2月28日に2024年シーズンのスーパーGT・GT300クラスを戦うBRZをお披露目したスバル/STI。小澤正弘総監督に、パフォーマンスがやや伸び悩んだ昨シーズンの課題だった点について聞いた。
スバル61号車をドライブする井口卓人、山内英輝組は2021年シーズンにタイトルを獲得。翌2022年シーズンも連覇こそ逃したものの、ポールポジションを4回記録するなど強烈な速さを見せ、優勝1回、2位1回でランキング2位に入った。
■今年はルーフにカーナンバー入り! 王座奪還目指すスバルがスーパーGT・GT300のBRZをシェイクダウン
しかし、2023年シーズンはこれら2シーズンと比べると物足りない結果に終わった。開幕2レースでつまずきノーポイントとなって以降の6レースは全レースで予選4番手以内、その内ポールポジション2回と躍動し、決勝でも3位1回、4位2回、6位2回と安定したリザルトは残したのだが、優勝や2位といった大量ポイントを稼げるようなリザルトは残せず、タイトル争いに加わることはできなかった。
小澤総監督は28日に行なわれたお披露目会の中で、2023年シーズンについて「作戦の精度やミスの少なさなど、シーズンを通してのチームのレベルはすごく高いシーズンだった」としながらも、「なかなか成績に結び付かないシーズンになった」と話した。
またR&D SPORTの澤田稔監督は、「2021年にタイトルを獲得して以来、性能調整の風当たりは強くなっていますが、今年は性能調整にも負けず、タイトル奪回を目標にしたいと思っています」とコメント。「その中で必要な目標は全戦でのポイント獲得。最終戦までしっかりとシリーズチャンピオン争いを展開し、ファンの期待に応えられるように、毎戦確実なレースをしていきたいです」と意気込んだ。
これらのコメントを聞く限り、スバルはBoP(性能調整)の影響に相当苦しめられているようにも聞こえる。ただ小澤総監督に昨シーズンはやはりBoPに苦しんだのかと尋ねると、彼はそれ以上にタイヤグリップの前後バランスをうまく取れなかったことが、苦戦の要因になったと明かした。
「ダンロップさんには非常に良いタイヤを作っていただき戦闘力を上げられたのですが、フロントはあまり使えず、リヤだけ使っているような状態でした。前後のグリップバランスが取りきれなかったんです」
そう語る小澤総監督。相対的にリヤのグリップが高く、フロントのグリップが低い状態では、旋回中に車両が外側に膨らむアンダーステアが誘発される。そういった症状が、特に気温の高くない季節で出てしまっていたという。
「タイヤがしっかり温まるまでに、アンダーステア気味なことでタイヤを壊してしまい……ということが多かったです。真夏になるとしっかりバランスが取れて、鈴鹿戦などではずっと速く走ることができましたが(8月の鈴鹿戦ではポールポジションからシーズンベストの3位)、季節によってはそのバランスが崩れてしまった。そういったことが大きかったです」
「開発当初からそういう風になると理解していました。ただ、フロントのキャスター(角)やロールセンターを変えて車両の姿勢を調整することで解消できる、セットアップでなんとかバランスを取れるという自信があったところも半分ありましたが、それが最後までできなかったのが正直なところです」
小澤総監督曰く、こういった課題はタイヤサプライヤーであるダンロップも理解しているとのこと。ダンロップのタイヤ開発、そしてチームのセットアップの両面でこれを解決していきたいとした。
なおその他の部分でも、空力性能の向上やエンジンの信頼性と性能向上にも取り組んでいくというスバル。お披露目会でシェイクダウンされたBRZは昨年型と比べて空力形状の大きな変化は見られなかったものの、「下面のところは色々と(新パーツが)入っています。上面はあまりいじっていませんが、公式テストではフロントフェンダーをいじる予定です」と小澤総監督は言う。そしてエンジン面では、昨年から投入された新型ECUも問題なく機能しているようで、今季からGT300にも導入される再生可能燃料50%のカーボンニュートラルフューエルへの対応を進めていくとのことだ。
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