先日、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットでスーパーGT第3戦が開催された。スーパーGTでの海外戦実施はコロナ禍前の2019年以来6年ぶり、セパンでのレース実施は12年ぶりであった。
12年ぶりの開催と言えども、セパンはオフシーズンの“テスト始め”の地として活用されており、スーパーGT関係者にとっては比較的お馴染みのサーキットと言えるかもしれない。ただ日本のモータースポーツファンの皆さんにとっては、F1やMotoGPの開催でサーキット自体には馴染みがあっても、実際に現地を訪れた経験のある方はかなり少ないのではないだろうか。
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そこで、今回セパンを初訪問した(余談だが初海外でもある)motorsport.com編集部員が、猛烈な湿度の高さから滝のように流れ出る汗と格闘しながらサーキット周辺を歩き回り、琴線に触れたものを写真に収めてきたので、ここでご紹介したい。
ちなみにセパン・インターナショナル・サーキットは、クアラルンプール国際空港(KLIA)と隣接すると言っていいほど近く、渋滞がなければ空港のターミナルから車で15分~20分ほどで到着する。レンタカーを借りずとも、タクシー配車アプリを使えば明瞭会計かつ日本よりも安い価格帯で移動できるため安心。また日本からKLIAまでは、格安航空を利用すれば片道3万円以下・往復6万円以下で収まった。参考までに。
サーキットに礼拝所
サーキットに到着し、メディアセンターに向かうためピットビルを歩いていると、「SURAU(スラウ)」の案内板が。スラウはイスラム教徒のための礼拝部屋。イスラム教を国教としているマレーシアならではだ。
パドックを歩く(1)
ピットビルのパドック側には、踊り場のような出っ張ったスペースが大量。下に降りてみると……。
なるほど、出っ張りの正体は各チーム用の部屋というわけだ。ドライバーたちは、冷房の効いたこのスペースで休憩、ミーティングなどができる。とはいえ数には限りがあるので、複数チームでシェアしていた。ちなみに写真を撮りそびれてしまったが、左隅に小さく見える白い物体が、今や日本では見かけなくなった二層式洗濯機。とあるチームのマネージャーは「学生時代に部活の合宿で使ったことあって良かったですよ!」と言いながらテキパキ作業していた。
窮屈そうなピット
セパンはピット数に限りがあることからGT300クラスの出走台数が絞られたが、それでもピットの中は1区画1台というわけにもいかず、なかなか窮屈そう。HELM MOTORSPORTSの車両の前には柱が被っており、ピットから出すのはなかなか大変だったようで……。
パドックを歩く(2)
パドックの雰囲気はこんな感じ。トランスポーターでごった返す国内戦と違い、開放感がある(今回は残念ながら一般のファンの方は入場できなかったと聞いていますが……)。左側に目を向けると、auサーキットクイーンのおふたりが記念撮影。ここはレースアンバサダーたちの撮影スポットになっていた。
マーシャルも暑そう
現地入りした木曜朝、コースを歩ける唯一のチャンスと踏んでトラックウォークに。同じタイミングでGT300のチームが数チーム歩いていて、縁石の使い方やオーバーテイクポイントについて話し合っていた。
上半身裸で休憩しているマーシャルさんにレンズを向けると、気さくにピースサイン。走行開始前の各マーシャルポストでは各々好きな音楽をかけていたりと、のんびりとした雰囲気が漂っていた。
コースを歩く(1)
ターン1外側に敷き詰められているグラベルは、2輪ロードレース最高峰MotoGPを開催するにあたっての安全性確保の側面があるのだろう。この砂利は歩いていると足を取られそうになるほどで、オーバーシュートしてしまった車両(結局今回のレースウィークでは見られなかったが)はひとたまりもなかったはずだ。
今回はセッション中に雨に降られることはなかったが、熱帯雨林気候のマレーシアでは頻繁にスコール(にわか雨)が発生する。コース脇のあらゆる箇所に排水溝が存在しており、完全な肌感だが国内のサーキットよりも多い印象を受けた。
コースを歩く(2)
コース後半のターン11にたどり着くと、なぜかガードレールの内側にスキッドブロックと思しき物体が。なぜ?
コースを歩く(3)
そのターン11には、2011年MotoGPマレーシアGPの事故で命を落としたイタリア人ライダー、マルコ・シモンチェリを追悼するモニュメントが建てられていた。当時期待の若手として将来を嘱望されながら志半ばでこの世を去った彼も、ここからスーパーGTのレースを楽しんだだろうか。
観客エリアは盛況
お次はパドックトンネルをくぐって、ファンエリアへ。
トンネル内には、F1&MotoGPマレーシアGPの歴代ポスターがずらり。どれも貴重な代物だ。
観戦チケットがなくとも無料で楽しめるモールエリアでは、“NIHON MATSURI”なる催しが行なわれていた。そこにはマレーシアで人気だという日本のカスタムカー(いわゆる“JDM”と呼ばれるもの)が並べられ、日本語のサイネージや屋台などで日本の空気を味わえるものとなっていた。“映える”フォトスポットも人気だった。
客層はというと、「とにかく若い」という印象に尽きる。大半が10代~20代と見受けられる若者たち。有料のスタンドエリアに場所を移しても、レース関係のウエアを身につけていたファンの割合は、1割に達するかどうかというところ。親子連れも多く、レースイベントというよりは地域のお祭りに近い空気感が感じられた。
メインスタンドは見晴らし良し
セパンはコースの広さの割に、観戦可能なスタンドの設置箇所は限られている。ただホームストレートとバックストレートにあるメインスタンドはとても見晴らしが良く、複数のコーナーが見渡せる。さらには屋根によってフルカバーされているため、雨の心配はない。観戦環境はかなり良い印象だ。上の写真はホームストレートの中腹から撮影したが、周囲の遮蔽物が少ないため、ターン1からその先のターン2にかけてのバトルはハッキリ確認することができる。
バックストレート席からの景色を、iPhoneでパノラマ撮影。ストレート全体はもちろんのこと、その奥には高速のターン8を立ち上がってからヘアピン状のターン9、そして中速のターン10、11へと向かうマシンを追いかけることができる。日本にもコースの複数箇所を見られる観戦スポットは存在するが、ここもかなりお得な観戦エリアではなかろうか。
決勝は大きなアクシデントもないクリーンなレースとなり、無事終了。スタンドのファンはスーパーGT車両の走行が始まると一斉にスマホを構えて撮影に興じたりと、どこか初々しい姿も印象に残った。また、日本のレース以上に観客からの歓声が聞こえてくるという関係者のリアクションもあった。
当初はナイトレースが検討されていたが、ランオフの暗さや接触検証の難しさなどを勘案して実現は見送り。西日の眩しさも指摘されていたことから、結局は(赤旗中断などがなければ)夕暮れになる前にチェッカーが振られるという、“トワイライトレース”とも言い難いようなフォーマットとなった。夜のセパンを駆けるスーパーGTマシンも個人的には見てみたかったが、やはり安全が第一だ。来年は現地からのGT500ワイルドカード参戦も計画中とのことで、また新たな注目要素が増えることになる。
今年で開業25周年を迎えたセパン・インターナショナル・サーキット。F1&MotoGPの誘致に向けてマレーシア政府の肝入りで建設されたというだけあって、日本のファンにとっても一見の価値あるサーキットだと感じられた。観戦される際は、暑さ対策を入念に。
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