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V4ルックに伝統のLツイン!? ドゥカティ・パニガーレV2とはどんなバイクなのか【試乗インプレッション】

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V4ルックに伝統のLツイン!? ドゥカティ・パニガーレV2とはどんなバイクなのか【試乗インプレッション】

V4エンジンを搭載するパニガーレV4に通じるプレーンなカウルに伝統のLツインを組み合わせたドゥカティ・パニガーレV2。
コンパクトな車体が生み出す走りはどのようなものなのか。スペイン・ヘレスサーキットで、2気筒エンジンを搭載する最新スーパーバイクの実力に迫った。

一新したスタイリングと共にポジショニングも変わったのか?

【画像ギャラリー】ドゥカティ・パニガーレV2

ドゥカティのスーパーバイクにおけるフラッグシップは伝統のLツインではなく、今やV4エンジンに取って代わられている。
レースシーンにおける優劣は、やはりパワーであろう。いくらハンドリングが優れていようがパワーがなければ勝つことはできない。
一方、それは勝つための方程式であり、楽しく走らせることとイコールではない。これがV4の登場によって、明確な線引きがなされたようにも感じられる。
2020年モデルで、ドゥカティは従来までの959パニガーレをブラッシュアップ。新たに「パニガーレV2」とネーミングされ、2気筒エンジンのスーパーバイクマシンとしては最上級のポジションに就いた。

レースを意識したモデルとは違う立ち位置

レースでの活躍はV4に任せたためか、レース直系マシンとは言えない面もある。
サーキット走行と共に、ストリートでの操作性や快適性もおろそかにできないからだ。同社のレンジでは、「パニガーレV4」とツアラー的性格を備えた「スーパースポーツ」の中間といったポジションに位置する。

車体はエンジンをストレスメンバーとして用いるパニガーレシリーズ伝統のモノコックフレーム。
スイングアームは959パニガーレでは両持ちだったが、パニガーレV2は片持ちに。また、シートカウルやフロントフェアリングも刷新され、パニガーレV4のイメージを取り入れつつも、よりスリムでコンパクトな印象となった。

「V2」という名称ではあるが、90度のLツインエンジンを搭載していることに違いはなく、基本的に959のものを踏襲している。エンジンの搭載角度によりマシンをサイドから見た際、LではなくVの字に近いためこの名称となったようだ。これはV4も同様で、L4と表記しないところが興味深い。

ドゥカティが「スーパーミッドトラディション」と呼ぶミドルクラスのスーパーバイクマシンは、916の弟分となる748からその歴史が始まった。
当初はレースベースマシンとしての役割も担ったためある意味とがった面もあったが、848あたりからはその呪縛も解かれ、多くのライダーからベストと呼ばれるバランスのマシンとなった。
しかし、日本では最上級モデルが好まれることが多いく少し残念。「スーパーミッドトラディション」は、楽しさをより享受しやすいマシンとなっているのだから……。

加減速を自在に楽しめるパニガーレV2

テストはスペインのヘレスサーキットで行われた。筆者が同サーキットに訪れるのは7~8年ぶりだ。
パニガーレV2はパワーは必要十分ながらそれに翻弄されるようなパッケージングとはなっていないから、まずはコースの記憶を呼び戻すこととライディング操作に集中することができる。959パニガーレより5馬力アップされ155馬力となったエンジンは十分パワフルだが、それ以上にスムーズなことが印象的だった。

もともと959パニガーレは玄人受けするバランスの良さを持っていたが、より滑らかでスムーズなパワーデリバリーとなっている。スロットル開け始めのトルクの出方が非常にマイルドで、それがフラットに高回転域まで持続する。
それによって通常よりも高い回転数で操作することを完璧に許容する。ドゥカティらしい、高回転までストレスなく回る性能を堪能できる感覚は格別だ。

もちろん、1299パニガーレやパニガーレV4の高回転域にだって重さなど感じることはない。ただ、恐ろしいほどのパワフルさで、それを悠長に楽しんでいる暇などないという違いが大きいのだが……。
また、減速時のプレッシャーの少なさも大きなアドバンテージだ。一発一発のバックトルクがもたらす挙動の乱れにおびえることもなし。

こちらも当然、1299パニガーレやパニガーレV4の優れた電子制御の恩恵によりそんなに怖い思いをすることなどないのであるが、根本的な慣性の大きさがまるっきり違う。パニガーレV2は、「まるで2ストローク」と言っては大げさかもしれないが、コーナー進入で素早くシフトダウンすることを許容。ある程度高回転を維持することにより、リヤからグイグイ旋回していく特性もあり、その回転数を維持する楽しさに夢中になる。

クイックシフターは人間の能力を超えて、素早く安全な減速にひと役買ってくれていることも改めて感じさせる。
電子制御は最新の6軸IMUを新たに装備することで、マシンのコントロール性、安定性もより磨きが掛けられている。それは高速コーナーの立ち上がりのスライドポイントで明らかになった。

さと安全性の質が大幅に向上したパニガーレV2

トラクションコントロールが介入しているのか否か、判断するのが非常に難しい。ウイリーコントロールも同様。それだけ自然な制御であるだけでなく、パワーとのバランスが非常に絶妙であるということが分かる。
ハンドリングは軽快で、狙ったラインをしっかりトレースしていく。リヤのホイールリムに5.5インチサイズを採用するなど、セットアップは軽さを軸に、一際高い接地感を提供している。
ご存じのように、パニガーレV4のフレームはモノコックではなく、フロントフレームと呼ばれるアルミフレームを採用している。

「モノコックは剛性バランスを取るのが難しかった」とエンジニアがコメントしていたことを思い出す。そのことを今回、V2のエンジニアに伝えると、「確かにレースシーンだけで考えると、モノコックフレームには一長一短があって、難しい側面もあるんだ。ただ、V2の担うオールラウンドなシチュエーションではメリットも多い」という。
そして、テストしたパニガーレV2からは、神経質さやネガを感じることが全くなかった。

恐ろしくコンパクトで一体感が高く、良くできたシャシーに思える。モノコックだから良いとか悪いではなく、特にこれはパワーバランスによる面が大きいのではないかと感じられた。どんな形態にせよ、ハイパワーになればなるほど不安なく走らせるにはバランスを取るのに苦労するのだと。
また、モノコックで対策に苦労したという不快なバイブレーションとも無縁であったことも朗報だ。

パニガーレV2が体現した、上質なミッドスポーツの素晴らしさ

テスト車はテストライダーが最良と思うセットアップが施されているとはいえ、それはSTDのサスペンション設定を変更したのみ。あとはタイヤをレースコンパウンドのピレリのディアブロスーパーコルサV3に換装しただけで(このタイヤがまた驚異的に素晴らしいのであるが)、走りに全神経を集中させて楽しむことができる。
改めて上質なミッドスポーツの素晴らしさを堪能させてもらった。

「見た目が変わっただけでしょ?」そう思う方もいるかもしれない。確かに大きな変化はないとも言えるが、1299パニガーレが廃番となったことで、今まで以上に素直にパニガーレV2を評価することができるようになった。
元々959パニガーレ自体が良いマシンであったのだが、それがデザインを一新してより魅力的なスタイリングに。
そしてさらに速く、安全で扱いやすくなっている。それが従来型とほぼ同じ価格で買えるのは素晴らしいことでもある。

パニガーレV2は、ドゥカティ、そしてスポーツバイクの素晴らしさをフルに堪能できるマシンとなっていると感じる試乗だった。

ドゥカティ・パニガーレV2主要諸元

【エンジン・性能】
種類:水冷4ストロークV型2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク:100.0×60.8mm 総排気量:955cc 最高出力:114kW(155ps)/10750rpm 最大トルク:104Nm(10.6kgm)/9000rpm 燃料タンク容量:17L 変速機:6段リターン

【寸法・重量】全長:ーー 全幅:ーー 全高:ーー ホイールベース:1436 シート高:840(各mm) 車両重量:200kg タイヤサイズ:F120/70ZR17 R180/60ZR17

価格●225万円  予想発売時期●2020年夏

(レポート●鈴木大五郎 photo●ドゥカティ 編集●日暮大輔)

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