現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > F1世界王者も5位が限界……フェルスタッペン、アゼルバイジャンGPでの不思議な不振の裏に何が?

ここから本文です

F1世界王者も5位が限界……フェルスタッペン、アゼルバイジャンGPでの不思議な不振の裏に何が?

掲載 1
F1世界王者も5位が限界……フェルスタッペン、アゼルバイジャンGPでの不思議な不振の裏に何が?

 3度のF1世界チャンピオンであり、今季もドライバーズチャンピオンシップをリードするレッドブルのマックス・フェルスタッペンだが、F1アゼルバイジャンGPではチームメイトのセルジオ・ペレスに対して33戦ぶりに予選で負け越し、さらに決勝でも完敗を喫するというF1ファンにとって見慣れない構図となった。

 フェルスタッペンはアゼルバイジャンGPでなぜこうも上手くいかなかったのだろうか?

■角田裕毅のチームメイト、ついに決定!? レッドブル、F1シンガポールGPで来季RBドライバーふたり目を発表と示唆

 アゼルバイジャンGPでフェルスタッペンが苦しむ中、ペレスにとって1年半ぶりのベストレースとなり、純粋なスピードで優勝争いに加わっていたことは特に奇妙だった。

 昨年22戦中21勝というシーズン最多勝記録を塗り替えたレッドブルだが、今季は5月以降、マシンバランス問題に頭を悩ませ、マクラーレンやフェラーリ、メルセデスが勝利を手にする中でフェルスタッペンは7戦にわたり表彰台の頂点に登れていない。

 イタリアGPで“モンスター”を走らせたレッドブルは、シーズンを通してペレスを苦しめた上フェルスタッペンにも影響を及ぼしたハンドリング問題を理解し始めていた。

 ペレスは今シーズンほとんどの週末で、初日のフリー走行の時点で後手に回り、マシンセットアップを自身のスタイルに合わせるための解決策を見つけるのに苦労していた。

 しかしアゼルバイジャンGPではフロアデザインの微調整もあり、ペレスはマシンにかなり満足できる状態になった。その自信は予選でも発揮されて4番グリッドを獲得。予選順位でフェルスタッペンを上回るのは2023年マイアミGP以来だった。

 ペレスが堅実なセットアップを見つけた一方で、フェルスタッペン側は別の方向に進み、結果的にドライブできる”限界”を「越えてしまった」のだと言う。

「Q1に出てすぐ、マシンが一歩後退したと感じた」

 フェルスタッペンは予選後、そう説明した。

「いくつかの変更を施したが、マシンは信じられないほど予測不可能で難しいモノになった」

「コーナーの進入と出口でマシンのリヤが大きく跳ねてしまった。オーバーステアが酷すぎた。市街地サーキットでは欲しくないモノだ」

 F1ではパルクフェルメルールのため、基本的なマシンセットアップは予選からレースを終えるまで手をつけることができない。そのため、フェルスタッペンを苦しめたサスペンションセットアップはそのまま。変更を加えればピットレーンスタートを余儀なくされる。

 フェルスタッペンが抱える問題が決勝レース中でも再燃するのに時間はかからなかった。

 スタートでメルセデスのジョージ・ラッセルを交わして5番手に浮上したフェルスタッペンだったが、その後は前を行くフェラーリのカルロス・サインツJr.のペースについていけなかった。

 そしてフェラーリはバクーのタイトな90度コーナーで苦戦を強いられ、無線でチームにマシンが「全く食いついてくれない」と不満を漏らした。

 ピットストップ後、フェルスタッペンはハードタイヤでピットレーンからスタートしたマクラーレンのランド・ノリスを抜けず、代わりにラッセルに抜き返されてしまった。

 ノリスはその後タイヤ交換を終えた後、ピットストップ1回分のタイムロスを取り戻し、フェルスタッペンを抜いて4位でチェッカー。フェルスタッペンは5位に終わった。

「予選での変更の代償を払うことになったと思う」とフェルスタッペンは言う。

「変更で本当にドライブが難しくなっていた」

「マシンがかなり飛び跳ねていたんだ。低速コーナーではタイヤが地面から離れていた。路面との接地面がない時は本当に難しい」

「チームは勝つ時も負ける時も一緒だ。最終的に良い方向性だと考えていたけど、そうじゃなかった」

 またフェルスタッペンは、間違ったセットアップ変更に陥る前には、新しいフロアデザインがマシンの挙動を改善していたと語っている。そのため、シーズンやレッドブルの長期的なパフォーマンスを考えれば、アゼルバイジャンGPの週末が大失敗だったわけではない。

「マシンのフィーリングは以前より少し良くなったし、全体的な挙動も良くなった。常にマシンをさらに良くしようとするものだけど、残念ながら僕らが行なったことはマシンを悪化させてしまった」

「マシンとのつながりはあったのに、残念ながら僕らが行なった変更でまたそれを失ってしまった。でもレースでは、チェコ(ペレス)が少しハッピーになったことで示されたように、マシンのパフォーマンスも少し良くなった。僕らはまだ戦えている」

 チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、フェルスタッペンのセットアップ変更がタイヤデグラデーション(性能劣化)にも悪影響を及ぼしたと言う。特にハードタイヤスタートのアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)やノリスの後ろに詰まってしまった時に、その症状が顕著だったようだ。

「チェコのマシンはとても速かったが、マックスのマシンには何か上手く機能しないモノを投入してしまったかもしれない。長い間、集団の中で戦っている時にそれがタイヤにかなりのダメージを与えていたかもしれない」

 ホーナー代表はSky Sports F1にそう語った。

「ラッセルのスティントを見ると、彼はとてもゆっくりとしたスタートを切った。そこからペースを引き上げ、終盤に良いタイヤを履いた。だから非常にフラストレーションがたまる」

「2台のマシンの間にどのような違いがあるのか、大きな事後調査が行なわれるであろう。それは明らかに微妙なモノだ。しかし彼はチェコほど快適に感じられなかった。我々が調べて原因を探る必要があるのは明らかだ」

 マクラーレンのオスカー・ピアストリがアゼルバイジャンGPを制したことを考えると、予選Q1でのイエローフラッグの混乱から後方スタートとなったノリスにとっては、タイトル争いにおいて大きなチャンスを逃したように感じられるかもしれない。

 しかしタイトル争いは全てのポイントが重要。特にレッドブルにとっての“アキレス腱”であるシンガポールGPが次戦に控えている。

 アゼルバイジャンGPでノリスは15番手から4位フィニッシュを果たし、ドライバーズチャンピオンシップ首位のフェルスタッペンとのポイント差を3ポイント縮めた。ただフェルスタッペンとしては、マシンの悲惨な挙動を考えれば、残り7戦で依然59ポイントのリードを保てたというのは、さほど動揺することではないと語った。

「僕にとっては、多分ポジティブなことだ」とフェルスタッペンは言う。

「もっと差を広げたかったけど、僕らのレースを考えれば、それだけで済んで本当に良かったよ」

「シンガポールのために何ができるだろうか? 何が悪かったのかを理解するために、セットアップを最適化しようとしている。当然、僕らにとってベストなコースにはならないと思うけど、どうなるか見てみよう。僕らを驚かせるかもしれないね」

「(マクラーレンがコンストラクターズチャンピオンシップで首位に立つのは)決して良いことではない。でもまだ戦いは終わっていない。取り戻せるように頑張るよ」

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ホンダ『プレリュード』、米国でも25年ぶりに復活へ…次世代ハイブリッド車として2025年投入
ホンダ『プレリュード』、米国でも25年ぶりに復活へ…次世代ハイブリッド車として2025年投入
レスポンス
「えっ…!」この道「ウインカー」出す? 出さない? 真っ直ぐも行ける「道なりカーブ」どうする!? 「正解」の曲がり方とは
「えっ…!」この道「ウインカー」出す? 出さない? 真っ直ぐも行ける「道なりカーブ」どうする!? 「正解」の曲がり方とは
くるまのニュース
ベン・キーティングがWEC復帰、小泉洋史は外れる。コルベットZ06 GT3.Rのラインアップ確定
ベン・キーティングがWEC復帰、小泉洋史は外れる。コルベットZ06 GT3.Rのラインアップ確定
AUTOSPORT web
パイセンに続け!! 将来はトヨタで[WRC]のシートを掴むかもしれないラリードライバーの卵 
パイセンに続け!! 将来はトヨタで[WRC]のシートを掴むかもしれないラリードライバーの卵 
ベストカーWeb
ヒョンデの新型EV『インスター』、東京オートサロン2025で日本初公開へ
ヒョンデの新型EV『インスター』、東京オートサロン2025で日本初公開へ
レスポンス
クルマのホーンボタンには「ラッパのマーク」がないと違反! なんと「有名薬のラッパのマーク」を切り貼りしても「手書き」でもOKってマジか!!
クルマのホーンボタンには「ラッパのマーク」がないと違反! なんと「有名薬のラッパのマーク」を切り貼りしても「手書き」でもOKってマジか!!
WEB CARTOP
ブランドイメージ構築に課題? レクサスLBX 長期テスト(5) モデルの強みはNXと共通
ブランドイメージ構築に課題? レクサスLBX 長期テスト(5) モデルの強みはNXと共通
AUTOCAR JAPAN
[15秒でわかる]ブガッティの特別なガレージと展示台
[15秒でわかる]ブガッティの特別なガレージと展示台
レスポンス
実質約445万円で買える ホンダの燃料電池車[新型CR-V e:FCEV]は本気で買いたくなるほどのデキだったのか? 
実質約445万円で買える ホンダの燃料電池車[新型CR-V e:FCEV]は本気で買いたくなるほどのデキだったのか? 
ベストカーWeb
6速MTあり! ミツオカ最新「ビュートストーリー」がスゴい! 全長4m「ちょうどいいボディ」に超レトロデザイン×「豪華インテリア」採用! 「小さな高級車」どんなクルマ?
6速MTあり! ミツオカ最新「ビュートストーリー」がスゴい! 全長4m「ちょうどいいボディ」に超レトロデザイン×「豪華インテリア」採用! 「小さな高級車」どんなクルマ?
くるまのニュース
レッドブルのジュニアチームで5年目を迎える角田裕毅。ホーナー代表、2025年末で手放す可能性を示唆も、昇格も否定せず
レッドブルのジュニアチームで5年目を迎える角田裕毅。ホーナー代表、2025年末で手放す可能性を示唆も、昇格も否定せず
AUTOSPORT web
軽自動車サイズの布製タイヤチェーン「モビルシュシュ」が一般販売開始
軽自動車サイズの布製タイヤチェーン「モビルシュシュ」が一般販売開始
レスポンス
0-100キロ加速2.9秒! SL史上初PHEVのメルセデスAMG「SL 63 S Eパフォーマンス」は3350万円…日本仕様車は左ハンドルのみです
0-100キロ加速2.9秒! SL史上初PHEVのメルセデスAMG「SL 63 S Eパフォーマンス」は3350万円…日本仕様車は左ハンドルのみです
Auto Messe Web
新人コラピントは素晴らしいドライバーだ! 僚友アルボンが称賛。シーズン終盤にクラッシュ連続も「F1に相応しい存在」
新人コラピントは素晴らしいドライバーだ! 僚友アルボンが称賛。シーズン終盤にクラッシュ連続も「F1に相応しい存在」
motorsport.com 日本版
技術も力もいらない簡単装着! 持ってて安心な新タイヤチェーン「バイアスロン・イージーフィット」が雪道ドライブの最強の味方だった
技術も力もいらない簡単装着! 持ってて安心な新タイヤチェーン「バイアスロン・イージーフィット」が雪道ドライブの最強の味方だった
WEB CARTOP
制限速度を守ってる自分を抜かしていったクルマにオービスが光らないって納得いかん! なんで自動速度取締機は大幅にマージンをとってるの?
制限速度を守ってる自分を抜かしていったクルマにオービスが光らないって納得いかん! なんで自動速度取締機は大幅にマージンをとってるの?
WEB CARTOP
ミズノの「歩ける」ドライビングシューズ、新登場の高級モデル『ベアクラッチL』を試してみた
ミズノの「歩ける」ドライビングシューズ、新登場の高級モデル『ベアクラッチL』を試してみた
レスポンス
ホンダの新型ハイブリッドがすごい! しかも新開発!! 今のハイブリッドより圧倒的に楽しかった!!!
ホンダの新型ハイブリッドがすごい! しかも新開発!! 今のハイブリッドより圧倒的に楽しかった!!!
ベストカーWeb

みんなのコメント

1件
  • wat********
    リアサス締める 単純で強引な、オーバーステアに し過ぎた
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村