アウディ ジャパンは2022年1月17日、電気自動車の第3弾となるC+セグメントのプレミアム コンパクトSUV「Q4e-tron/Q4スポーツバックe-tron」を発表した。発売は今秋以降の予定。また1月17日から先着50台限定の特別モデル「Q4スポーツバックe-tron 1st edition」の予約受付を、オンラインで開始している。
モデル概要
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アウディの電気自動車e-tronシリーズの第3弾となる「Q4e-tron」シリーズは、コンパクトSUVセグメントに導入される初の電気自動車で、これまでの大型SUV電気自動車の「e-tron」、「e-tron Sportback」、スポーティな4ドアGTの「e-tron GT」に続くモデルとなる。
従来のe-tronはすべて1000万円以上の価格帯であったが、今回の「Q4 e-tron」は価格帯が600万円~700万円台で、今後のBEV販売の基幹となるモデルだ。
Q4e-tron「Q4e-tron」シリーズは、これまでのe-tronシリーズとは違って、フォルクスワーゲン・グループの最量産BEVプラットフォーム「MEB」を採用している。ボディサイズは全長4588mm、全幅1865mm、全高1632mm、ホイールベース2764mmで、全長はQ5よりわずかに短く、カテゴリー的にはC+セグメントのクロスオーバーSUVとされている。
上級クラスを上回るリヤシートの足元スペースQ4e-tronはロングホイールベース、ショートオーバーハングのプロポーションを実現しており、室内長、キャビン内の広さはQ5を上回っている。ラゲッジ容量は520L(スポーツバックは535L)、リヤシートを倒すと1490L(スポーツバックは1460L)あり、また室内にはカップホルダーやドリンクホルダーなどを含め合計24.8Lの収納スペースを確保し実用性も追求している。
Q4 e-tronスポーツバックボディはe-tronシリーズと同様に、フロントホイールアーチ前のスポイラー、リヤスポイラー、電動開閉式の冷却エアインレットなどのデザインにより、車両の空力特性が考慮されておりQ4 e-tronのCd値はスポーツバックで0.26、標準モデル0.28とSUVとしてきわめて高いレベルに仕上げている。
ボディタイプは、存在感のあるフォルムと、スタイリッシュなクーペスタイルのスポーツバックSUVの2つのタイプを設定。エクステリアは、短いフロントオーバーハング、張りのあるフェンダー、エレガントなルーフライン、柔らかく流れるようなボディのサイドライン、ワイドなプロポーションを強調する水平基調のリヤエンド。そして最新のQファミリーに共通するオクタゴン(8角形)に開口部のないシングルフレームグリルなど、一目でアウディの電気自動車とわかるデザインを取り入れている。
またマトリクスLEDヘッドライトには、量産車として世界初となるMMIを通じて4つのデザインから任意に選択可能なデジタル デイタイムランニングライトを備えている。
グレード構成は、Q4e-tronは、標準モデル、アドバンスドとSラインの3タイプ。Q4スポーツバックe-tronは、アドバンスド、Sラインの2タイプの設定となっている。
両モデルともにアドバンスドは、フロントグリルのカラーがヘクラグレーとなり、マトリクスLEDヘッドライトや19インチアルミホイールを装備している。
一方、Sラインはグリルがプラチナムグレーとクロームパーツを組み合わせたタイプとなり、フロントバンパーやサイドシル上部にセレナイトシルバーのカラーリングが施され、20インチアルミホイールを装着。よりスポーティさを強調したグレードになっている。
e-tronならではの先進的なデザインインテリアは、センタークラスターがドライバー方向に向けられたドライバーオリエンテッドなデザインを採用。特徴的なセンターコンソールと専用デザインのbyワイヤーシフトを装備している。
メーターには10.25インチのアウディ バーチャルコックピットを、センターには11.6インチのMMIタッチディスプレイを配置したフルデジタルのコックピットを形成。
ARヘッドアップディスプレイアウディ初の上下ともにフラットな形状をした新世代のステアリングホイールで、左右スポーク部は、物理ボタンのないシームレスなタッチ式となっている。
また、フロントスクリーンには上下2つに分けて情報を表示するARヘッドアップディスプレイをコンパクトセグメントとしては日本初導入している。上部には、ナビゲーションや車線逸脱警告などを、フロントガラス越しの視界に映像を重ねて約10m前方に表示し、下部には車速などの主要な情報を約3m前方に表示するようになっている。
パワートレーン
電動パワートレーンは、システム電圧400Vを採用した総容量82kWh(実容量77kWh)の駆動用リチウムイオンバッテリーを、前後アクスル間のフロア部に搭載。リヤアクスルに電気モーターを搭載した後輪駆動だ。ただし本国ではフロントにもモーターを搭載したクワトロも設定されており、今後日本にも導入されると予想される。
大量生産向きのMBEプラットフォームを採用駆動モーターは水冷式の永久磁石同期モーターを採用し1速ギヤで減速される。このモーターユニットはザルツギッターにあるフォルクスワーゲングループの部品工場で生産され、カッセル工場で組み立てられている。
駆動用電気モーターは最高出力150kW(204ps)、最大トルク310Nmを発生し0-100km/h加速は8.5秒。最高速度は160km/hだ。
駆動用バッテリーは液冷式で、バッテリーパックの重量は約500kg。ニッケル/マンガン/コバルト(NMC)バッテリーのサプライヤーはLGエナジーやCATLなど。
紫色の超高張力鋼板で骨格を形成一充電走行距離は516km(ヨーロッパWLTPモード)と高い実用性を備え、充電は200Vの普通充電の標準は3kW、オプションで最大8kWまで対応している。急速充電はCHAdeMO規格の高出力タイプの125kWにも対応しており、例えば125kWで5%から80%までが38分で充電可能(理論値)となる。
なおサスペンションは、フロントがストラット式、リヤは5リンク式を採用。
ボンネット部は冷却系補機類とクラッシャブルゾーン安全装備
Q4e-tronは、独自のモーター始動、停止方法を採用しており、着席してスタートボタンを押す従来の方法か、またはブレーキペダルを踏むだけでイグニッションはONになる。そして停車時はサイドブレーキボタンを押し、ブレーキペダルを離すとイグニッションOFFとなる。
走行中の回生ブレーキの強さは、パドルシフトで3段階に調整が可能。また、アウディ初のBモード(パドルシフトで最大レベル3に相当)を備えており、アクセルペダルだけで速度調整ができるワンペダルでのドライブも選択できる。
もちろん最新の安全技術とアシスタンスシステムを搭載。フロントカメラをはじめ、車体前後に中距離レーダーと超音波センサーを、また車体前後と左右ミラーに計4つの360度カメラを内蔵している。
従来のアダプティブクルーズコントロールとアクティブレーンアシストを統合したアダプティブクルーズアシストをはじめ、死角を並走する車両を検出するアウディ サイドアシスト、後方から近づく自転車や車両をセンサーで監視するエグジットワーニングなど多数の機能を装備している。
なおQ4e-tronは、ツヴィッカウ工場で生産され、この工場では再生エネルギー電気のみを使用しており、サプライヤーにも同じことを要求しているという。また、アウディは、生産時に「避けられない」と考えられるCO2排出はカーボンオフセットの購入によって軽減されているとしており、これに基づいてQ4e-tronをカーボンニュートラル車としている。
価格
アウディ ジャパンのBEV戦略
今回のQ4e-tronの発表と同時に、アウディのブランド ダイレクターに就任したマティアス・シェーパース氏は、アウディ本社と日本におけるBEV戦略の説明を行なった。
2021年の振り返りでは、下半期は半導体不足の影響が出たものの、上半期は対前年比38%増となる1万2854台を販売し、全体として対前年比1%増という結果となったことを説明した。
アウディジャパンのブランド ダイレクター、マティアス・シェーパース氏また2021年に導入したRS3を筆頭とするRSモデルの販売台数は1323台(前年比250%)と過去最高となり、e-tronGTの販売も好調で2022年分が完売したことなども紹介している。
次にアウディ本社が掲げる2030年に向けた電動化のロードマップ、そして2050年にはカーボンニュートラルを目指す戦略を説明。
2025年には内燃エンジンを搭載する最後のイヤーモデルを発売し、2026年以降は新に発表するニューモデルはすべて電気自動車とすること、2033年には内燃エンジンの生産が終了するロードマップを示した。
日本においては、販売店と協力しBEVへ主力を移すプロジェクトを推進し、同時に販売店における急速充電網をさらに拡充することも明らかにした。現状は急速充電器は50店舗(50kW級が42店舗、90kW級が8店舗)だが、2022年後半は新たに52店舗に高出力の150kW級の急速充電器を設置拡大。さらにフォルクスワーゲン・グループの販売店も充電網に加え、250店舗以上で急速充電器を展開するとしている。
またこれ以外に、出先のゴルフ場やホテルなどドライブ先の施設に普通充電設備の設置も加速させ、この普通充電設備は他銘柄のBEVユーザーも使用可能にする計画も推進することになる。
こうしたプロジェクトを背景に、Q4e-tronは今後のe-tron戦略で中心的な役割を果たし、目指すのはNo.1プレミアムBEVブランドとしている。
また2024年までにBEVを15モデル以上を導入し、2025年には販売におけるBEV比率を35%以上にしたいという。この計画の中には2年以内に登場するエントリーモデル、BセグメントのBEVがあり、このエントリーBEVでさらに販売を加速させるとしている。
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