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トラブルからのクラッシュも大事に至らず。立川祐路「来年に向けての基礎データ取得がメイン」トヨタ/GRスープラ陣営の2024年

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トラブルからのクラッシュも大事に至らず。立川祐路「来年に向けての基礎データ取得がメイン」トヨタ/GRスープラ陣営の2024年

 ホンダの2024年の新型車両、シビック・タイプR-GTに注目が集まった岡山国際サーキットでの3メーカー合同テストだが、もちろん、ライバルとなる他2メーカーも手をこまねいてシビックを眺めているわけではない。2024年に向けた初めての車両開発テスト、各陣営がどのようなテーマで取り組んでいるのか開発責任者たちに聞いた。

 トヨタ/GRスープラ陣営は今回、外観からは現行車両のGRスープラGT500とほとんど変わらない90号車の開発車両を岡山国際サーキットに持ち込んだ。ドライバーは立川祐路、坪井翔、山下健太、宮田莉朋の姿が確認されており、初日の走行では立川祐路が走り始めを担当していた。

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 一見、外からは変化が分からなかった90号車のGRスープラ。今回の開発の狙いはどのような部分にあるのか。TCD/TRDでGRスープラGT500の車両開発を担当する池谷悠エンジニアに聞いた。

「まだこれが2024年仕様ですよと、固めて持って来れているわけではありません。実際には2024年車に向けた基礎データ取りと言いますか、今のクルマの課題をしっかり開発車で確認して、それに対する打ち手のような形で、いろいろな要素を持ってきて、その効果をしっかりと確認した上で、2024年の形、この方向を目指していこうという方向性を定めたいと思っています」と池谷エンジニア。

「今年のクルマをベースに持ってきていまして、外からの見た目はほとんど変わっていない状況なのは間違いないです。他(ホンダシビック・タイプR-GT、ニッサンZ GT500)と比べると地味なテストですね(苦笑)」と笑うが、その背景には、2024年を考える以前に、現在もまだGRスープラのポテンシャルがしっかりと出し切れていないという思いがある。

 実際、今季のGRスープラ陣営を見ると36号車au TOM'S GR Supraがどのレースでも、サクセスウエイトが重くなっても予選の速さ、そしてレースでの強さを見せている一方、サクセスウエイトの軽さに関係なく、陣営内でのパフォーマンスのばらつきが大きい状況が見られる。

「2024年に向けての開発は別で進めているところはあるのですが、今回のテストの位置付けとしては、まったく新しいものを見つけに来ているというよりも、今のGRスープラのポテンシャルが出しきれていないという部分の基礎固めを先に行おうというところです。あとはクルマのそもそもの諸元に関わるところもあるので、そこの方向性を見定めるために行うようなテストになります」と池谷エンジニア。

 テスト初日の走行から、マシンの下部に蛍光塗料のフロービズを塗って実走での空力を再確認するなど、普段のテストではなかなか行えないようなテストメニューで取り組んでいたようだ。

「フロービズについても、今のGTではシーズンオフにタイヤテストなどではありますが、タイヤの評価がメインになるので、クルマの評価がしっかりと捉えきれない部分が実際にありますので、今回はタイヤではなくクルマの評価にすべての時間を使えるテストですので、そういう部分に趣を置いて来ています」(池谷エンジニア)

 その90号車GRスープラだが、初日の午前セッションの途中で最終コーナー手前の高速コーナー、マイクナイトコーナーで飛び出し、タイヤバリアにクラッシュ。午前はその修復に時間を費やすことになってしまった。

「クラッシュはクルマ側のトラブルで、ドライバーとかタイヤとかの問題ではありません」と池谷エンジニアが話すように、いくつかトラブルがあったようだが、午後のセッション途中から走行を行うことができた。
 
 ステアリングを握っていた立川祐路も、トラブルにはかなり驚いたようだが、体は大丈夫な様子。セッション終了後には今回のテストについての取材に答えた。

「今回のテストは今後に向けてなので、次のレースに向けてという内容ではないですね。クルマも基本的に何か大きく変えているわけではなくて、その中で改善できる部分を試したりとかですね。新しいアイテムもそんなに試しているわけではないでし、何か新しいセットアップを試してるわけでもないです」と立川。

「現在のレギュレーションでは変えられる部分が少ないので、その中でどうレベルアップさせるかというのは難しいですよね。地道なアップデートと、問題点の解決、あとはエンジン関連。タイヤのセット数も限られているので(今回は1セッション3セットまで)、タイムを出しに行くというテストではない。他ほどクルマが変わらないので、これといったものもないですけど(苦笑)、来年に向けて基礎データを採るというのがメインなので、データをしっかり取って、今後の新しいアイテムのために活かせればと思います」

 初日からのクラッシュは痛手ではあるが、ドライバーが無傷で新アイテムの評価や新車両のテストではなかったのは不幸中の幸い。トヨタ/GR陣営としては2024年もGRスープラを継続する予定で、今回のデータ収集をもとに、2024年型のGRスープラはどのような見た目と特性になるのか。これからの変化を注視していきたい。

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