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イタリアン“スペシャリスト”の饗宴。地元クルニョーラが超接近戦から抜け出し大会連覇/ERC第5戦

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イタリアン“スペシャリスト”の饗宴。地元クルニョーラが超接近戦から抜け出し大会連覇/ERC第5戦

 世界的に有名なコロッセオ前のSSSで幕を明けたERCヨーロッパ・ラリー選手権第5戦『Rally di Roma Capitale(ラリー・デ・ローマ・キャピタル)』は、首位の初日リードがわずか0.7秒、明けた最終日のオープニングSSを終え、トップ6全体のギャップが9.1秒という僅差の接近戦が繰り広げられるなか、地元イタリアの国内選手権王者アンドレア・クルニョーラ(シトロエンC3ラリー2)が快走。

 同じくピレリタイヤを装着するシモーネ・カンペデッリ(シュコダ・ファビアRSラリー2)を最終的に22.3秒差まで突き放し、昨季に続く大会連覇でERC通算2勝目を飾っている。

地元出身リンナマエが快挙。最終パワーステージで9.3秒差を逆転しGRヤリス・ラリー2がERC初勝利

 前戦エストニアで10点差の選手権首位に返り咲いたディフェンディングチャンピオンのヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 Nラリー2)を筆頭に、ひさびさのフルターマック戦に挑んだERCの面々は、7月26~28日にフモーネの予選ステージ(4.00km)から舗装路面でのセットアップと感触を確かめていく。

 ここでトップタイムを刻んだのは、王者パッドンにポイントリーダーの座を明け渡していたマシュー・フランチェスキーニ(シュコダ・ファビアRSラリー2)で、フランス出身の25歳がERC首位奪還に向け盤石のスタートを切る。

「クルマは本当に良かった。ステージ最初のセクションはチェコのようで、とてもバンピーでかなり速い。ドライビングを楽しめたし、ターマックに戻れてうれしいね。エストニアからここに至るまでたくさん練習してきたから、また走る準備ができているよ」とフランチェスキーニ。

 しかし金曜夜にローマ中心部のコロッセオ・スーパースペシャルで幕を開けた本格競技区間では、各国のラリー選手権チャンピオン級がしのぎを削る展開となり、ここで最速タイムを刻んだクルニョーラが0.8秒のマージンで土曜レグ1へと臨む。

 ここから複数回のルーマニア国内王者を獲得するシモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビアRSラリー2)を交え、クルニョーラ、カンペデッリらイタリア勢が入れ替わり立ち替わりでSSトップタイムを刻む展開に。

 夜のパルクフェルメには、ミシュランを履く2番手のテンペスティーニに対し、わずか0.7秒のリードを維持したクルニョーラが首位で帰還し、予選最速のフランチェスキーニが総合3番手に滑り込んだ。

「岩を避けるのに慎重すぎたかもしれないが、つまりはそういうこと。いい仕事をしているけど、明日は厳しいと思うからどうなるか見てみよう」と、言外に『もっと速く走れる』ことを匂わせた首位クルニョーラ。

 そんなトップ3の背後では、最終SS7の最速タイムでパッドンを上回ったカンペデッリが総合4番手となり、そのSS7で「コースアウトしそうになった」と報告しながらも、スペイン出身の元ERC王者エフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビアRSラリー2)も「ひさびさに戦いに参加できた」と満足げな表情で6番手となり、この6台が9.2秒差にひしめく混戦模様となる。

■SS9でオストベルグのシトロエンが大クラッシュ
 明けた日曜はSS総距離93.66km、6つのステージで雌雄を決する一日となり、オープニングステージで首位を奪ったのがヤレーナだったこともあり、トップ6の差は9.1秒差に縮小。さらにテンペスティーニとフランチェスキーニはまったくの同タイムを刻んでみせる。

 続くSS9では、このラリー初出場で前日午前にポップオフバルブの問題に悩まされたマッズ・オストベルグ(シトロエンC3ラリー2)が、SS3での右フロント損傷に続き、スタート地点から21.8kmで大クラッシュを喫し、ステージは赤旗中断に。

 この時点で総合9番手だったオストベルグは、幸い待機していた救急車に自力で乗り込むことが可能な状況で、優勝争いはSS10からの仕切り直しに。ここから正午のサービスに向け11.0秒にリードを拡大したクルニョーラは、残る全ステージを制覇する“ゾーン”に入ったドライブで、パワーステージを前に20.4秒のマージンを獲得。この最終SSも制してさらに22.3秒差とし、約1年前のERC初優勝と同じく焼けつくようなイタリアの太陽の下で完璧なパフォーマンスを披露した。

「素晴らしい気分だ。イタリア選手権のことも考えていたから、ラリーをコントロールするのは非常に大変だった」と安堵の表情を見せたクルニョーラ。

「確かにかなりハードにプッシュしたが、シトロエンとピレリのタイヤには本当に満足している。とても暑い天気だったが、最初からプッシュしてギャップを管理することができたからね」

「このラリーは将来(の選手権争い)にとって非常に重要になるかもしれない。僕らは非常に良いポイントを獲得したし、素晴らしい仕事をしてくれたピエトロ(・オメット/コドライバー)とチーム、そして僕らの身近で僕らがここまで来られるように助けてくれたすべての人々に感謝したい」

 この日はインターコムのトラブルにもかかわらず、カンペデッリが2位に続いて地元イタリア勢がワン・ツーフィニッシュを達成。ヤレーナは昨季5月以来となるERC表彰台帰還の3位となり、ルーマニア王者テンペスティーニと今季のERCタイトル候補フランチェスキーニを挟んで、王者パッドンが6位となった。

「我々はベストを尽くしてうまくやろうとしたが、答えは見つからない」と舗装路に苦戦した様子のNZ出身チャンピオン。「今はそういう状況で、小さなポジションを争っているだけさ」

 これでランキング首位パッドンと2位フランチェスキーニの差が7点へと縮まった2024年のERCシーズン。続く第6戦もフルターマックの名物イベント『Barum Czech Rally Zlín(バルム・チェコ・ラリー・ズリン)』が8月16~18日に予定されている。

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