TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加中の勝田貴元が、6月1日(木)から4日(日)にかけて、イタリアのサルディニア島で行われたWRC世界ラリー選手権第6戦『ラリー・イタリア・サルディニア』に、コドライバーのアーロン・ジョンストンとともにトヨタGRヤリス・ラリー1で出場。デイ3にはデイリタイアを喫したが、2本のベストタイムを記録するなど自身の速さを示すラリーとなった。
ラリー・イタリア・サルディニアが開催されたのは、地中海に浮かぶイタリアのサルディニア島だ。この島は2019年までWRCのカレンダーに組み込まれていたツール・ド・コルスで知られるコルシカ島の南側に位置しており、高級リゾート地としても知られている。ラリー・サルディニアは例年気温が高く、太陽が強く照りつける荒れたグラベルのステージが特徴だ。しかしながら今大会は天気が安定しないラリーウイークとなり、強い雨が降ったことで路面は滑りやすく、荒れている区間も多いラリーとなった。
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前戦ポルトガルにTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR WRT)のマニュファクチャラーズポイント獲得ドライバーとして出場した勝田は、トラブルに見舞われながらも非常に良い走りでその速さを示すことに成功した。今回のサルディニアではセバスチャン・オジエが3台目のGRヤリスのステアリングを握ったため、勝田はワークスノミネートを受けずWRCチャレンジプログラムからの出場となった。
1日(木)夕刻に行われたデイ1のスーパーSSで4番手タイムを刻み、順調なスタートを切った勝田。本格的なグラベルステージが始まった金曜のデイ2では、SS2で4番手タイムを刻んだ後、SS3ではベストタイムを記録。総合3番手まで順位を上げる高いパフォーマンスを発揮した。続くSS4ではコーナーを曲がりきれず20秒程度を失って総合5番手に後退したが、次のSS6では3番手タイムを記録するなど速さをキープした。
しかし勝田は、翌日のデイ3では一転して不運に見舞われてしまう。この日のオープニングステージとなるSS8の終盤に待ち受けたウォータースプラッシュを通過した際に、マシンのフロント部分に大きなダメージを負い、SS8を走り切った後のリエゾン区間でデイリタイアを余儀なくされてしまった。
サービスパークでメカニックたちによる修理を受けたマシンでデイ4に再出走した勝田は、SS17で2番手タイムを、SS18では今大会2度目となるベストタイムを記録する好走を見せる。ボーナスポイントが加算されるパワーステージに指定された最終SSでは3番手タイムを刻み、勝田は3ポイントを獲得。2年連続で表彰台を獲得しているサファリを前に、困難なラリーをいい形で締めくくる結果となった。
TGR WRTを率いるヤリ-マティ・ラトバラ代表は「表彰台を狙えるだけのスピードがあることは分かっているので、あとは安定性を高めるだけだね」と勝田への期待を寄せる。
■勝田「これを教訓として今後に生かしたい」
「非常に難しいラリーだったにもかかわらず良いペースで走行し、スピードも備えていたことを嬉しく思う」と続けたトヨタチームのボス。
「小さなミスはいくつかあったが、それは充分に起こり得ることだ。彼(勝田)とともに原因を調査分析して将来に向けた改善に努めようと思う」
サルディニアでの戦いを終えた勝田は、自身のラリーを次のように振り返った。
「金曜日の朝スタートした時からペースは良く、2本目のSS3ではベストタイムを記録することができました。続くSS4はロングステージで非常に難しく、路面が滑りやすかったことでオーバーシュートしてしまいました。その後も走り続けることができたのはラッキーでした」
「土曜日最初のSS8ではウォータースプラッシュへのアプローチを誤ってしまいました。水深がかなり深く、なおかつスピードが少し高すぎたのでブレーキをかけて水の中に入ることになり、クルマに非常に大きなダメージを負って競技を続けることができなくなってしまいました」
「とても残念でしたが、これを教訓として今後に生かしたいと思います」
「日曜日はクルマのフィーリングがとても良かったので、パワーステージではプッシュし、ポイントを獲得することができました。このような良い形でラリーを終えることができてよかったです。次のケニアが今から楽しみですし、今年も良い結果を残せることを願っています」と勝田は次戦への期待を込めてコメントを締めくくった。
勝田の次戦は6月22日(木)~25日(日)にアフリカ、ケニアで行われる第7戦『サファリ・ラリー・ケニア』だ。この伝統的なグラベルラリーは、非常にハイスピードなステージもあれば、路面が荒れていたり軟らかい大量の砂に覆われている区間もあるなど、マシンにとっても選手にとっても過酷な一戦となる。同ラリーで2021年に総合2位、2022年に総合3位と、2大会連続で表彰台に立っている勝田にとっては非常に相性のいいラリーといえる。
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