9月24~25日にフランスのル・マン、ブガッティ・サーキットで争われた2022年ETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップ第7戦は、開幕から快進撃を続けるハンガリー出身の王者ノルベルト・キス(レベス・レーシング/MAN)が、いつもどおり土日ともに予選ポールポジションを獲得。年間新記録を樹立するとともに日曜レース3で勝利を飾り、シリーズ連覇に華を添える結果に。最終戦を前に、キスにとってもキャリア通算4回目のタイトル獲得となった。
同月上旬のベルギー・ゾルダー戦では、サッシャ・レンツ(SLトラックスポーツ30/MAN)やシリーズ6冠を誇る“帝王”ヨッヘン・ハーン(チーム・ハーン・レーシング/イベコ)、そして2017年王者アダム・ラッコ(バギラー・ZMレーシング/FREIGHTLINER)などライバルの巻き返しに遭い、週末“わずか1勝”に留まっていたキスだが、迎えたフランスでの1戦も予選から容赦ないスピードを見せつける。
王者キスに待ったを掛ける、帝王ハーン、レンツ、ラッコと主役級が揃って勝利/ETRC第6戦
土曜午前の予選、そしてスーパーポール・セッションでいつものパフォーマンスを披露したハンガリー出身のチャンピオンは、自身のレコードタイムに0.66秒と迫る速さで今季12回目の定位置を確保した。
チャンピオンシップを早期に確定するという点で、続くレース1の行方が注目されたが、スタート直後こそドイツ出身のレンツがダンロップ・ブリッジ下で先行するも、サーキットの“ブガッティ・パート”に突入する頃にはディフェンディングチャンピオンが主導権を奪還。クリーンエアでリードを拡大したキスが、約7秒のマージンを築いて独走勝利を飾った。
こうしていつものスタイルで表彰台頂点に登壇したキスに対し、2位レンツ、3位アントニオ・アルバセテ(Tスポーツ・ベルナウ/MAN)の背後、4位でフィニッシュしたハーンがドライバーズチャンピオンシップで10ポイントを獲得。これにより、キスが仮にレース2で連勝を飾ったとしても、計算上のタイトル決定は翌日の日曜に持ち越されることが確定した。
■2度目の連覇、通算4回目の戴冠が確定
そのリバースグリッド採用のレース2では、テオ・カルヴェ(バギラー・ZMレーシング/フレートライナー)やジェイミー・アンダーソン(アンダーソン・レーシング/MAN)を従え、アンドレ・クルシム(ドント・タッチ・レーシング/イベコ)が最前列からスタートを切る。
しかし満員のグランドスタンドを前に地元出身のカルヴェが奮闘し、ターン1で早くも首位奪取に成功。ファンの大声援を前に隊列を率いていく。
その後のレースを通して、アンダーソンと王者キスからプレッシャーを受け続けたカルヴェだったが、11周のほとんどをノーズ・トゥ・テールで過ごした終盤、アンダーソンがミスを犯して勝負アリ。プロモーターズカップ登録のカルヴェが総合優勝を手にし、2位キス、3位アンダーソンのリザルトとなった。
明けた日曜午前のスーパーポールも、続くレース3でタイトルを決める可能性があるキスが「何もプレッシャーは感じていない」との言葉どおりに主役を演じ、アルバセテより1秒以上速いラップタイムで予選を通過。続くスーパーポール・セッションではペナルティマーカーとの接触のために最速タイムが抹消の憂き目にあったものの、セカンドベストでも2番手ハーンに対しコンマ6秒ものマージンがあったことから、セッションをふたたび最速で終える結果に。
終戦ムードが漂うなか、諦めるわけにはいかないハーンは、スタートから首位を奪って逃げの展開に持ち込もうとプッシュを続けるも、王者は「タイトル獲得には2番手で充分とは理解」していながら、数周後には帝王のイベコS-WAYレーシングトラックをキャッチアップ。最終的には約8.5秒の快適なリードで勝利を収め、2014~2015年に続き、2021~2022年の連覇による、自身4度目のシリーズ制覇を決めてみせた。
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