特に大きなアップデートをしたわけでもないRBの角田裕毅が、夏休み明け初戦のF1第15戦オランダGPでQ3進出を賭けて、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、カルロス・サインツ(フェラーリ)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)らトップチームのドライバーたちとコンマ1秒を争った。
最終的にQ2で10番手のアロンソに0.11秒及ばず、13番手に終わった。
角田裕毅、11番グリッドからスタートへ「予選で本来のペースを発揮できなかった」と落胆も入賞に大きな意欲/F1第15戦
「Q1はもう少し楽に通過すると思ったんですが、雨が降ったせいか、金曜日のフリー走行2回目とはまったくコンディションが変わってしまって、全然グリップがなくて苦しみました。金曜日はよかったのに、土曜日になって突然ペースが落ちた感じです」
予選後、角田はそう語った。それでも、角田は最後のアタックで、自己ベストをコンマ5秒以上も一気に更新するスーパーラップを刻んで、一時6番手につける走りを披露した。
「アタックを終えた段階で、Q3に行ける手応えを感じていたので、13番手に終わったことに驚いています。チームからは『あとコンマ1秒でQ3に行けた』と聞かされましたが、ここからのコンマ1秒は結構大きかったので、あれが精一杯。トップ5チーム以外でQ3に行ったウイリアムズ(アレクサンダー・アルボン)とアルピーヌ(ピエール・ガスリー)は今回入れたアップデートが機能しているんだと思います。彼らに対して、クルマのペースが足りなかったんだと思います」
目立ったアップデートがなかったにも関わらず、角田がQ3進出争いを演じられたのは、オランダGPの舞台であるザントフォールト・サーキットが高速タイプのコースではないことが関係していたと考えられるが、それ以外にも理由がある。それは改良したフロアだった。金曜日の【角田裕毅F1第15戦展望】でも触れたように、ベルギーGPで角田がペースが上がらなかった原因は、フロアにある問題を抱えていたからだった。
その問題はチームメイトのダニエル・リカルドには発生しておらず、角田のフロアだけに発生した。角田によれば、「壊れていたというより、もっと複雑な原因です」という。どういうことなのか。テクニカルディレクターのジョディ・エギントンを直撃した。
「我々がスペインGPに投入したフロアは、風洞実験どおりのパフォーマンスを発揮できていないことがわかったので、イギリスGPからは開幕戦から使用してきた旧スペックに戻し、それをサーキットごとに最適化して使ってきた。それがスパではユウキのマシンだけ問題を抱えてしまった。今回はそれを見直して使用する」
フロアをアップデートしたスペインGPまでの9戦で、角田は7回Q3に進出していた。旧スペックでもRBのVCARB 01と角田のドライビングなら、Q3進出を十分狙える力があった。
ザントフォールトはVCARB 01が不得意の高速コーナーが少ないため、コンストラクターズ選手権6位を守るためには、これからが正念場となる。そこで重要となるのが、今後のマシンのアップデートだ。
エギントンは、こう語る。
「フロアに関しては、今シーズンあと2回アップデートする予定だ。1回目は早ければ次のモンツァ(イタリアGP)。遅くともバクー(アゼルバイジャンGP)には持ち込みたい。そのあとはおそらくオースティン(アメリカGP)になるだろう」
そのアップデートが届くまで、角田のレースはクルマのペースだけでなく、ピットストップ戦略も含めて、粘り強い戦いが強いられるだろう。
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