かつてF1ドライバーとしてジョーダン、トヨタ、ヴァージン、マルシャで活躍し、2013年からはBMWのファクトリードライバーとして、DTMドイツ・ツーリングカー選手権へ転向したティモ・グロック。41歳のドイツ人ドライバーはこの2023年にフリーとなり、以前からライフワークとする“F1エキスパート”として母国のテレビ番組でレポーター業をこなすほか、VIPゲストドライバーとしてポルシェスーパーカップの最終戦のモンツァに参戦するなど、多忙な日々を過ごしている。
そんなグロックが以前から興味を持ち、参戦を希望していたニュルブルクリンク24時間レースを目指し、“Permit(許可の意)”と称されるニュルライセンス取得を目的に、自身初となるNLSニュルブルクリンク耐久シリーズへ初出場を果たした。10月7日(土)に開催されたNLSの最終戦にBMW M240iクラスから参戦したグロックに、初ノルドシュライフェの感想を聞いた。
横浜ゴムの『ADVAN』装着車がニュルブルクリンク耐久シリーズ第8戦で総合優勝
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――今回はニュルのライセンスを取得目的とする参戦だと思いますが、目標はやはり24時間レースへの参戦でしょうか?
ティモ・グロック(TG):「テレビの生中継のレポーターとしてニュル24時間レースには何度か出演したことがあり、長年このレースには非常に興味を持っていた。ただ、ニュルライセンスを持っていなかったんだ。自分のDTM現役時代やF1のレポーターの仕事と重なってなかなか時間が取れず、何度もスケジュールを調整していたが、やっと今回その機会が訪れた」
――ニュル24時間レースへ出場のオファーはあったと聞きました。
TG:「実は今年、ティモ・シャイダーとマイク・ロッケンフェラーと組んでアウディR8 LMSエボIIで参戦するというオファーを貰ったのだが、残念ながらニュルライセンスを持っておらず、また取得まで時間も足らず断念せざるを得なかった。僕の代わりにマーティン・トムチェクが参戦することになった」
TG:「来年どんなオファーが貰えるのか、それさえも分からないけれど、ニュル24時間に呼ばれたらいつでも出られるようにしておきたい。ただ、いまドイツのモータースポーツの経済状況は必ずしも容易ではないだけに来年のことは未定だ」
■経験豊富なグロックですら“想像を絶する”GT3ドライバーの走り
――ところで、今回のNLSが、あなたにとって初めてのノルドシュライフェでのレースとなったようですね。
TG:「15年ほど前に自分のクルマでツーリスト走行をしたのがノルドシュライフェの初体験で、その後は2~3回愛車で走ったことがある程度で、今日のレースが本格的なニュルレースデビューとなった」
TG:「今日のレースを迎えるにあたって、昨日のフリープラクティスで走った7ラップが、ノルドシュライフェをレーシングカーで走行した初めての経験で、とてもチャレンジングでエキサイトしたよ」
――もし、あなたが来年ニュル24h時間レースに参戦するとしたら、恐らくGT3マシンでの参戦になるかと思いますが、今回初めて実際にトラック上でGT3マシンと混走した感想は?
TG:「さまざまなクラスのマシンが混走するこんなにも物すごいトラフィックの中で、うまくかわしながら走るGT3ドライバーたちを本当にレスペクトするよ」
TG:「M240iで走りながら見るGT3ドライバーを皆すごいと感じた。実際の24時間レースではさらにもっと多くのエントリーがあるだけに、正直いまの僕にはちょっと想像を絶するレベルだ」
――今回の初ニュル耐は思うように走れましたか?
TG:「自分自身では良いラップタイムで走れたと思っている。けれど、一番の目的はニュルライセンスを取得することなので、(今後も)ミスのないよう着実に頑張りたい」
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グロックらが乗り込んだUp2Raceの680号車BMW M240iレーシング・カップは、117台のエントリー中75番手で予選を終え、決勝では総合51位/BMW M240iクラス4位で無事にチェッカーフラッグを受けた。
同レースには、ルノーF1やウイリアムズF1でリザーブドライバーの経験がある韓国人初のF1ドライバーで、現在はル・マン24時間、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権などの耐久レースやDTMで活躍するジャック・エイトケンも、ヒョンデi30 Nを駆り登場。また、NLSの前戦第8戦にはグロックと同様に元F1ドライバーのクリスチャン・クリエンがクプラで参戦。中嶋一貴も昨年のNLS最終戦にトヨタGT86で初参戦するなど、元F1ドライバーたちのニュルライセンス取得の動きが続いており、今後の著名ドライバーによるニュル24時間レースへの参戦に期待したい。
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