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CARGUY木村武史、自チームでの2022年WECエントリーを切望。GTE消滅後はLMP2参戦へ?

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CARGUY木村武史、自チームでの2022年WECエントリーを切望。GTE消滅後はLMP2参戦へ?

 2021年、CARGUY Racingを率いる木村武史は、スイスのケッセル・レーシングとのジョイントにより、ル・マン24時間レースを含むWEC世界耐久選手権のLMGTEアマクラスにフェラーリ488 GTE Evoで参戦している。実業家として多忙な日々を送りながらも、アマチュアドライバーの最高峰を貪欲に目指す木村の勢いは、止まる所を知らない。

 残念ながらメカニカル・トラブルによりリタイアとなった今年のル・マンで得た収穫、そして今後のWECへの参戦計画などについて、スーパーGT復帰戦となった第5戦SUGOのパドックで、木村に話を聞いた。

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■2022年は『CARGUYレーシング』でのWEC参戦を企図
 ル・マン24時間参戦は、第2戦ポルティマオ8時間レースに続き、第4戦ル・マン24時間レースが木村にとって今季2度目のWEC出場となった。

 2019年の初参戦から3年連続3回目の出場となったル・マンついて、「今年は『速かったけど、クルマが壊れた』それに尽きますね」と木村。スタートからクラッチの不具合に見舞われていたケッセル・レーシングの57号車は、途中クラス首位を走行する場面もあったが、エンジンブローによりリタイアに終わった。

 決勝のリザルトこそ残らなかったものの、木村個人のドライバーとしてのスキルの面では、過去2回と比べても向上を感じられたという。

「初日から4分を切ることができ、プラクティスでも全体トップを出しました。タイムも、ガソリン搭載量を減らしたわけではなく(3分)55秒台が出たので、手応えはすごくありましたね」

 今季、WECはバーレーンでの2レースが残されているが、この2戦にも木村は出場予定だという。

 来季に向けては「コロナの情勢を見ながらですが」と前置きしつつ、「いまのところは出たいと思っています。予算、クルマ、チームはあり、ドライバーもいますので。そのためにバーレーンも出ておく形です」と、引き続きWECヘフル参戦する意向を木村は明かした。

 さらに、現在ケッセル・レーシングからとなっているエントリーについて、「自分のチームの名前(CARGUY Racing)で出るつもりです」という。

 2019年、初出場の際はアジアン・ル・マン・シリーズで出場権を勝ち取り、AFコルセのサポートを得ながら自チームでル・マンにエントリー、2020年のル・マンはMRレーシングの参戦枠を譲り受ける形で出場した。

 2021年は当初、CARGUY Racingとしてフル参戦を目指したが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて日本人ドライバー/スタッフでのフル参戦は困難と判断し、ケッセル・レーシングと組んでドライバーの木村のみが参戦する形を採っている。

「(来季は)CARGUYをエントラントとし、ケッセルにお世話になるという考えです。そのなかで、うちの日本人スタッフが少しずつ合流するというのが自然かもしれないですね。やはり、ルールや仕事のやり方、言葉の問題などもありますので、いまのところはケッセルと組んで参戦する、という考え方です」

 つまり、TFスポーツとジョイントして今季フル参戦しているD'station Racingと同様の参戦形態を模索しているようだ。

 木村によればケッセル・レーシングは「すごくいいチームで、すごく丁寧。こちらの意向もすごく聞いてくれる、ホスピタリティ精神あふれるチーム」とのことで、今季の参戦を通じて木村とチームとの間には確かな信頼関係が築かれている。またル・マン前には、木村はスイスに滞在。カーディーラーでもあるケッセルとともにスイスでの暮らしをエンジョイした。来季以降のジョイント参戦に向けては、理想的な環境を手にしつつあるようだ。

■GTが“ABS付き”になるのなら、LMP2参戦もあり
 2021年のル・マンでは、2023年限りでLMGTE規定の車両でのレースが終了し、WEC/ル・マンのGTクラスは2024年からFIA GT3規定をベースとする車両で争われることが発表された。

 LMGTE規定が2023年限りで終了となることについて、木村は「残念は残念ですよね。コンペティティブなクルマではなくなってしまい、そこで会得した技術が必要なくなってしまうので」と語る。

 木村は常々「ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)が無いことがLMGTEの魅力」であると口にしてきた。一方のGT3車両には、ABSが装備される。

「ル・マンの魅力であり難しさであるのは、最高速からのブレーキング」と語る木村は、そこで『タイヤをロックさせない、丁寧なブレーキング技術』を磨いてきた。それが「私にとっては、ABSはない方がいい」と語る理由だ。

 ル・マンがGT3車両で争われることとなれば、ストレートエンドではABSに任せてただ強烈にブレーキペダルを踏みつけるだけで良くなり、ライバルのジェントルマンドライバーに対する木村のテクニック面でのアドバンテージは失われてしまう。

 そんなWECの将来を踏まえ、木村はこう口にした。

「であれば、LMP2もありかなと思います。今年から、LMP2もプロ/アマ(カテゴリー)ができたじゃないですか」

 WECは今季、LMP2クラスにおいてブロンズドライバーを含むラインアップの陣営対象の『FIAエンデュランス・トロフィーLMP2プロ/アマ』を創設。ドライバー、およびチームの2部門で年間タイトルが争われており、レース後の表彰式もLMP2総合とは別に行われている。

 木村と言えば“スーパーカー”というイメージがあり、プロトタイプカテゴリーへの興味は少々意外にも感じるが、根底にあるのは“プロ/アマ最高峰”、つまり世界選手権においてアマチュアドライバーとしての最前線で戦いたい、という気持ちである。

「LMP2にも、ジェントルマンが戦えるクラスができた。そこをやらない手はないかな、と思います。『らしくない』と言われれば、そうかもしれませんが……」

 まずは来季、チームとしてLMGTEアマへのフル参戦を狙う木村とCARGUY Racing。その先には、新たな“冒険”も待っているのかもしれない。

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