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頼れる「仕事の相棒」が電動に! フォードE-トランジット・カスタムへ試乗 操縦性はワンボックス最高

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頼れる「仕事の相棒」が電動に! フォードE-トランジット・カスタムへ試乗 操縦性はワンボックス最高

仕事の頼れる相棒、トランジットがEVに

欧州のハイエース、中小企業を支えるフォード・トランジット・カスタムに、バッテリーEVが登場した。フォードがラインナップするワンボックスカーでは真ん中のサイズに当たり、今後数年間の内に、同社のベストセラーになる可能性が高い。

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配送ドライバーから内装職人、大手企業の営業マンに至るまで、ディーゼルエンジンでタフに走るトランジットは、英国では仕事の頼れる相棒になってきた。今後は走行時にCO2を排出しない、ゼロ・エミッションのE-トランジットへ置き換わっていくはずだ。

フォードにおけるこのモデルの重要度は、極めて高い。優れた多様性が求められる電動バンは、商用車市場の勝敗を左右する、要といえる1台だからだ。ライバルを圧倒する実力を備えるのか、確かめてみよう。

プラットフォームは新開発。ディーゼルエンジンで走る新世代のトランジットも採用するものながら、当初からバッテリーEVとプラグイン・ハイブリッドを想定して設計されている。

ボディスタイルは、一般的な1列シートのパネルバンから、ダブルキャブ仕様、トルネオを名乗る3列ミニバン仕様まで多彩。トリムグレードも、予算に応じて幅広い。

最廉価なエントリーグレードを除いて、車線維持支援にアダプティブ・クルーズコントロール、バックカメラなどが標準装備。上級のリミテッド・グレードを選ぶと、ヒーター付きのパワーシートやLEDヘッドライトなどが付いてくる。

馬力は3段階 スポーティなMS-RTグレードも

フォードらしいのが、スポーツ・グレード。バンでも、ボンネットがレーシングストライプで飾られる。これで不満足なら、MS-RTグレードもある。派手なボディカラーとエアロキットで、一層スポーティな見た目を得られる。

働くクルマらしく、シンプルなままの見た目も好ましい。未来的なフロントグリルで、バッテリーEVであることを主張する。

インテリアは、ダッシュボード上の13.0インチ・タッチモニターが花形。賢明にも、頻繁に操作する主要な機能には、実際に押せるハードボタンが用意されている。エアコン関係のメニューはモニター上に常時表示され、すぐに操作できるのも好ましい。

メーター用モニターは8インチ。駆動用バッテリーの残量なども確認しやすい。

E-トランジットは、5G回線のモデムを内蔵。車両管理者は、フォード・プロと呼ばれるコネクテッド・サービスを介して、駆動用バッテリーの充電量やセキュリティ状態などを確認できる。

駆動用モーターの最高出力は、135psか217ps、285psの3段階から選択可能。最大トルクは、42.5kg-mで共通する。

コントロールユニットをモーターの後方へ配置し、省スペース化。荷室のフロアを高くせず、余裕のある最低地上高を確保している。現在は後輪駆動のみだが、四輪駆動も追って登場するという。

ワンボックスカーでは最高水準の操縦性

135psでも、空荷なら充分すぎるほど強力に感じられたが、リミテッド・グレードでは217psへ引き上げられる。MS-RTを選ぶと、呆れるほどパワフルな285psを得られる。0-100km/h加速7.0秒というから、配達後の帰り道も楽しめそうだ。

ドライブモードは、ノーマル、スポーツ、エコの3段階を設定。サブメニューを辿れば、ブレーキペダルを踏まずに止まれる、ワンペダルドライブにも切り替えられる。

駆動用バッテリーが低い位置へ積まれることで、ディーゼルエンジンのトランジットと比較し、安定性は向上。出だしから鋭い動力性能と相まって、自信を持って運転できる。操縦性は、このクラスのワンボックスカーでは最高水準にある。

積極的にステアリングホイールを回しても、旋回中にアクセルペダルを蹴飛ばしても、シャシーのバランスが乱れることはない。乗り心地も、感心するほどしなやかだ。

走行中の車内は、基本的に静か。高速ではフロントピラーから風切り音が立つものの、気になる点といえばその程度。エンジン音がないぶん、余計に目立つのだろう。軽量化のためガラスが部分的に薄肉化されており、それも影響しているようだ。

駆動用バッテリーの容量は64kWhで、航続距離は325kmが主張される。急速充電能力は最大125kWまで。残量15%から80%までの回復を、約40分でこなせることになる。昼休憩の間にちょうどいい。家庭用の7kW充電器では、8.5時間が必要になる。

ベストセラーの成功を掴む可能性は高い

E-トランジットの車重は2255kgと軽くなく、最大積載量は970kgまで。牽引重量は2300kgに対応する。

英国価格は、4万3380ポンド(約868万円)から。ディーゼルエンジン版が3万2350ポンド(約647万円)からだから、割高に感じることは事実だ。

ちなみに、285psのMS-RTは6万490ポンド(約1210万円)へ上昇する。個性を出したいカーショップのオーナーなどには、魅力的なチョイスかもしれない。

従来同様、乗用車並みに考え抜かれたフォードの商用バン、E-トランジット。極めて機能的で、楽しく仕事をこなせそうだ。これから、ディーゼルエンジンのベストセラーに並ぶ成功を掴む可能性は高い。

◯:素晴らしい操縦性 快適な乗り心地 多彩なボディの選択肢
△:大きい風切り音 実際に押せるハードボタンはもっと欲しい ディーゼルエンジンと比べて短い航続距離

フォードE-トランジット・カスタム L1H1(欧州仕様)のスペック

英国価格:4万3380ポンド(約868万円)
全長:5050mm
全幅:2032mm
全高:1968mm
最高速度:112km/h
0-100km/h加速:12.0秒
航続距離:325km
電費:4.5km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:2255kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:64.0kWh
急速充電能力:125kW
最高出力:135ps
最大トルク:42.5kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

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