TOYOTA GAZOO Racingは6月28日、若手ドライバー支援プログラムである『TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム』の活動強化を発表。育成ドライバーである勝田貴元をWRC世界ラリー選手権の最高峰クラスに、トヨタ・ヤリスWRCで出場させることを明らかにした。
全日本ラリーチャンピオンの勝田範彦を父に持つ貴元は1996年生まれの26歳。カート、ミドルフォーミュラを経て父、そして祖父・照夫と同じラリーの道を選んだ勝田は、2015年にスタートしたTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムに参加し日々ラリードライバーとしての経験を積み重ねてきた。
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2018年のラリー・フィンランドでは日本人初のWRC2クラス優勝を飾ると、同年に強化されたプログラムで育成ドライバーに選出される。今季も同プログラムのなかでフォード・フィエスタR5を駆ってWRC2クラスに参戦しつつ、トヨタ・ヤリスWRCでフィンランドの国内シリーズに出場した。
WRC第6戦チリで自身2度目となるWRC2クラス優勝を飾った勝田は、ヤリスWRCで参戦したフィンランド国内選手権でも2戦2勝という好成績を収めている。
TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムはそんな勝田の成長を鑑み、プログラムの目標である“日本人WRCドライバーの誕生”の早期達成を狙うことを決断。
その一環としてシーズン後半の活動内容を一部変更し、WRC第10戦ドイツ、同13戦スペインで勝田がドライブするマシンをフォード・フィエスタR5からトヨタ・ヤリスWRCへとスイッチすることに。これにより勝田のWRC最高峰クラスへのスポット参戦が正式に決定した。
「勝田は今シーズンここまで良い結果を残している。WRC2クラスで戦うなかで、ドライビング技術の向上と、一貫性を持つことに成長を見せていると考えている」と語るのは、育成プログラムを監修するトミ・マキネンTOYOTA GAZOO Racing WRT代表だ。
「ヤリスWRCで初めて参戦したフィンランドラリー選手権でもしっかりとした走りをみせてくれた。このような彼の成長を見て、次のステップへの準備は整っていると判断したんだ。そこで、さらなる成長の促進を図るため、WRCトップカテゴリー2戦に出場する機会を与えた」と最高峰クラスへの抜擢理由を説明したマキネン。
■勝田貴元「僕にとってのゴールはここではありません」
「勝田はドイツでのラリーは初めとなるし、スペインはグラベルとターマックで構成されるラリーとなるため、とても大きな挑戦になるだろう」
「そのため、結果を追うことを目標とはせず、ドライビング技術の向上と、参戦を通してさまざまなことを学ぶことを優先させる予定だ」
WRCクラスへの参戦が決まった勝田は「まずサポートしてくださったみなさまに感謝の気持ちをお伝えしたいです」とコメント。
「4年前ラリーに転向してから、将来WRCワールドチャンピオンを獲ることを考えてラリーに取り組んできました」
「良いこともあれば、悔しかったこと、苦しかったことも沢山ありました。本当に多くの方にサポートいただき、この度大きな一歩を踏み出すことができます」
「ですが、僕にとってのゴールはここではありません」
「今年、ヤリスWRCに乗ってから徐々に手応えを掴みつつあります。近い将来WRCトップカテゴリーで戦うためにも、今は焦らず着実に経験を積み、このチャンスを無駄にしないよう、一戦一戦成長していきます」
「まだまだ夢へ向けてやるべきことは多いですが、必ず最後までやり切ります」と頼もしい宣言を残している。
今後、勝田は7月12~14日に行われるラリー・エストニア、8月1~4日のラリー・フィンランドにフォード・フィエスタR5で参戦したのち、8月22~25日のラリー・ドイチェランドでヤリスWRCをドライブする。さらに、10月3~6日のラリーGBで再びフィエスタR5をドライブし、10月24~27日に開催されるラリー・スペインでは2度目のWRCクラス参戦が予定されている。
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