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戦略ハマらず「繊細なコンディションだった」とリンス。クアルタラロはリタイア/第6戦フランスGP

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戦略ハマらず「繊細なコンディションだった」とリンス。クアルタラロはリタイア/第6戦フランスGP

 5月11日、2025年MotoGP第6戦フランスGP MotoGPクラスの決勝レースがル・マン-ブガッティ・サーキットで行われ、モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームのアレックス・リンスは12位、ファビオ・クアルタラロはリタイアとなった。

 土曜日までの好天から一転、夜の雨が路面に残り、朝のウォームアップはウエットコンディションとなった。クアルタラロはフランス国旗のトリコロールがあしらわれたスペシャルカラーのマシンとスーツでコースインする。日曜のル・マンでは、午後に雨の予報も出ており、全ライダーがウエットタイヤの感触を確かめていた。確認走行が主となった10分間のセッションでは、クアルタラロが15番手、リンスが14番手となった。

ホンダのザルコが雨を制して約20秒差で独走優勝。ドゥカティ連勝ストップ/第6戦フランスGP 決勝

 ドライコンディションで行われたMoto2クラスの決勝レースが終わった途端に雨が降りはじめる。それでも最高峰クラスの決勝レースのスタート進行は順調に進んでいき、全車スリックタイヤでウォームアップラップが始まった。しかし、その途中から雨が強まり、車両の乗り換えが可能となるホワイトフラッグが掲示される。すると、ウエットタイヤのマシンに乗り換えのためにすべてのライダーがピットインしたため、赤旗中断となりスタートが遅れた。

 全車ウエットタイヤで再度ウォームアップラップが始まるも、今度は雨足が弱まり、クアルタラロを含め10名を超えるライダーが再びピットに戻ってスリックタイヤへ変更する。一方でリンスはウエットタイヤのままと戦略を分けた。スタート前にマシンを変えたクアルタラロは、新規則のため、ダブルロングラップペナルティを科されることとなった。

 その後、もう一度ウォームアップラップをしたのち、前述の中断で1周減算の26周となった決勝レースがようやくのスタートを迎えた。スタートでは、スプリントと同様に一度マルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)にホールショットを奪われるも、2・3コーナーのシケインの出口で先頭を取り戻す。母国ファンの歓声が響くの中、2番手に0.6秒差をつけてトップで2周目に入る。徐々にギャップを広げていたクアルタラロは、3周目に1回目のロングラップペナルティを消化し、5番手に後退する。

 雨が強くなりはじめた4周目、他のライダーも同ペナルティを消化したため、クアルタラロは2番手となるも、最終コーナーでまさかの転倒。マシンを再始動できず、あまりにも悔しいリタイアとなった。

 リンスは、オープニングラップ後にスリックタイヤへ変えるためにピットインしたが、ダブルロングラップペナルティよりもかなりのタイムロスとなってしまった。しかし、数周後に雨が強くなったため、ウエットタイヤに戻すべく4周目に再びピットインを余儀なくされた。全車ウエットタイヤとなった8周目の時点で、リンスは14番手に位置していた。

 前後とも10秒以上離れており、単独走行の状況となったリンスは、徐々に前方のルカ・マリーニ(ホンダHRCカストロール)との差を縮めていく。レース後半にも転倒が発生し、リンスは2つポジションを上げて12番手へ浮上するも、前を行くマリーニには届かず。12位でチェッカーを受け、4ポイント獲得を果たした。

 ヤマハ勢においては、パートナーシップを結んでいるアルピーヌのブランド創立70周年記念カラーで挑んだプリマ・プラマック・ヤマハMotoGPであったが、ジャック・ミラーは6周目に、ミゲール・オリベイラも19周目に転倒し、ダブルリタイアという結果で終えることとなった。

 決勝レースでは、完走・入賞ともリンスのみとなったヤマハ。予選とスプリントで見せた活躍で進歩していることがわかっているが故に、トリッキーな決勝でもクアルタラロが上位フィニッシュできたであろうことは想像に難くない。しかし、ヨーロッパラウンドもまだ2戦目。コンセッション(優遇措置)が確定しているサマーバケーションまでにヤマハはどこまで開発できるのか、期待が高まるばかりだ。


アレックス・リンス(決勝:12位)

「これはまさに“記録に残るレース”だった。ストレス、判断、すべてがアンビリーバブルだったよ。気象レーダーを見ていたら雨が来る予報で、最初はウエットタイヤと決めていたけど、ウォームアップラップ後にスリックタイヤへの交換するためにピットインした。すると今度はレッドフラッグとクイックリスタートになったね」

「レース中の問題は、2回もピットインしたことで、多くのライダーより1回多かったんだ。再スタート時のグリッドでウエットを履いていたことは正しい判断だったけれど、ペースが上がらず、『スリックを試してみよう』と思ってピットインしたんだ。でも、その後もう一度ウエットに戻すために再度ピットインすることになったよ」

「限界を探るには本当に繊細なコンディションだったから、レース中はとにかく落ち着いてマネジメントすることに集中した。中盤には違うラインを試したら、これが奏功して1分46秒台のラップを刻むことができて、マリーニに対して3秒差まで縮められたよ。あと数周あれば、彼を抜けたかもしれないね」


ファビオ・クアルタラロ(決勝:リタイア)

「優勝するため、表彰台に上がるために必要なペースを維持するのが難しいことは分かっていた。だからこそ、雨が降り始めたときには、最初の数周で100%の力を出してプッシュしたかったんだ。序盤はかなり速く走れていたから、スタート時にスリックタイヤを選んだのは正解だったと思う。1度目のロングラップペナルティを消化しても、まだマルク(・マルケス)にかなり近い位置を走っていたし、うまくプッシュできていたけど、ほんの少し雨が強くなりフロントを失ってしまった」

「でも、僕たちはベストは尽くした。悔しいけれど、それでも本当に楽しい週末だったね。素晴らしいペースとラップタイムを見せることができたと思うし。全力を出せたし、観客の盛り上がりもすごかった。木曜日の時点ですでにグランドスタンドがいっぱいで、週末を通してファンがずっと応援してくれたんだ。勝てなかったのは残念だけど、(同郷の)ヨハン・ザルコ(カストロール・ホンダLCR)がどんな気持ちかは想像できるよ。彼におめでとうと言いたいね!」

[オートスポーツweb 2025年05月12日]

文:AUTOSPORT web
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