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アストンマーティン DBXとポルシェ カイエン ターボ クーペ、SUVの覇権を競う宿命の対決

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アストンマーティン DBXとポルシェ カイエン ターボ クーペ、SUVの覇権を競う宿命の対決

Aston Martin DBX × Porsche Cayenne Turbo Coupe

アストンマーティン DBX × ポルシェ カイエン ターボ クーペ

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スポーツカーが如く

ついに念願のスーパーSUV対決が実現した。550ps/770Nmを誇るポルシェ カイエン ターボ クーペに対するは、アストンマーティン初のSUV、DBX(550ps/700Nm)だ。スーパースポーツ並のパフォーマンスを秘める2台の走りはいかに。

「550psを受け止める高剛性ボディ、その走りはまるでスーパースポーツだ」

気が付けば、街を走るクルマの多くがSUV、あるいはクロスオーバーと呼ばれるジャンルのモデルになってしまった。それはいわゆるプレミアムブランドにおいても同様で、SUVを生産することは、今や自動車メーカーの経営に、非常に大きな役割を果たしているといっても間違いではないのである。あるスーパースポーツメーカーなどは新たにSUVを市場に投じたことで、年間の生産台数を倍増するまでに至っているのだから、やはりSUVの持つ影響力は大きい。

今回、改めてその魅力を探ってみたのは、プレミアムブランドにSUVを投入したという意味では最も早い対応を見せたポルシェと、昨年新型SUVを誕生させたアストンマーティンの作。カイエン ターボ クーペとDBXだ。ちなみにポルシェが初代カイエンを市場に投じたのは2002年のことで、現行モデルは第3世代。強く湾曲したルーフラインが特徴的なクーペは、ポルシェ伝統の作である911のスタイルにあえて似た印象を与えることで、スポーツ性をさらに強調する目的があったことは間違いないだろう。

一方のDBXは、こちらも非常に美しいボディスタイルだ。個性的なフロントグリルから、それがアストンマーティンの作であることはカーマニアなら一瞬で判断がつくところだろう。ライン構成はとても柔らかく、全体的な面構成の美しさで見る者の目を魅了するのはカイエン ターボ クーペと同様。ボディサイズは全長で5039mm、ホイールベースが3060mmにも達するDBXの方が大きく、それはSUVとしては重要な性能のひとつでもあるラゲッジルームにも影響している。後席を使用した状態での容量はカイエン ターボ クーペが598リットルであるのに対して、DBXは632リットルの積載が可能とされているのだ。

「物理的なスイッチは、ステアリングホイール上を除いて一気に数が減った」

まずはカイエン ターボ クーペからステアリングを握る。相変わらず素晴らしいホールド性を感じさせるドライバーズシートに身を委ねると、目前にあるのはすでに見慣れたメーターパネルで、まずはそこに大きな安心感を覚える。

ルーフはスタンダードなカイエンと比較すると前席に座る限り変わらない印象で、ドライビングに集中する場合でも圧迫感を感じることはない。物理的なスイッチは、ステアリングホイール上のそれを除いて一気に数は減ったが、これも時代の流れというものか。最初は操作にとまどう場面もあったが、走り続ける中でそれも気にはならなくなった。

「コーナリングは常にナチュラルでシャープな印象に終始している」

搭載されるエンジンは4.0リッターV型8気筒ツインターボ。最高出力は550ps、最大トルクは770Nmを発揮する。特に最大トルクは1940~4500rpmの領域で完全フラットに発揮されるため、あえて組み合わされる8速ティップトロニックSをシフトしなくても、アクセルペダルを踏み込むだけで追い越し時などの中間加速では十分な余裕を感じ取ることができる。

ちなみにその0-100km/h加速は3.9秒、最高速は286km/h(スポーツクロノパッケージ装着時)だ。これはSUVのスタイルを纏った911と表現しても許されるだろう。コーナリングもトルクベクタリングや後輪操舵によって、常にナチュラルでシャープな印象に終始している。

「大きさを意識させられる場面にはほとんど遭遇しなかった」

一方のDBXの走りにも驚かされた。上品なインテリアの作りは明らかにカイエン ターボ クーペのそれとは異なる趣。メーターパネルは12.3インチの液晶タイプで、選択した走行モードによってグラフィックが変化する。センターのシフトボタン下のパネルも同様に様々なインフォメーションを表示することが可能で、多くの操作はセンターコンソール上のタッチパネルで行う。これも現在のメルセデスAMG社との提携関係を表す装備でもある。

前で触れた全長とホイールベースからは、サイズに影響された市街地での扱いにくさが心配になるが、実際にはボディの見切りも良く、あえて大きさというものを意識させられる場面にはほとんど遭遇することはなかった。フロントに搭載されるエンジンは4.0リッターV型8気筒ツインターボで、これはメルセデスAMG製のそれをベースとしたもの。最高出力&最大トルクは550ps&700Nmと、カイエン ターボ クーペのそれにほぼ匹敵する。トランスミッションは初採用の9速ATだ。

「DBX最大の魅力は、正確無比の一言に尽きるコーナリングでの動きだ」

オフロードモードも含め、6段階の選択ができるドライブモードから、デフォルトの「GT」を選んで試乗を始める。まず感動的だったのはその乗り心地で、前後ともに22インチ径のタイヤを装着しながら、路面からのショックをDBXはほとんど伝えないのだ。サスペンションにはカイエン ターボ クーペと同様に、3チャンバー方式のエアサスペンションが採用されているのだが、細かなピッチングさえマナー良く消し去っているのは驚きであった。

そしてこのサスペンションと高剛性ボディがもたらすDBX最大の魅力が、正確無比の一言に尽きるコーナリングでの動きだ。ここまで正確にドライバーの意思どおりにコーナリングが楽しめるSUVは、これまでにどれだけあっただろうか。54対46という前後重量配分も、この印象を生み出す大きな理由となっているのも確かだ。

0-100km/h加速の4.5秒はカイエン ターボ クーペにやや遅れるが、最高速は291km/hと逆に若干の優位性を持つDBX。セントアサンに新設された新工場からデリバリーされるDBXは、ポルシェにとっても大きな脅威になりそうだ。

REPORT/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)
PHOTO/田村 翔(Sho TAMURA)

【SPECIFICATIONS】

アストンマーティン DBX

ボディサイズ:全長5039 全幅1998 全高1680mm
ホイールベース:3060mm
車両重量:2245kg
エンジンタイプ:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3982cc
最高出力:405kW(550ps)/6500rpm
最大トルク:700Nm(71.4kgm)/2200-5000rpm
トランスミッション:9速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前ダブルウィッシュボーン 後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前285/40YR22 後325/35YR22
0-100km/h加速:4.5秒
最高速度:291km/h
車両本体価格:2299万5000円

ポルシェ カイエン ターボ クーペ

ボディサイズ:全長4939 全幅1989 全高1653mm
ホイールベース:2895mm
車両重量:2275kg
エンジンタイプ:V型8気筒DOHCツインターボ
総排気量:3996cc
最高出力:404kW(550ps)/5750-6000rpm
最大トルク:770Nm(78.5kgm)/1960-4500rpm
トランスミッション:8速AT
駆動方式:AWD
サスペンション:前後マルチリンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤ&ホイール:前285/40ZR21 後315/35ZR21
0-100km/h加速:3.9秒
最高速度:286km/h
車両本体価格:2063万円

【問い合わせ】
アストンマーティン・ジャパン・リミテッド
TEL 03-5797-7281

ポルシェ カスタマーケアセンター
TEL 0120-846-911

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みんなのコメント

2件
  • アストンとポルシェは事あるごとに比較されて競合する関係になっているがリセールバリューが圧倒的に違うのでどうしてもポルシェになってしまう。アストンの車の質感や拘りや営業マンのレベルは圧倒的に高いが、買ってあげれないのが申し訳ない。911買いました。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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