富士スピードウェイで行なわれたスーパーGT第4戦では、ホンダ勢が今季からシビック・タイプR-GTの初優勝をワンツーフィニッシュで達成した。2位に入った100号車STANLEY CIVIC TYPE R-GTの山本尚貴/牧野任祐組は予選ポイントと合わせて17ポイントを稼ぎ、36号車au TOM'S GR Supraの坪井翔/山下健太組と4ポイント差のランキング2番手に浮上した。
100号車はホンダ勢の中では最も重い40kgのサクセスウエイトを積みながら、予選で8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTに次ぐ2番手を確保。決勝レースでは牧野が8号車に食らい付き続け、射程圏のマージンを保ったまま山本に交代した。
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レース折り返しの40周前後には8号車とのギャップがさらに詰まり、その差は1~2秒ほどに。そこからしばらく膠着状態が続いたが、残り10周前後ではやや離される格好となり、そのまま2位でのフィニッシュとなった。
当時のことを、山本は次のように振り返る。
「(後半スティント)最初の20周はチャンスだと思いました」
「ただ彼(8号車の松下信治)の後ろについたことでダウンフォースが少ない中で走ってしまったので、想定されている以上にタイヤの消耗を進めてしまった感はあります。後ろについたら一発で仕留めたかったのですが、仕留めるだけの余力はなかったですし、いっぱいいっぱいでした。トラフィックなどで前に出られれば良かったですが、彼も隙がなかったです」
「でもやり切ったし、チャンピオンシップを考えると開幕戦に続いて表彰台に乗れて、良いレースができたと思います」
また牧野も、自分たちのサクセスウエイトを考えると2位が最大限の結果だったと振り返った。
「クルマのパフォーマンスは、特に前回の富士(第2戦)と比べて格段に良くなっています。前回は予選も決勝もペースが上がらず苦戦しましたが、今回は全て快調でした。もちろんシビックの初優勝を自分たちで勝ち獲りたかったですが、今回は8号車のサクセスウエイトが軽かった(6kg)ということもありますし、これが最大限の結果だったと思います」
また山本は、開発ドライバーとしてシビックの進化に貢献してきた立場。初優勝は8号車に譲ることとなったため、「自分の立場を考えると、どのような言葉を発すればいいか難しいですが……」としつつも、この勝利が後半戦に向けた起爆剤になってほしいと笑顔を見せた。
「ウエイトの兼ね合いがあるにしても、勝つべきクルマが勝ったと思うし、ここで一矢報いること、一泡吹かせることができました。これを皮切りに開発陣の皆さんのモチベーションがまた上がって、後半戦の良い起爆剤になってくれればと思います」
「HRC Sakuraで開発を頑張ってくれている方たちに良いニュースが届けられたかなと思いますし、また良いクルマを作っていきたいですね」
スーパーGTはこれでシーズン折り返しとなり、鈴鹿、SUGO、オートポリス、もてぎでの4レースが控えている。レース終了直後のインタビューだったこともあり、山本は後半戦に向けた展望について多くを語ることはなかったが、「36号車がしぶといレースをして追い上げているのを見ると、自分たちもまだまだやるべきことはあるのかなと思います。ここからギヤを上げてみんなで頑張りたいです」と意気込んだ。
36号車au TOM'Sは、開幕戦をポール・トゥ・ウインで飾っていきなり43kgのウエイトを積んでからも、第2戦富士で11番手スタートから4位、第3戦鈴鹿も11番手スタートから5位と、文字通りしぶといレースを見せてきた。今回の富士戦も燃料流量リストリクター2段階ダウンによる直線スピードダウンの影響も受け予選14番手に沈んだが、それでも決勝は7位まで追い上げて4ポイントを加算して見せた。
牧野も、36号車がこれほどまでに力強いレースを見せていることから、チャンピオン争いは簡単ではないと語った。
「富士はシビックにとっては良いサーキットですが、36号車のレースペースは力強かったですね。彼らの最終スティントを見ていましたが、本当に強かったです」
「僕たちは彼らとチャンピオンを争うことになりますが、厳しい戦いになると思います」
「(次戦)鈴鹿でも力強いレースができればと思いますが、また350kmレースなので予選が重要になると思います。36号車のレースペースが良いのは誰もが知るところですが、予選順位が低いと挽回は難しいと思います。僕たちも予選ペースにフォーカスしないといけません」
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