岡山国際サーキットで行なわれたスーパーGT開幕戦の予選。GT300クラスのポールポジションは65号車LEON PYRAMID AMG、2番手は2号車muta Racing GR86 GTと、ブリヂストンタイヤを履く車両が速さを見せた。
近年のGT300の“予選王”と呼んでも差し支えない61号車SUBARU BRZ R&D SPORTは、Q1を山内英輝、Q2を井口卓人が担当するというこれまでとは逆のシークエンスを採用したが、Q1でこそ圧倒的な速さを見せたもののQ2のタイムが伸びず、3番手に終わった。
■23号車MOTULのクインタレッリ、予選Q2担当もペース上がらず6番手……しかし決勝には手応えアリ?「僕らはトヨタ勢よりも良さそうに見えたんだ」
今季からは予選がノックアウト方式ではなくなり、Q1とQ2のタイムを合算して順位を決める方式に変更となった。しかもQ1、Q2は同じタイヤでアタックすることが義務付けられているため、ニュータイヤが使えるのはQ1のみ。スバルはQ1で山内がニュータイヤのうまみを存分に活かしたアタックをし、Q2で井口がユーズドタイヤにアジャストするという流れで予選を戦うことにしたのだ。
ただQ1からQ2にかけての路面変化が大きい中、慣れないQ2に慣れないユーズドタイヤ。井口としても手を焼いた部分もあったようだ。「なかなか掴みどころがないというか、なかなか難しい1日だった」と彼は振り返る。
一方でQ1、Q2共に高水準のタイムを残したのがブリヂストンユーザーの65号車LEONと2号車mutaであった。特に2号車mutaに関しては、Q1で平良響が2周連続のフライングラップを敢行し、タイムを削っていった点は興味深かったと言える。新予選方式になったことで、Q1ではQ2に向けて出来るだけタイヤを温存したいはずだからだ。
予選後平良が語ったところによると、計測4周目……つまりアタック2回目が“本命”のラップだったという。ただその前の周もアタックをしたことで「ちょっと(堤)優威さんにタイヤを残してあげられなかったのかなという感じもするので、僕も悔しいです。ふたり共にとって悔しい予選になりましたね」と悔やんだ。
ただ、2周連続のアタックでもタイムを縮められるブリヂストンタイヤの“伸びしろ”については、ライバルメーカーであるダンロップのタイヤを履く井口も舌を巻く。
ブリヂストンユーザーの予選でのパフォーマンスは脅威かと尋ねると、井口はこう返した。
「やっぱり脅威すぎますね」
「我々チームの一発のパフォーマンスは昨年から高い状態にあったと思いますが、今日のBS(ブリヂストン)を見ていると、2アタック目に行ってもそこでタイムを上げてきます。我々は1周(アタックに)行って、次に行ったときの上がりしろがない状態です。(BS勢の)ゴムの強さみたいなところは、予選で感じましたね」
「とは言っても、山ちゃん(山内)がすごい良いタイムでギャップを作ってくれた中でポールを取れなかったのは、自分のQ2の処理の仕方というか、まとめ方が悪かったなという部分もあるので、そこを色々考えないといけません」
3番グリッドからスタートする決勝に向けては「ロングランはテスト段階からものすごく考えてきた部分。セットもタイヤも自信を持っているので、BS勢が手ごわいとは言えしっかりと食らいついて、最終的に我々が前でゴールできるよう頑張りたい」と意気込む井口。一方スバルの前、2番グリッドから発進する2号車mutaの平良も、決勝に向けては自信ありげだ。
「BS勢の中でも柔らかい、ハード寄り(といったタイヤ選択の違い)があると思いますが、今回僕たちはこの暑い天気を見事的中させました」と平良は言う。
「タイヤ選択、そのタイヤを作ってくれたBSさんと共に、完璧だったかなと思います。となると、明日の決勝が非常に楽しみです」
ポールシッターの65号車LEONを追いかけることになる2号車mutaと61号車SUBARU。2号車は、ロングライフのブリヂストンタイヤ×軽量のGT300規格車両というパッケージを活かしてタイヤ無交換作戦を採ってくる可能性も考えられるため、そういった各車の戦略面も注目と言える。
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