ハミルトンの7度の世界タイトルのうち6回、レース勝利数通算103勝のうち82勝を共に挙げてきた。

　ハミルトンは、ボニントンとは「良い時も悪い時もサーキット内外で支え合ってきた」として、「兄弟のような存在だ」と語っていた。

「彼はおそらく、良い日も悪い日も含めて、僕を本当に支えてくれる数少ない人物のひとりだと思うんだ」

「レース中、彼がいかに冷静でいられるのか、そして彼がいかに僕を導き、ナビゲートしているか……そんなことができる人はそうそういないと思う」