ウイリアムズF1チームが、ローガン・サージェントをシーズン途中で降ろし、ジュニアドライバーのフランコ・コラピントをイタリアGPから乗せることを決めたが、コラピントという選択には、いくつか理にかなった理由がある。
ウイリアムズは2026年末まで、アレクサンダー・アルボンとカルロス・サインツを走らせる契約を確定させており、コラピントは少なくとも来年からの2年間は、ウイリアムズのレギュラードライバーの座に昇格することはない。だが、ジェームズ・ボウルズ代表が彼を今年後半の9戦に採用することで、ウイリアムズにとって、コラピントは育成プログラムにおける最も有望な存在であるとの評価を示したことになる。
ウイリアムズF1、イタリアGPよりフランコ・コラピントを起用。サージェントに代わり最終戦まで
このところ、F1チームの間には、ジュニアドライバーにチャンスを与える傾向が見られる。アルピーヌはジャック・ドゥーハンを2025年ドライバーとして発表、ようやく育成プログラムの成果を見せた。そしてメルセデスは、ルイス・ハミルトンの後任として、有望な十代のアンドレア・キミ・アントネッリを近いうちに発表する見通しとなっている。そして今回、ウイリアムズはFIA F2に参戦していたコラピントをF1デビューさせることを決めた。
こういった傾向からは、F1における考え方の変化を感じ取ることができる。チームは、ピークを過ぎた経験豊富なドライバーにこだわり続けるのではなく、自分たちの育成プログラムの取り組みに自信を持ち、その成果を形にしようとしているのだ。
もちろん、F1がモンツァ、バクー、シンガポールに向かう直前にルーキーをいきなり参戦させることには、大きなリスクがある。ウイリアムズがサージェントを降ろした主な理由は、彼が何度も高速クラッシュを起こし、チームに多額の損害を与えたことだ。そのため、チームはパーツの製造に重点を置かなければならず、FW46の開発に遅れが生じる可能性がある。
そう考えると、ウイリアムズがルーキーを起用することは、論理的な決断ではないように思われるかもしれない。
だが、現実的にボウルズ代表が手にしていた選択肢を考えれば、コラピントを選んだことは理にかなっていた。彼にとって第一希望はレッドブルのリザーブドライバー、リアム・ローソンだったようだが、レッドブルは、自分たちが必要な時にはいつでもローソンを呼び戻せるという条件でのみ彼を貸し出すと明言し、ウイリアムズでシーズン終わりまで走ることを保証しなかった。
トト・ウォルフとメルセデスは、ミック・シューマッハーをプッシュした。しかしシューマッハーは2022年シーズン終了後、F1レースに出場していないし、そもそもハースが彼を残留させなかった主な理由は、サージェントと同じように、ビッグアクシデントの頻度が高かったことだった。そのため、シューマッハーがサージェントよりも良い選択になるという保証はなかった。
ボウルズ代表は、アストンマーティン傘下のフェリペ・ドルゴヴィッチも検討したが、彼の起用にもリスクがあると判断した。2022年にFIA F2でタイトルを獲得したドルゴヴィッチだが、その後、シングルシーターでレースをしていないからだ。
こうしてボウルズ代表は、自分のチームの育成ドライバーを選ぶことにした。それによりウイリアムズは、若手ドライバープログラムの正当性を証明することができるし、FW46に関する知識を多少は持つドライバーを乗せることができる。
コラピントはイギリスGPのFP1で走った際に、非常に良い仕事をした。さらに彼は技術陣営、チーム内の手順、チームメイトのアルボンのこともよく知っている。
イタリアGPの舞台モンツァは、高速コースであるが、実際にはルーキーにとって比較的楽なサーキットだ。それは2年前にウイリアムズでニック・デ・フリースが走った時に証明した。さらに、今年はコースが全面的に再舗装され、完全に新しい縁石が置かれたため、全員がほぼ同じ条件で金曜日のFP1に臨むことになる。
今シーズン終了後にウイリアムズがコラピントをどう扱うのかは現時点では明らかでないものの、彼は少なくとも、将来のキャリアのために、9回のグランプリのなかで自分をアピールするチャンスを得たことになる。
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