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【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】いつしか後ろはザウバーのみ…。逆境の時こそ、ドライバーの力を見せつけよう

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【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】いつしか後ろはザウバーのみ…。逆境の時こそ、ドライバーの力を見せつけよう

 F1での4年目を迎えた角田裕毅がどう成長し、あるいはどこに課題があるのかを、F1ライター、エディ・エディントン氏が忌憚なく指摘していく。今回は第15戦オランダGPと第16戦イタリアGPを中心に振り返った。

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【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】レッドブル系ドライバーたちの正しい配置の仕方

 あーあ、サマーブレイクは終わってしまったんだな。君から「そろそろ角田裕毅の最近のレースについて話してください」と言われて、改めて実感した。分かっていたけど、せめてこんなに素敵なビーチにいる時に連絡してくるのは、やめてほしかった。

 もちろん、オランダとイタリアのレースはちゃんと見ていた。君も、私のようなプロがどういう視点でグランプリを観察するのかを見て、たくさんのことを学ぶといい。最近の関心事は、レッドブルの崩壊だ。古き良きエンジニアのエイドリアン・ニューウェイが辞任を申し出た瞬間から、こうなることは予測されていたとはいえ、これほど早く強者が転落していくとは、驚くべきことであり、きわめて興味深い。

……分かっている。君が関心を持っているのは、「ザントフォールトとモンツァで裕毅がどうだったか」ということだけ、ということは。だが、せっかちに口を挟まずにいてくれれば、いつもどおり、角田の話題に向かっていくのだから、そのへんは、そろそろ学習してほしいところだ。

 レッドブルがまるで鉄の棒のような勢いで落下していくなか、それほど目立ちはしないものの、ジュニアチームも順調でないことは確かだ。トップ4チームと、おそらくアストンマーティンに追いつくことはいずれにしてもできなかっただろうが、今やRBのマシンはハースやウイリアムズよりも遅く、アルピーヌとほぼ同レベル。つまり後ろを見ても、キック・ザウバーしかいないという、かなり悪い状況だ。

 だが、こういう時こそ、ドライバー、特に若いドライバーは自分の実力を示さなければならない。裕毅はそういう意味で、やるべきことをやっているといっていい。ザントフォールトで彼は、ベテランのダニエル・リカルドを絶望に追い込んだ。ダニーはQ1でなすすべがなかったが、裕毅は楽々とQ2に進出したのだ。

 リアム・ローソンが常にそばで待機しており、リカルドは厳しい状況に置かれている。それでもオランダ決勝ではチームがリカルドに“当たり”の戦略を使ったために、彼の方が上位でフィニッシュすることができた。とはいえ、ふたりともノーポイントだったことに変わりはないし、もし裕毅が速い方の戦略で走っていたら、もっと良い結果を出していたように思う。

 そしてモンツァだ、私の持論なのだが、あるドライバーが必ず特定のサーキットで無敵の強さを発揮することがあるし、逆に、あるドライバーが毎年決まったサーキットで何らかの障害に直面することがある。そして、裕毅とモンツァは、後者のケースだ。

 モンツァでの2021年にはスタートできず、2022年には14位、2023年には再びスタートできなかった。彼が迷信深い人間かどうかは知らないが、今年のモンツァで起きたことを考えると、“運”というものについて考え始めてもおかしくない。

 予選Q1でリカルドに僅差で負けたが、ケビン・マグヌッセンがパラボリカでコースオフしていなければ、角田はQ2に進んでいただろう。そして決勝では4周目にもうひとりのハースのドライバーからマシンのサイドにヒットされて、角田のレースが台無しになってしまった。角田にはどうすることもできなかった。そしてひどいドライビングで角田をリタイアに追いやったニコ・ヒュルケンベルグは、ペナルティは受けたものの、走り続けることができた。

 今回注目すべきだったのは、角田が以前いつも使っていた罵り言葉の代わりに、いくつか新しい表現を使うことを覚えたことだ。無線での発言は、気を付けないと罰金につながるからね。

 自分やチームにとって潮の流れが悪いときには、ひたすら泳ぎ続けるしか方法はない。そうしていれば、いつか状況が変わり、良い方に進むチャンスが訪れる。次のバクーとシンガポールは、リカルドが過去に好成績を収めたことがある場所だ。そこで角田がやるべきことは、リカルドよりも良いリザルトを記録して、「レッドブルの2台目にふさわしいのは自分だ」ということを、ホーナーに示し続けることだ。

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筆者エディ・エディントンについて

 エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。

 ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。

 しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。

 ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちがあるのはバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。

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