韓国ヒョンデは、小型SUVタイプの新型電気自動車(EV)「インスター」を発表した。ガソリン車「キャスパー」のデザインをベースに、車体サイズとホイールベースを拡張し、タフで未来的なイメージの創出を目指した。外装塗料の顔料に廃タイヤ、内装にペットボトルのリサイクル材を活用するなど、サステイナビリティーを意識したクルマづくりに取り組んだ。今夏に韓国で発売し順次、欧州、中東、アジア太平洋に投入する計画だ。
新型車は、全幅が1600ミリメートル強など車体を小柄なサイズにまとめ、都市部での取り回し性を高めた。その上で前席1050ミリメートル・後席885ミリメートルのレッグスペース、最大351リットルの荷室容量を確保するなど、コンパクトクラスの標準を上回る室内空間を実現した。
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外観は、フラットでシンプルな面構成を基本に、力強く張り出したフェンダー、電子回路の基盤をモチーフとしたバンパーのデザインによって個性を打ち出した。〝ピクセル〟風グラフィックのウインカーやテールランプでも独自性を強調する。
ボディーカラーは艶消し、メタリック、パールなど約10色を用意。一部の塗色ではブラックルーフとのツートーンカラーも選べる。
インテリアは、メーターパネルとインストルメントパネル中央にそれぞれ10.25㌅ディスプレーを搭載。インパネのディスプレーはタッチパネル式とした。ピクセルの意匠はステアリングホイールにも展開し、外装と共通性を持つ〝ハイテク〟なイメージを付与した。
前後席のウオークスルーが可能で、全席をフラットに折りたためるなど、シートアレンジの柔軟性を高めた。前席ベンチシートや、ステアリングヒーターをオプション設定した。
サステイナブル素材の活用にも取り組んだ。外装の黒塗装の顔料には、廃タイヤからつくられた色素を使用。内装にはペットボトルをリサイクルしたポリエチレンテレフタレート(PET)と、サトウキビから抽出されたバイオポリプロピレン材料を活用した。
駆動用バッテリーの容量は、標準仕様が42キロワット時、オプションの「ロングレンジ」が49キロワット時。ロングレンジ車はモーターの最高出力が84.5キロワット、航続距離と電力消費(WLTP)は355キロメートル、15.3キロワット時となる。「都市用サブコンパクトEV」として必要十分なスペックの再定義を狙った数値という。
充電時間は直流(DC)120キロワット以上の急速充電(10~80%)が約30分。また11キロワットの充電器を標準化した。バッテリー加熱システムと高効率のヒートポンプも装備する。110㌾および220㌾の外部給電機能を持ち、電動自転車、スクーター、キャンプ用具の充電などに対応する。
運転支援機能も充実。レーンキーピングアシスト(LKA)、ブラインドスポット衝突回避アシスト(BCA)、スマートクルーズコントロール(SCC)、ハイビームアシスト(HBA)など10種超の技術を搭載した。これらのうち、ADASパーキングシステムでは、周辺車両や壁などとの距離警報装置(PDW)や後方モニターを組み合わせて支援性能を向上した。
派生モデルとして、頑丈な雰囲気を強調したアウトドア志向のグレード「インスター クロス5」の投入を予定している。
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