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トヨタWRC育成の小暮と山本が『ラリージャパン』初参戦。高難度の母国イベントで多くの学びを得る

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トヨタWRC育成の小暮と山本が『ラリージャパン』初参戦。高難度の母国イベントで多くの学びを得る

「世界レベルで戦えるプロのラリードライバーの育成」を目的に、トヨタが2015年に開始したTOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラム。その2期生である小暮ひかる、山本雄紀が、11月21~24日に愛知県と岐阜県で開催されたWRC世界ラリー選手権第13戦『ラリージャパン』のWRC2クラスに参戦した。トヨタGRヤリス・ラリー2をドライブした両名は、小暮がクラス6位でフィニッシュ。一方の山本は速さを示しながらも、最終日にクラッシュを喫しリタイアとなっている。

 今季2024年もシーズン最終戦として行われたラリージャパンは、愛知県豊田市の豊田スタジアムを中心に、同市と近隣市町の山道に設定されたステージを4日間かけて争われた。

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 ラリージャパンのターマック(舗装路)ステージは全体的に道幅が狭く、中低速のツイスティなコーナーが多くを占めることが特徴だ。路面は基本的にフラットで舗装もスムーズな一方、大会開催時期の秋は落ち葉などが路面に散らばっている区間も多く、苔により非常に滑りやすくなっているセクションも見られた。そのためグリップの変化を読み取ることが難しく、ラリー1マシンを駆るトップドライバーでさえもミスを犯しやすい、難易度の高いイベントとなった。

 そんなラリージャパンにトヨタGRヤリス・ラリー2で初参戦した小暮は、シーズン中に負った怪我の影響でしばらくラリーへの出場を見合わせていたが、この母国ラウンドで競技に復帰。ラリー序盤の金曜デイ2はペースをつかむのに少し時間を要したものの、週末にかけて徐々に自信とペースを高めていき、WRC2クラス6位まで順位を上げてフィニッシュした。

 同じくプログラム2期生の山本は、9月にイタリアで開催されたターマックラリー『ミッレ・ミリア』で得た好調を維持し、好結果を残すべくスタートを切った。金曜にはスピンを喫しマシンにダメージを負ったものの、ステージ4番手タイムを刻むなど速さを発揮する。しかし土曜日は、経験豊富な他のドライバーと同じコーナーで石にヒットしてクルマにダメージを負い、その影響で40分以上を失ってしまう。それでも、修理後のSS15では3番手タイムを記録してみせた。

 完走が目前に迫った最終日、日曜2本目のSS18で山本はクラッシュを喫した。ハイスピードな右コーナーでラインがわずかに膨らんでしまったのだ。このアクシデントによってマシンの足回りにダメージを受けた山本は、ホームイベントでの完走を逃すこととなった。

 小暮と山本の指南役、プログラムのチーフインストラクターを務めるユホ・ハンニネンは、日本でのふたりの走りを次のように振り返った。

「何度か良い区間タイムを記録するなど(山本)雄紀のペースは素晴らしかったが、ラリーを通してそのスピードを維持するのは難しいものだ。彼はまだ多くのことを学んでいる最中なので、3日間を通してそのペースを維持するためには、さらに多くの作業と経験が必要だ」

「雄紀にとっては理想的な結果ではなかったが、シーズンを通して彼は大きく成長したと思う。彼の自信が明らかに向上していることは、ステージタイムを見れば明らかだ」

「(小暮)ひかるはラリー・イタリア・サルディニア以降、走行距離が非常に少なかったので、初日は慎重に走り、ラリー後半にペースを上げるというアプローチは良かったと思う。経験を積むためには、ラリーを最後まで走り切る必要がある。彼はシーズン中盤にラリーを欠場するという難しい状況に直面したが、今回きっちりと巻き返した」

■「離脱は辛かった」「競争力があるのは分かっている」

 復帰戦、そして母国ラウンドである『ラリージャパン』でクラス6位となった小暮は、日本のファンの応援が助けになったと語った。

「今週末の当初の目標は、とにかく長い距離を走ることだったので、初日はかなりセーフティサイドに振った運転を続け、なかなか良いリズムを掴むことができませんでしたが、ラリーが進むにつれて自信を持ってコーナーに入って行けるようになったので、ペースが上がりました」

「怪我で数カ月間戦線を離脱したことは辛かったですが、このラリージャパンで復帰することだけに集中することができましたし、それがうまくいったので嬉しく思います」

「多くのファンが応援してくれたのは素晴らしい経験になりましたし、自分にとって助けになりました」

 トラブルやアクシデントを複数回経験した山本は、最終的にリタイアに終わったもののペースに自信を持ち、前を向く。

「多くのことが起こったラリーでした。初日にパンクを喫し、次のステージではスピンをしてクルマにダメージを受けましたが、それでも金曜日のステージを走り切ることはできました。土曜日は徐々にペースをつかみ、その日の最後のステージまでに3番手タイムを記録することができたので、自分たちのペースを見せることができたのではないかと思います」

「このような形でラリーを終えることになったのは残念ですが、ラリージャパンは難しいイベントでした。いくつか改善を進め、自分たちに競争力があることも分かっていますので、もっとクリーンに走れば結果はついてくるでしょう。その意味で、今回自分たちが達成したことは励みになります」

「大勢の日本のファンの皆さんが応援してくれたことは本当に嬉しかったですし、モチベーションも上がりました。とても素晴らしいイベントだったと思います」

 ラリー翌日の11月25日に名古屋市内で行われた、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)の2025年WRC参戦体制発表の中でアナウンスされたとおり、小暮と山本の育成プログラムは来季も継続され、今後はラリー2カーでより多くのイベントに出場することになるという。

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