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【過度に恐れないで】ベントレー・ターボR カギは整備履歴 英国版中古車ガイド

掲載 更新 3
【過度に恐れないで】ベントレー・ターボR カギは整備履歴 英国版中古車ガイド

定期的な整備を受けていることが大前提

text:John Evans(ジョン・エバンス)

【画像】ターボR 最新ベントレーと比較 全53枚

translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)


車重2.5tもあるラグジュアリー・サルーン、ベントレー・ターボR。手間のかかる厄介者に思えそうだが、しっかり状態を確認して選べば、ランニングコストが盛大に膨らむことはないだろう。

英国の場合、ディーラーでの9600km毎の定期点検で420ポンド(5万6000円)。その次の、1万9300km毎の点検でも800ポンド(10万8000)程度で済む。意外と高くはないのではないだろうか。

確かにフォルクスワーゲン・ゴルフよりは高いものの、ターボRは特別なクルマだ。専門の技術者による、定期的な整備であることを考えれば、納得できる範囲だと思う。

ベントレー専門ショップの代表、エイドリアン・ワースはこう話す。「定期的な整備を受け続けていれば、それほど悲惨な維持費にはなりません。手入れが不十分だったクルマを良い状態に戻すことの方が、はるかにコストが掛かります」

定期的な整備を受けてきたターボRとは、専門ショップで細かなメンテナンスを受けてきたクルマを指している。エンジンオイルの補充だけではない。トランスミッションのフィルターなどの交換も大切だ。

ずっと交換しないでいるとフルードがつまり、潤滑不良を引き起こしてしまう。「トランスミッションのオーバーホールが必要になります」。エイドリアンは忠告する。

ベントレー・ターボRを購入するなら、ディーラーが面倒を見続けてきたクルマか、専門ショップがオーバーホールしたクルマだけを候補としたい。探せば、なくはない。

ハンドメイドの高性能クラシック・サルーン

英国で調べた限り、1997年のターボRが目を引いた。レザー内装やボディの補修が施されているほか、前オーナーがサスペンションとブレーキ、冷却システムなどをオーバーホールしている。価格は1万5950ポンド(215万円)だ。

しっかり見定めれば、身近な金額でハンドメイドの高性能クラシック・サルーンを所有することも不可能ではない。エンジンはターボで過給される6.75LのV8。最高出力は300psあり、0-100km/h加速を7.0秒でこなす。

限定モデルのターボSでは390ps、珍しいRTでは405psを獲得している。製造終了の前年、1998年に登場したRTマリナ―では、426psに達した。

ミュルザンヌ・ターボの後継モデルとして、このターボRが登場したのは1985年。残念ながら、ミュルザンヌの評価は振るわなかった。速いのに、柔らか過ぎたのだ。

そこで登場したのが「R」で、ロードの頭文字。ミュルザンヌではオプション設定だったサスペンションを標準装備し、アンチロールバーは強固なものを採用した。タイヤも、扁平率の低いものが選ばれている。

1986年にはアンチロック・ブレーキと燃料噴射を搭載。長年採用されてきたGM製の3速ATは、1991年後半に4速ATへスイッチしている。

1995年になると、フェイスリフトにあわせて燃料噴射システムを改良。1996年以降は、ロング・ホイールベース版のみが販売されていた。

しっかり状態の良いターボRを選ぶこと。運が悪くなければ、心配するほどの維持費にさいなまれることはないだろう。

不具合を起こしやすいポイント

エンジン

初期のキャブレターエンジンは、キャブレター・ガスケットが傷みやすい。1996年以降のターボRでは、ゴム製のヘッド・ガスケットが劣化しやすい。タペット音がひどい場合、ロールス・ロイス製部品を用いた整備が必要。

冷却系

冷却系が原因で、エンジンに深刻な不具合を招く恐れがある。冷却ファンがエンジンの温度に応じて回転したり、止まったりするか確かめる。回転し続ける場合、交換が必要。

トランスミッション

基本的に信頼性は高い。フルードのフィルターは、定期的に交換しておきたい。

ブレーキとサスペンション

ダンパーやブッシュ、ボールジョイントなどの状態が悪いと、ステアリング系やフロント・サスペンションも一緒に傷みやすくなる。

リアのセルフレベリング・システムは、油圧ダンパー上部のガス・スプリングの圧力変化で動作する。経年劣化でスプリング内のガスが漏れると、サスペンションが硬くなる。油圧ダンパーのコントロールバルブが故障することも。

ブレーキペダルを踏んでブレーキ警告灯が付く場合、アキュムレーターからのフルード漏れの可能性がある。

ボディ

ドアとボンネット、ルーフはアルミニウム製。ドアハンドルやエンブレム周りが腐食することがある。後期型のクルマには、スチール製部品との間にゴム製のガスケットが挟んである。

バンパーのゴム製部品の変形に注意。交換は安く済まないことがある。パテの修理痕も確かめたい。

インテリア

エアコンなど、すべての装備が稼働するか確かめる。単純な電装系の修理でも、費用は安く済まない。

専門家の意見を聞いてみる

エイドリアン・ワース プレステージ・サービス・リーズ代表

「1974年から、ベントレーの販売店で技術者として勤務してきました。20年後に退職し、パートナーとともに独立。ベントレーとロールスロイスを専門とする、ショップを立ち上げました」

「ほかのプレステージ・サルーンと同様に、ベントレー・ターボRも長年面倒を見ています。このクルマは、充分な知識と技術を持った専門家によって、定期的なサービスを受ける必要があります。予防的な整備は、維持費を下げるうえでも重要です」

「整備記録が揃った、専門ショップか正規ディーラーが売り手のクルマを選ぶべきです。また、ごく初期のキャブレターエンジンも、不具合が多いので避けた方が良いでしょう」

知っておくべきこと

英国では、ベントレー&ロールス・ロイス・スペシャリスト協会という団体があり、高い技術力を持つガレージの認定を行っている。また正規部品に準じるOEM部品を製造する企業名も、公表している。

いくら払うべき?

4500ポンド(60万円)~6499ポンド(87万円)

走行距離が長めで、ソコソコの状態のターボR。英国では14万kmの1988年式で、5995ポンド(81万円)ほど。

6500ポンド(88万円)~9999ポンド(134万円)

多くの整備をベントレー・ディーラーで受け、整備明細が揃った1997年式ターボRが、7000ポンド(94万円)で出てきた。

1万ポンド(135万円)~1万5999ポンド(215万円)

整備内容の履歴が充実してくる。

1万6000ポンド(216万円)~1万9999ポンド(269万円)

専門ショップやディーラーが扱うクルマ。18万9900km走った1997年式ターボRで、1万9260ポンド(260万円)。

2万ポンド(270万円)以上

英国では走行距離が短いターボRが選べる。走行距離5万6000kmの、1997年式の極上車が2万9995ポンド(404万円)。

英国で掘り出し物を発見

ベントレー・ターボR 登録:1996年 走行:8万5300km 価格:1万4950ポンド(201万円)

個人売買のクルマ。多くの整備を主要ディーラーで受け、整備記録が揃っているようだ。直近ではブレーキとサスペンションの整備を受けているが、それも主要ディーラーだという。説明書などオリジナルの冊子と、ベントレー純正の傘が2本付いている。

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みんなのコメント

3件
  • 60万円の中古ベントレーターボRとか、誰がどう見たって回収不能の底なし不良債権だろ。。。
  • こういうビンテージカーをEV化したら面白そうですね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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