2月15日(木)~18日(日)、2024年WRC世界ラリー選手権の第2戦『ラリー・スウェーデン』が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)がデイ2で総合首位に浮上。ヒョンデ・シェル・モービスWRTのエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(ヒョンデi20 Nラリー1)と僅差の優勝争いを展開したが、デイ3で2本目のSS10でスノーバンクにスタックしてしまい、デイリタイアとなってしまった。
最終的には総合45位、クラス8位で今大会を終えた勝田は、大会後日のオンライン取材会に出席し、ラリー・スウェーデンで繰り広げた優勝争いを振り返った。
ラッピが6年ぶりの総合優勝。豪雪にライバル脱落で大荒れのスノーラリーを制す/WRC第2戦スウェーデン
「今回は(エサペッカ・)ラッピ選手と一騎打ちになって、SS9では0.9秒差まで縮められていたので、リスクを負ってでもプッシュしていました」と、SS10走行時の心境を語る勝田。
続けて、迎えたSS10にて起こってしまったスタック時の状況を思い起こしていく。
「ステージが始まって3キロほどの地点の右の中高速コーナーに、少しオーバースピードで入ってしまいました。その影響で立ち上がりにかけて、ラインがかなり外れてしまいました」
「そこで膨らんだ流れのまま、まずマシンのリヤがスノーバンク(雪壁)に当たり、そのまま慣性でフロントも流れてスタックしてしまったという状況でした」
暫定首位のラッピとの差はSS9終了時点で0.9秒。そして、勝田の後方にいる3番手のアドリアン・フルモー(フォード・プーマ・ラリー1)とは1分44秒3と大きな差が開いており、まさしくふたりは一騎打ちの状況だった。
そのことを尋ねられると「今思えば、ラリーはもちろん長いので、冷静に3番手との差を活用して少しずつ差を埋められればよかったのかもしれない」と、悔しさを滲ませたが、あの瞬間の勝田は「2位でもいい」とは思っていなかった。
「このラリーは本当にハイスピードなラリーなので、少しでも抑えてしまえば本当に大きな差になってしまいます」
「ここで安全に走って生まれたギャップが、最後に埋められなかったとしたら、すごく後悔すると思います。プッシュした結果として今回は受け止めています」
「ですがチームの皆も、プッシュしなければ差は埋められないことは分かっていたし、もちろん自分も2位でいいとは思わなかったです」
これまでにない強い想いでデイ3を戦っていた勝田。今回のようなスノーラリーでは、ステージのコンディションを考えるうえで、出走順が前にいるクルマほどアタックを阻む雪が増えてしまってタイムが出しづらくなる傾向がある。勝田は争っていたラッピよりも前でコースインする出走順であったため、そのなかでもライバルを上回らなければならないということもアタック時の心境に影響していたようだ。
「つねに、コンディションだけでもラッピ選手にアドバンテージがあったので、自分はプッシュせざるを得ない状況でした」
「ですが、ミスせずに走ろうという戦い方では戦えないです。走りながらもその一瞬の状況を判断しなければならない。ミスをしたとしても上手く抑えて走る、紙一重の領域で生き残る力を身につければいけないと思います」
そう語る間には、「もっと速さがあって、自信を持って走れればスタックは起きなかったかもしれない」、さらには「今回の件を重く受け止めている」との言葉を何度も口にしたが、優勝を狙って攻めた結果のミスは、誰にも咎められるものではなく、むしろ讃えられるべきアタックだったのではないか。
今回の大会では、開幕戦モンテカルロで好成績を残した選手(ティエリー・ヌービルとエルフィン・エバンス)が出走順の関係でペースを伸ばせておらず、また優勝候補と目されたライバル(オット・タナクとカッレ・ロバンペラ)も金曜日に早々のリタイアを喫していた。初優勝の大きなチャンスを目の前にして攻めた勝田にとっても、無情にも雪壁が文字どおり立ちはだかってしまった。それでも今回の優勝争いの中で貫いた攻めの姿勢は、次の同じ機会を乗り越える大きな一歩となったはずだ。第一線で勝てる強さを身に着けた勝田の活躍を心待ちにしたい。
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みんなのコメント
トヨタ→日本企業 勝田→日本人 と思われても仕方ない
レースシーンでは実力至上主義なんで。このまま来年もシート維持出来るなんて思わないで精進して欲しい