F1への新規参入を目指しているアンドレッティ。彼らはF1でテクニカルレギュレーションの策定などに携わってきたパット・シモンズを獲得したことを明らかにした。
シモンズはF1でエンジニアとして長いキャリアを築いており、1990年代にはミハエル・シューマッハーとともにベネトンでのタイトル獲得に重要な役割を果たした。
■アンドレッティに対するF1参戦拒否、アメリカ下院司法委員長も動く。反競争的行為の調査を開始……政界からの関心高まる
その後シモンズはルノー、マルシャ、ウイリアムズとチームを渡り歩き、2017年からはF1の組織側へと立場を変えた。以後、彼はチーフテクニカルオフィサーとしてテクニカルレギュレーションの策定に関わり、レースの改善を目指して取り組みを進めてきた。
2022年から導入されたグラウンド・エフェクト規則への貢献だけではなく、2026年に導入予定の新レギュレーションにも彼は関わってきた。そして新シャシーの概要がほぼ固まり、6月にも発表される予定となったため、シモンズはF1の運営側を離れることを決めたようだ。
シモンズの今後については当初こそ不明だったが、5月21日にアンドレッティがシモンズの獲得を発表。F1への新規参入を目指すチームが、経験豊富でF1に精通した人物をまたひとり迎え入れることになった。
シモンズはガーデニング休暇を経たあと、アンドレッティにはエグゼクティブ・エンジニアリング・コンサルタントとしてチームに加入する予定だ。
アンドレッティはシモンズ獲得に際し、次のようにコメントを発表している。
「パットをアンドレッティ・ファミリーへ迎え入れることができ、我々も興奮を禁じ得ない」
「空気力学、車両力学そしてF1パワーユニットに対する彼の深い理解は、我々が競争力のあるチームを築き続けて行くうえで助けになるだろう」
「彼の専門知識はF1の物語を形つくる上でとても重要であり、我々の取り組みに加わるということが、彼の信頼を物語っている。我々の取り組みが順調に進んでいる中で、この次なるステップを本当に嬉しく思っている」
なおアンドレッティにはエンジニアリングチームを率いる人物として、シモンズのベネトンとルノー時代の同僚であるニック・チェスターが既に加入済みだ。チェスターはシモンズの加入を次のように歓迎した。
「パットとは過去に一緒に仕事をすることができて光栄だった。彼は我々が活用していける、豊富な知識を持っているんだ」とチェスターは言う。
「彼はエグゼクティブ・エンジニアリング・コンサルタントとして、技術面やチーム運営に関わる面での専門知識をもたらすことで、チームの発展を助けてくれることだろう」
シモンズの獲得は、ゼネラル・モーターズのキャデラックブランドと提携してF1新規参入を目指しているアンドレッティにとって、新たな追い風となるだろう。
2025年からのF1参戦の申請は却下されてしまったアンドレッティだが、彼らはプロジェクトを諦めておらず、イギリスに新拠点をオープンさせるなど、2026年の参戦を目標にその動きを推し進めている。
同時にアンドレッティのF1参戦拒否は、政治的な面でも問題となりつつある。今年5月、チームオーナーでF1王者のマリオ・アンドレッティがアメリカの国会議事堂を訪れた。その後超党派の議員らが、F1オーナーであるリバティメディアにF1参入を拒否した理由を説明するよう書簡を送付した。
またアメリカ下院司法委員会にもこの動きは広がっていて、ジム・ジョーダン委員長(共和党)がリバティメディアに書簡を送付。独占禁止法や反競争的行為の側面から、アンドレッティの参戦を拒んだ意思決定プロセスについて説明を求めた。
その後は複数の上院議員がアメリカ司法省と連邦取引委員会に対し、正式な調査を開始するように要請をしていることも明らかとなった。また下院の司法委員会は既にこの件について独自の調査を開始している。
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