思い切り振り回せる以上の最高出力
トールマン・エディション205 GTiは、非常に良く練られたパッケージングにあり、番狂わせな好評価を集めても不思議ではない。価格は、ベース車両抜きで12万ポンド(約2172万円)もするのだが。
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実は、筆者は最近まで1.9Lのプジョー205 GTiを所有していた。殆ど乗る機会がなく、やむなく売却したのだが、爽快な敏捷性やエネルギッシュさ、クルマと一体になったような感覚は今でも忘れられずにいる。
エディション205 GTiは車高が落とされ、足まわりは引き締められている。アクセルペダルの加減でスピンしかけるほどの、過剰な回頭性までは抑えられている。しかし、それは決して悪い事実ではない。オリジナルは、少し活発すぎたと思う。
エンジンはパワーアップされ、ポルシェ・ケイマンに並ぶパワーウエイトレシオを得ている。スロットル・マッピングはもう少し調整が必要かもしれないが、優れたシャシーを思い切り振り回せる以上の最高出力を放てる。
フロントのリミテッドスリップ・デフが、しっかり活きる。BBDC選手権の配点にも期待を持てる。
対して、プロドライブP25の印象は、エディション205 GTiと明らかに異なる。当初は、冷たくクルマへ迎えられたように感じた。オリジナルから大きく変化し、当時ではあり得なかった、シフトパドルでの変速も可能だ。
筆者の欲求ではなく、走りを評価するため、気持ちを高ぶらせて激しく駆り立てる。速くなるほど、進化した結果が現れる。シャシーは能力が拡幅され、ライン取りしやすい。
公道の許容値を遥かに超える能力
これが、P25の特徴だろう。アリエル・アトム 4Rに近いといえるが、可能な限り速く走ることへ最適化されている。限界領域は極めて高い。
ともにする時間が伸びるほど、1つの考えへ辿り着いた。2日目のサーキットでは、信じられないような走りを披露するかもしれないと。
レストモッドの2台の次に、改めてアウディRS7へ乗る。このクルマを選んだ理由は、大きな変化を求めたから。確かに、狙い通りだった。
すこぶる速く、カタパルト発進のように加速は猛烈。安心感は高いが、楽しさはほどほど。ボディは大きく重く、セラミックブレーキとオプションのコイルスプリング・サスペンションが組まれていても、一般道では肩身が狭い。
P25と同じく、サーキットなら、こんな印象を覆せるかもしれない。フロントノーズの動きが優先される、従来のRSシリーズとは異なる印象を残したからだ。
911 GT3 RSは、公道の許容値を遥かに超える能力で圧倒されるだろうと予想していた。ところが、遥かに優れた適応力を持ち、良い意味で裏切られた。
身体を包むように支えるシートは、快適といえる座り心地。ダンパーを緩めリアデフの効きを弱くすれば、他では得難い水準のドライビング体験を享受できる。
ダウンフォースを増したボディと、引き締まったサスペンションを持ちながら、通常の911 GT3のように路面を受け流す。公道向けのグッドイヤー・タイヤが組み合わされ、想像ほどシリアスではなかった。
サーキットでの高評価を期待させる、序章といえた。控えめに表現しても。
クルマを操る密度を増すソフトなシャシー
911 ダカールは、まったく違うポルシェ。通常よりサスペンションはソフトで、タイヤの接地面は小さい。この組み合わせが、見事に機能している。
グリップ力は限られ、アスファルトへ貼り付くような感覚は薄い。むしろ、胸のすくような身軽さで、自然な振る舞いで疾走していく。
オフロードにも対応するピレリ・スコーピオンに合わせて、コーナーでのライン取りやスタンスをしっかり考える必要がある。それがクルマを操るという密度を増し、楽しさを高めている。
ウラカン・ステラートも、カテゴリーとしては同じフィールドにある。丘を駆け登る最中に、V型10気筒エンジンが威嚇するようなサウンドを撒き散らすが。
こちらも、スプリング・レートとタイヤ・サイズを落とすことで、過去のランボルギーニとは異なる体験が生み出されている。傍観者のように、マシンへ乗せられている感覚はない。ドライバーがアクションの中心だ。
しかし、911 ダカールと同様に、若干の懸念がよぎる。公道でこれほど素晴らしいシャシーは、サーキットでも好印象を残すことが限られるからだ。
2台のBMWを交互に運転することは、改めて勉強になった。M3 CSの方が鋭くタイトだが、公道に適しているのはM2 コンペティションの方だろう。
先代のF87型M2 コンペティションより、最新のG87型は大きく重い。それでも、楽しさも忘れていない。郊外の一般道を飛ばせば、従来どおり面白い。後輪駆動に6速MTという組み合わせも、素晴らしい宝物だ。
サーキットでなければ探りきれない進化ぶり
M3 CSも後輪駆動へ切り替えられるが、リアが奔放になるトラック(サーキット)・モードのみ。公道でも満足できるとはいえ、突き詰めていくと、許容度の高い環境が前提だと実感する。
やはり、サーキットがホーム。M3 CSは、そこで強く輝くかもしれない。
アリエル・アトム 4Rも同じ。濡れた一般道では、手に余るほど速い。この環境を前提に設計されていない、という印象が拭えない。
すべてを解き放てるサーキットを、クルマが待っているような感じ。少なくとも、安心感は予想以上。見た目はエクストリームだが、ABSとトラクション・コントロールが、しっかり機能していた。
翻って、ホンダ・シビック・タイプRは、一般道で強烈に印象付けるのではないかと期待したが、意外にも違った。らしい楽しさが、薄まっていた。
4気筒ターボエンジンは強力で、6速MTも従来どおり喜びを生んでいる。しかし、アクセルペダルの加減によるコーナーでの調整域は狭まり、濡れた路面ではトラクションも限定されていた。
最後に、アルピーヌA110 R。サーキット前提の、ミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2というタイヤを履く。純正唯一の設定で、選択の余地はない。
アスファルトが軽く濡れた程度までなら、カップ2は素晴らしい仕事をする。豊かな感触を手のひらへ伝え、鋭くドライバーの意図へ応える。水をかき出す必要がない限り。
A110 Rは非常に機敏で正確。だが、これも進化ぶりを一般道では探りきれない。2日目のサーキットは雨予報。どんな展開が待っているのだろうか。
この続きは、BBDC 2023(4)にて。
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みんなのコメント
景気のいい話ですね。車のライターはそんなに儲かるのでしょうか。羨ましいです。