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【試乗】脱女子ウケ! 脱カワイさ!! でもそれがいいダイハツ・ミラ トコット

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【試乗】脱女子ウケ! 脱カワイさ!! でもそれがいいダイハツ・ミラ トコット

 NAながらも軽やかな加速を見せる

 ひっそりと引退したアイドルのように、いつの間にか姿を消していたミラココアに代わり、ダイハツが新たに若い女性や初心者ユーザーをターゲットとして開発したのが、ミラ トコット。すでにTVCMでは、22歳になったちびまる子ちゃんや親友のたまちゃんが登場する“大人まる子”ストーリーが話題となっているから、その姿を目にした人も多いはず。そして、あれ? 女性向けという割にはあんまり可愛くない? なんて思ったかもしれない。

なぜクルマは「女子向け」のモデルが成功しないのか?

 じつは今回ダイハツは、若い女性たちから聞かれた「自分にちょうどいい、欲しいと思うクルマがない」という声を拾い上げ、ダイハツの女性社員で現代女性の感性を調査するプロジェクトを立ち上げた。その中で見えてきたのが、女性の感性の変化。以前はモテファッションや女子らしさを前面に出していた女性たちも、今や「素の魅力」こそイチバン、シンプルな中に自分らしさを表現したい、という感性に変わっていたことに気づいたという。

 そうなると確かに、かわいさ盛り盛りだったミラ ココアでは、ちょっと厳しい。ということで、ミラ トコットのキーワードは肩ひじ張らず、自然体でいられることを表現するファッション用語だという、「エフォートレス」。外観デザインもインテリアも、妙なデコボコは作らず、シンプルな水平基調をベースとしつつ、ひと目で運転しやすさや安心感を感じられるような、開発主査の中島雅之さんの言葉を借りれば「ほっとスクエアハッチ」に仕上がっている。

 試乗会場では中島さんをはじめ、広報スタッフも「写真映りが悪いんです……」と苦笑いしていただけあって、確かに私も実車を見るまでは「う~ん」と思っていた。でも初めて対面したミラ トコットは、ぜんぜんイイ! ヨーロッパでも人気の「無印良品」的な上質感がしっかりあるし、飾らないのにどこかオシャレで、自動車デザイン界の巨匠・ジウジアーロがデザインした、と言われても納得しそうな雰囲気満点。がぜん、走らせるのが楽しみになってきたのだった。

 室内に乗り込んでも、失敗したらチープ感ばかりになってしまいそうな、インパネやドアまわりのナチュラルなオシャレ感が好印象。

 軽自動車に多いベンチシートではなく、安心感や座り心地の良さを優先したセパレートシートを採用していて、上級グレードにはシートヒーターが付くところや、生活に欠かせないスマホやタブレットを充電できるUSBソケットが2口あるところなど、快適性と機能性プラス安心感がしっかり考えられていると実感。

 収納スペースもただ多ければいいというのではなくて、ドライブするときに何を持っていきたいか? どこにあったら便利か? を吟味して、運転席から手の届く範囲にスマートに配置されている。とくに、女性たちからは「ボックスティッシュは必需品だけど、外から丸見えになるのはイヤ」との声が多く、運転席と助手席の間に収納できるスペースが確保されているなど、ユーザーの声に真摯に向き合い、実現しようとする姿勢にダイハツの良心を感じたのだった。

 そしていよいよ走り出してみる。パワートレインは、ダイハツらしいモノづくり×コトづくりを進めるための事業構造「DNGA」の原点となるモデル、ミラ イースと共用するだけあって、静かなアイドリングからとても滑らかに加速していく。ターボは用意されず直列3気筒NA+CVTのみで、車両重量もFFモデルで720kgとミラ イースの4WDモデル同等に重くなっているものの、十分なパワーで気持ちよく走れると感じる。

 多くのダイハツ軽に搭載されているパワースイッチもないので、きつい上り坂ではさすがに加速が鈍るようにも感じたが、アクセルを踏み足すほどではなく、むしろ自然なフィーリング。これはやはり、安心感を優先したチューニングのおかげだろうか。

 とくに素晴らしいと感じたのは、ステアリングフィール。低速では軽いのに遊びはほとんどなく安定しているし、カーブや曲がり角での切りはじめは優しく、角度が付くにつれて少しずつ手応えがシッカリとしてきて、曲がっている感覚とのズレがない。そして60km/hを超えるくらいになると、ギュッと強く握らなくても少し剛性感が出てきて、リラックスして運転できる。

 じつはこのステアリングフィールの開発はもっとも苦労した部分で、「女性は軽い方がいい」とは言うものの、どこもかしこも軽いままでは不安感が募り、結果として運転しにくくなってしまうという、とても難しい課題に直面。最初は社内からも「これで大丈夫なのか?」と声が上がったという。

 その後何度も調整し直し、ユーザーにも意見を聞きながら、ようやく納得のいく仕上がりになったのだそうだ。そのこだわりはきっと、女性だけでなく高齢ドライバーや、男性でもラクに運転したい人など、多くのユーザーに「こんなのが欲しかった」と思わせてくれるものだと感じた。

 また、乗り味に関しても全体的にガッシリとした感じは薄いのに、段差を超えたときやカーブにオーバースピードで進入してしまったときなど、ここぞというところで意外なほどの頼もしさが顔を出す。聞けばサスペンションにリバウンドスプリングを追加し、普段はしなやかさ優先でも、強い入力があったときにはしっかりとロールを抑えるようにチューニングしているという。大人3人乗車で市街地を走ってみても、固くないのにユルすぎないという、絶妙な乗り心地に感心。

 最近のクルマはどんどん剛性感が上がってきて、それはそれで高速域でもシッカリと走れていいけれど、ずっとそれだと疲れちゃうなぁ、と思う瞬間もあるもの。ミラ トコットは走れば走るほど、ホッとリラックスさせてくれるところが魅力的だ。

 そして安全装備も、初心者や運転が苦手な人をサポートしてくれるものたちを厳選して搭載した印象。クルマだけでなく歩行者も検知する衝突回避支援システムを含む、先進の予防安全技術「スマアシ3」をはじめ、軽初となるパノラマモニター&コーナーセンサーのダブル搭載で、車庫入れや狭い道のすれ違いといった、「苦手~」という人が多いところをちゃんとカバーしてくれるのもエライ。

 こうしてミラ トコットの試乗を終えるころには、こんなにいいクルマ、若い女の子ばっかりに独占させるなんてもったいない!(笑)なんて思っていた。アラフォーだって、オジサンだって、シンプルなベースモデルをサラリと乗ってたら、とってもスマート。プラスかわいさ、エレガントさ、都会的なクールさと好みに合わせて選べる、3つのアナザースタイルパッケージも用意されているから、洋服を選ぶようにちょっとオシャレするのもいい。

 しかもそのアクセサリーパッケージは、従来なら15万円くらいしていたものが、すべて10万円以下とリーズナブルになっている。それが実現したのは、従来は工場出荷後に販売店でパーツの付け替えを行っていたところを、あらかじめ工場で不要なパーツは外し、必要なパーツを付けた状態で出荷。残りを販売店で取り付けるだけという仕組みに変更したからだ。こうした企業努力で、少しでも価格を抑えているあたりも、「無駄なものにお金を払うのがいちばんキライッ!」という女性心理に響くのではないだろうか。

 ちなみに、かつてのミラ ココアのライバルとして、今もコアなファンを持つスズキ・アルトラパンに、最後にちょっと試乗した。エンジンスタートボタンを押すと、メーター内の液晶にウサギちゃんが動くアニメーションが表示されて、とっても可愛いのがラパン。

 2015年6月の登場当時、私は「かわいいのにシッカリ走る、女性にイチオシのクルマ」だと評価した覚えがあるのだが、ミラ トコットを知ってしまった今となっては、乗り心地はややゴツゴツ、ステアリングはユルユル、ブレーキも頼りなくて……と、やはり技術の進化の前にはさしものラパンも今ひとつに感じてしまった。

 とはいえ、ラパンは歩行者検知はしないものの、衝突回避支援システムの「レーダーブレーキサポート」が全車標準装備というのは素晴らしい。もっとも廉価なグレード“G”でも、スマアシ3が付かないミラ トコットのLとほぼ同じ価格で買える。もし私が買うなら、その理由だけでもラパンを選ぶだろう。ダイハツにはそこをもう少し、頑張ってほしかったと思うのも正直なところだ。

 そんなわけで、ニセたまちゃん(笑)として免許取り立てのまる子にオススメするなら、Lより6万4800円高くなるけど、L“SA3”以上のミラ トコットでキマリです!

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