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純EV市場へ本気の第1弾 新型トヨタbZ4X 四輪駆動のプロトタイプへ試乗 前編

掲載 更新 13
純EV市場へ本気の第1弾 新型トヨタbZ4X 四輪駆動のプロトタイプへ試乗 前編

RAV4と同等サイズのクロスオーバーEV

分散投資。複数の投資先へ資産を振り分けることで、リスクを減らしつつ、リターンを増やすという考え方だ。ただし、必ずしもその投資が成功するわけではない。ここ2年間で、純EVへ注力したテスラは企業価値を大幅に高めた。

【画像】本気の純EV トヨタbZ4X AWDプロトタイプ 欧州で競合する純EVと写真で比較 全128枚

トヨタは過去数十年という長期スパンで、ハイブリッドと燃料電池という技術分野へ投資を続けてきた。バッテリーEVの開発にも取り組んではいたが、どちらかといえば控え目な規模だったといえる。

やや保守的に、純EVの開発戦略を進めてきたトヨタ。その結果、今後しばらくはライバルを追い上げるべく、積極的な戦略を取る必要が出てきたようだ。

2021年12月、トヨタ自動車のCEO、豊田章男氏は今後4兆円規模の投資を行い、30車種の純EVの開発を進めると発表した。また増大する需要に応じて、2030年までに350万台の純EVを販売する計画を立てたという。

そして、その第1弾になるであろうモデルが、今回試乗を許されたクロスオーバーのトヨタbZ4Xとなる。まだプロトタイプではあったが。

見慣れない車名だが、bZはビヨンド・ゼロの略。ゼロ・エミッションを超えた価値を意味し、今後のトヨタの純EV数車種へ与えられるシリーズ名でもある。4Xは、コンパクトSUVを示す。同等のサイズを持つ、トヨタRAV4から展開した2文字だそうだ。

航続距離はFWDで450km、AWDで410km以上

bZ4Xは、スタイリングでもRAV4とイメージを共有する。ブラックの樹脂製ホイールアーチやツートーンのルーフだけでなく、シルエット自体も遠くない。

反面、バンパー下部のエアインテークや、センサーを内蔵したグロスブラックのグリルなどで差別化も図られている。今後のbZモデルシリーズで共通するという、シャープなヘッドライトが凛々しい。

基礎骨格をなすのは、まったく新しいe-TNGAという純EV専用アーキテクチャ。スバルと共同開発されたもので、スバル・ソルテラも採用している。

トヨタによれば、プラットフォームを延長することで車内空間にゆとりをもたせ、リアシートの足元空間は約900mmと、レクサスLSに迫る広さがあるとしている。キアEV 6やフォルクスワーゲンID.4といった競合に対抗するために。

パワートレインは、発売時点で2種類が提供されるようだ。エントリーグレードが、シングルモーターの前輪駆動。最高出力204psと最大トルク26.9kg-mを発揮し、0-100km/h加速を7.7秒でこなす。

もう1つがツインモーターの四輪駆動。最高出力218ps、最大トルク34.2kg-mに増強され、0-100km/h加速時間は6.9秒へ短縮される。

駆動用バッテリーの容量は、共通して71.4kWh。航続距離は暫定値だが、前輪駆動で450km以上、四輪駆動で410km以上が見込まれている。また、低い気温でもバッテリーの温度を一定に保ち、性能低下を抑えるヒートポンプが搭載される。

現在の純EVとして、充分な動力性能や航続距離ではあるが、際立つ数字でもない。キアEV 6やテスラ・モデルYは、どちらも480km以上の航続距離を実現している。

充分な力強さにソフト寄り乗り心地

急速充電能力も、ライバルより少し見劣りする。bZ4Xは最大150kWまで対応するが、先出のEV 6とモデルYは、200kWまで許容できる。

といっても、0-80%の充電を30分以下でこなすというから、充分な早さではある。さらに駆動用バッテリーは、購入から10年後でも70%の容量が保証されるそうだ。

さて、今回試乗したのは、ツインモーターのbZ4X。瞬発力はEV 6やモデルYの四輪駆動版ほど鋭くはないが、充分な力強さは備えている。明確にパワー感の違いを感じるのは、110km/hを超えた辺りからのようだ。

不足ないパワーを安楽に引き出せるため、リラックスして余裕のある走りを得られる。純EVのSUVという、bZ4Xの個性にも合っていると思う。

サスペンションの設定も、競合モデルと比較して明らかにソフト寄り。市街地でも高速道路でも、優しくしなやかな乗り心地を維持していた。

高めの全高も相まって、コーナーでのボディロールは大きめ。それでも、バルセロナ郊外のカーブが連続するコースを運転した限り、驚くほど巧みに駆け抜けていた。

確かにボディの動きは感取されるものの、充分に抑制されている。ブレーキペダルの踏みごたえも一貫しており、速めのペースでの運転へ、不安を感じることはまったくない。ステアリングの重み付けも自然で、ノーズの反応も漸進的だった。

ちなみに、トヨタはバイワイヤーでのステアリング・システムを開発中ということだが、今回は試すことができなかった。操縦桿風のヨーク型ステアリングホイールとセットになるようで、150度傾けるとフルステア状態にできるという。

この続きは後編にて。

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みんなのコメント

13件
  • これからは自分の生活環境・状況(ガソリンが手頃か、充電設備が万全か)を参考に好きな車を選ぶ時代です。
    ガソリンが悪ではないし、発展途上のEVがダメでもなく、極寒地や地方ならガソリン車、都会なら電動車という風に共存出来れば良いのではと考えます。
  • まったくEVに対する知識も評価尺度も持ち合わせていない日本のメディアと比べる、冷静で客観的な評価と解説だな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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