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WRC:トヨタ、苦戦続いたメキシコを制す。豊田章男社長「毎年苦しい思いをしてきたメキシコでついに優勝」

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WRC:トヨタ、苦戦続いたメキシコを制す。豊田章男社長「毎年苦しい思いをしてきたメキシコでついに優勝」

 3月14日に行われた2020年WRC世界ラリー選手権第3戦メキシコの競技3日目。最終日の走行が中止となり優勝決定戦へと姿を変えた1日で、TOYOTA GAZOO Racing WRTではセバスチャン・オジエ(トヨタ・ヤリスWRC)が逃げ切り優勝。エルフィン・エバンス(トヨタ・ヤリスWRC)が総合4位、カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ヤリスWRC)が総合5位に入った。

 2020年のラリー・メキシコは3月12~15日の日程で開催される予定だった。しかし新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で世界各国で渡航や入国に制限が課されている状況を考慮し、関係者や現地でラリーを観戦したファンが安全に帰国できるよう15日の走行は中止。SS13~21で争われた14日(土)の競技3日目が大会最終日となった。

WRC:オジエが短縮開催の第3戦メキシコで2020年初優勝。トヨタはシリーズ復帰後メキシコ初制覇

 スケジュール変更で大会最終日に姿を変えた14日は、“グアナファティート”“アルファロ”“デッラマデロ”という3本のグラベル(未舗装路)ステージを2回ずつ計6本走行。その後、レオンにあるサーキットで2台のマシンが同時走行するターマック(未舗装路)ステージを2本、サービスパーク横の特設ターマックステージを1本の計9SSが行われた。

 前日13.2秒のリードを築いて総合首位につけていたオジエは、この日最初のステージだったSS13“グアナファティート1”で最速タイムを刻んで、今大会4回目のステージ優勝を記録。午前最後のSS15を終えた時点でリードを28.3秒まで広げてみせる。

 その後はステージ優勝こそなかったものの、危なげない着実な走りでSSを走りきり、最終的に27.8秒リードでトヨタ移籍後初、2020年シーズン初の総合優勝を飾った。

 オジエにとっては通算6度目のラリー・メキシコ制覇。またこの優勝でドライバーズランキングでもトップにおどり出た。

 前日総合3番手につけていたエバンスは、ペースを上げたライバルのオット・タナク(ヒュンダイi20クーペWRC)に順位を奪われたものの、総合4位でフィニッシュ。ロバンペラは総合5位の座を守りきり、3戦連続でのトップ5フィニッシュを決めている。

 2017年のWRC復帰以降、トヨタはラリー・メキシコ特有の高い気温や標高などに苦しめられてきたが、2020年大会では大きなトラブルなく全車が完走。シリーズ復帰後、初めてラリー・メキシコで優勝を手にした。

 トヨタ自動車社長でもある豊田章男チーム総代表は、「WRC復帰以来、毎年苦しい思いをしてきたラリー・メキシコで、ついに優勝することができました。オジエ選手、(コドライバーのジュリアン)イングラシア選手おめでとう。ありがとう」とのコメントを寄せている。

「最初の2年はオーバーヒートで完走もままならぬ状況でした。ラジエーターを開発するエンジニアたちも努力を続けてくれて、ようやく手にした優勝です。改善を続けてくれたラジエーターエンジニアたちの“冷却魂”にも感謝したいと思います」

「今回の大会開催にあたっては、主催者をはじめとする地元のみなさまが、大会をより安全に開催できるように配慮されていたと聞きました。ファンのみなさまにラリーを楽しんでいただけたのも、彼らの懸命な働きによるところだと思います。本当にありがとうございました」

「また、選手たちはファンといつもより距離を置いて接さざるをえなかったとも聞きました。そんななかでも、ファンに残念な思いをさせまいと、精一杯のファンサービスをしてくれたドライバーたちの姿を大変うれしく思います。みんなありがとう」

「次戦のアルゼンチン戦の延期も発表されていますが、ヤリスWRCが元気に走る姿をファンの方々に見ていただける日が、一刻も早く訪れることを願っております」

■トヨタのチーム首脳「失敗から多くを学び、トップ5に3台が入るまでに成長」
 チームでスポーティングディレクターを務めるカイ・リンドストロームは「非常に満足できる結果だ。何よりも、セブ(セバスチャン・オジエ)とジュリアンが我々のチームで初勝利をあげたことを、そしてチームがメキシコで初めて勝ったことをうれしく思う」と述べている。

「2017年に初めてメキシコに出場した時はとても苦戦したが、我々は失敗から多くを学び、トップ5に3台が入るまでに成長した」

「ラリーが1日早く終わってしまったのは残念で、少々複雑な気持ちだが、世界が厳しい状況に置かれている今、チームのメンバーたちを確実に、家族のもとに返さなければならない」

 2020年シーズン初優勝を遂げたオジエは「いい週末になった。スタート直後からいいフィーリングが感じられ、金曜日の朝はトップに立つ好機が訪れた。今日はスタート順がよかったから最初から攻めて差を拡げることに成功し、そして、最後までその差をコントロールできた」とコメント。

 エバンスは「ヤリスWRC全3台が完走したことで、チーム力の高さとクルマの強さが証明されたと思う」としたほか、ロバンペラは「大きなミスをすることなくラリーを戦い、時々安定して速いペースを示すことができたから、自分にとって、本当にいいシーズン序盤戦になったと思う」と述べている。

 豊田チーム総代表のコメントにもあるように、第4戦として4月23~26日に開催が予定されていた第4戦アルゼンチンは新型コロナウイルス(COVID-19)により、開催延期に。

 そのため現時点では5月21~24日開催の第5戦ポルトガルが次のラウンドとなる。

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