F1第7戦エミリア・ロマーニャGPの予選で熾烈なポールポジション争いを展開したマクラーレンは、決勝レースでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を負かすためにギャンブル的な戦略を取るつもりはないようだ。
マクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリは、予選でフェルスタッペンと激しいアタック合戦を展開。結果的にフェルスタッペンがポールポジションを獲得したものの、ピアストリが0.074秒差の2番手、ノリスも0.091秒差の3番手と肉薄した。
■ピアストリ、予選2番手も痛恨のペナルティ。マグヌッセンの妨害で、3グリッド降格
決勝では、2台でフェルスタッペンに襲いかかりたいところだったが、ピアストリが予選Q1での他車へのアタック妨害で3グリッド降格ペナルティを受けたことで、ピアストリがスタートでいくつかポジションを上げない限り、それはできなくなってしまった。
オーバーテイクが難しいイモラで、ミディアムタイヤからハードタイヤに交換する1ストップレースとなった場合、真っ向勝負でフェルスタッペンを圧倒する選択肢は少ないだろう。だが、マクラーレンが前に出るための戦略的オプションがないわけではない。
たとえばソフトタイヤでスタートし、最初のブレーキングゾーンでインに飛び込むリスクを冒したり、最初のピットストップでアンダーカットを仕掛けたり、逆にタイヤ交換のタイミングをできるだけ遅くし、レース後半でよりフレッシュなタイヤを履くという手もある。ノリスが勝利した前戦マイアミのように、セーフティカーがチャンスをもたらすかもしれない。
しかしマクラーレンのチーム代表であるアンドレア・ステラは、栄光を手にするために何をするにしてもギャンブルをするわけではないと明言している。
motorsport.comの取材に対し、ステラは次のように答えた。
「サイコロを振るような状態には絶対にしたくない。論理的な考察と戦略的な思考を駆使して、結果を最大化するための最善の方法を見出そうとしている」
「ここはターン1(実際には最初のブレーキングゾーンであるターン2)まで、今季の中で最も長い距離があるコースのひとつだと言わなければならない。だから、グリッド上の順位は必ずしも1周目終了時の順位になるとは限らない」
「いずれわかることだ。一般的に、ハードタイヤは比較的長く使えるから、戦略的なオプションがいくつかある」
「だから、早めにストップしてロングランし、アンダーカットをうまく利用することもできる。あるいは、あとからストップして、何人かをオーバーテイクしなければならないかもしれない」
「選択肢はいくつかある。どうなるか見てみよう。しかし、最も重要なのは、これらのオプションを使える状態にペースを保つことだ」
ピレリのF1責任者であるマリオ・イゾラは、気温がレースの行方を左右する可能性があると見ている。
「気温が高ければ、ハードのウォームアップに問題はないだろうし、アンダーカットは強力になるだろう」
そうイゾラは語った。
「気温がもっと低ければ、言うまでもなくハードはウォームアップで少し苦労するだろう」
マクラーレンがギャンブルで予想外のことをするチャンスがあると思うかと聞かれ、イゾラは次のように答えた。
「ここで状況をガラリと変えるような戦略的オプションを持つのは難しい。他のレースでは、より多くのバリエーションがあったので、何かを考案するのは簡単だった」
「しかし、いずれにせよ、コンマ1秒以内にクルマがひしめく非常に接近した戦いになっていると思う。そしてそれは、レース中に大きなアクションが見られることを意味している。ピットストップが1回だったとしても、面白いレースになるだろう」
イゾラは、フェルスタッペンをオーバーテイクするためにソフトタイヤでスタートする戦略は試す価値がないと考えている。
「スタートでソフトを履くというリスクを冒したいのであれば……確信はできないが、最初のコーナーで前に出てもポジションをキープしようとするだけになるだろう」
「それが本当に大きなアドバンテージになるかどうかは分からない。ソフトとミディアムの違いでゲインできる距離は非常に小さいことは分かっているし、ドライバーのスタートにもよる」
「マックスはどのスタートも非常に優れているのは周知の事実なので、もしソフトでスタートして序盤にオーバーテイクを試みてうまくいかなければ、レースに少しダメージを与えることになると思う。個人的には試すようなことではないと思う」
何よりマクラーレンは、フェルスタッペンとの勝負だけに集中するほど考えの甘いチームではないだろう。ノリスとピアストリの間にはフェラーリの2台がおり、彼らはFP2でのロングランペースも優れていたからだ。
ステラ代表は、片方の目はノリスの背後にいるフェラーリに向けておかなければならないと強調した。
「フェラーリは非常に競争力があると考えている」
「特にフリー走行で(シャルル)ルクレールが出したラップタイムは、我々と比べるとかなり印象的だった」
「だからあのラップタイムがレースで再現されれば、フェルスタッペンだけを見てはいられない。フェラーリのことも考えなければならないんだ」
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みんなのコメント
本来ワークスPUはマシン側の設計に合わせて保機類などをメインにPUのレイアウトを変更出来るが、カスタマーは出来上がったPUをそのまま受け取って、マシン設計をする必要がある。PUの開発競争になると毎年のようにPUが微妙に変更になるので、カスタマーチームのマシン開発はどうしても遅れがちになりやすですからね。
PU開発凍結は瓢箪から駒でカスタマーチームもワークスを喰えるレースが可能だと言う事を知らしめた。