7月9日(日)に6時間にわたる決勝レースが行われたWEC世界耐久選手権第5戦モンツァ。7号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing)のポール・トゥ・ウインで幕を閉じたイタリア・ラウンドは、序盤から中盤、終盤にかけても各所でバトルが見られ、コース幅の狭い高速トラックということもあり、たびたびアクシデントも発生。その影響で導入されたセーフティカーによってピットタイミングに違いが生まれ、最後まで見ごたえのあるレースとなった。
ここではそんな今季第5戦、フェラーリにとっては母国凱旋レースとなったモンツァ6時間レースの決勝後トピックスをお届けする。
プジョー9X8、デビュー1周年のモンツァで歓喜の初表彰台「我々はひとつ、ミスをしてしまった」
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***地元イタリアのモンツァで行われた6時間レースで総合2位と同5位に終わったフェラーリは、ハイパーカークラスのパフォーマンス・バランスに不満を抱いているようだ。チェッカーフラッグが振られた直後、フェラーリの上級代表がFIA国際自動車連盟およびACOフランス西部自動車クラブの技術担当者と話し合っているのが目撃されており、当該人物はレース後のメディアの質問には応じなかった。
***レース後のフェラーリから発表された声明の一部にはこうある。「ル・マン24時間レースで優勝した後、フランスのレースと同じ条件で戦うことが期待されていた。しかし、(フェラーリ499Pが)モンツァで課された条件は、チームをライバルに比べ不利な状況に追い込んだ」
***第5戦モンツァで適用されたBoPを確認すると、フェラーリは24kgの重量追加を受けた前戦から最低車重がさらに5kg増やされ、最大出力は12kW(約16.3ps)減、スティントあたりの使用可能エネルギーも8MJ減少している。一方、今戦優勝のトヨタは最低重量とエネルギー使用量の項目はル・マンから変わらず。最大出力が5kW(約6.7ps)減っただけだった。
***TOYOTA GAZOO Racingは、フェラーリのホームサーキットで勝利のかたちを取り戻したことで、目に見えて浮かれていた。日本メーカーのWECテクニカルディレクターであるパスカル・バセロンは、「それは同業他社たちを動揺させるためのちょっとしたターゲットだった」と語った。
***FIAハイパーカー世界耐久マニュファクチャラー選手権では、現在トヨタがフェラーリを26ポイントリードしている。これはル・マン終了時と比べて8ポイント増えていることを示す結果だ。ランキング3位につけているキャデラックとディフェンディングチャンピオンのポイント差は80ポイントだ。
***アレックス・リンは、チップ・ガナッシ・レーシングが走らせる2号車キャデラックVシリーズ.Rが力強いペースを持っていたにもかかわらず、「ただ悪い一日だった」と感じている。「週末を通して純粋にクルマを運転することを楽しみ、幸せを感じていた」と彼は語った。「トラックに出ているときはいつも、とても楽しかった。ただ運がなかったんだ」
***その不運の一例として、2号車キャデラックがフルコース・イエロー(FCY)中に緊急ピットインを行った際、このクルマがまだピットレーンにいる間にスロー走行を強制する時間が終了してしまい、大幅なタイムロスを受けてしまったことが挙げられる。
***キャデラックは最終スティントまでハードコンパウンド・タイヤで走り、その後ミディアムコンパウンド・タイヤで走行した。これは優勝した7号車トヨタGR010ハイブリッドと同じ戦略だった。「もしも選べる状況だったならばハードのままだったかもしれない。でも、それは選択肢になかった」
■2台目のカスタマー・ポルシェ963を襲ったセンサートラブル
***ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ(PPM)は、2台のポルシェ963で「クリーンなレース」を行った。ポルシェ・ワークスLMDhプログラム・ディレクターのウルス・クラトルは、「私たちは、いくつかのミスを犯したり、私たちよりも多くの問題を抱えていたLMDhマシンの前にいた」と振り返った。クリーンレースの例外はペナルティだった。
***ポルシェ963のカスタマーカーは2台ともトラブルに見舞われた。ハーツ・チーム・JOTAはソフトウェアのトラブルによってステアリングホイールを交換するために予定外のピットストップを余儀なくされた。また38号車はピットレーン・スピードリミッターの誤作動によりドライブスルーペナルティも受けている。
***99号車ポルシェ963を走らせたプロトン・コンペティションは、当初クラッチの問題とされていたトラブルによってトップカテゴリーでのデビュー戦でリタイアを喫した。「根本的な原因は、センサーか何か、その類のものだろう。結局のところ、もう走行することはできなかった。クラッチが問題だとは言わないが、クラッチは何らかの理由で開放されたままだった」
***グリッケンハウス・レーシングの708号車グリッケンハウス007は、今シーズン最高の走りを見せたが、レース後半にブレーキの摩耗からコントロールが難しくなり4番手から8番手に後退。そのまま総合8位でフィニッシュした。
***トリスタン・ボーティエによると、フロイド・ヴァンウォール・レーシングチームは、これまでで「もっともクリーン」なレースを行ったという。ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラも乗り込んだ4号車ヴァンウォール・バンダーベル680・ギブソンは、191周を走行し総合20位でフィニッシュした。
***ボーティエは、バイコレスが運営するヴァンウォールチームが、ブレーキのオーバーヒートに対応するためにブレーキダクトを調整する必要があったと説明した。また、このフランス人ドライバーは、4号車が「許容されている最大パワーを出せていない」ことを強調した。Sportscar365はヴァンウォールがBoPによって許可された出力(最大520kW/約707ps)より約36ps低い状態で走行していたことを理解している。
***JOTAのピエトロ・フィッティパルディは、チームWRTの31号車オレカ07・ギブソンが終盤のエンジントラブルでリタイアしていなければ、LMP2クラスの栄誉を賭けた戦いは最後まで続いてただろうと述べた。「僕がピットインしたとき、彼らから0.5秒遅れていたんだ。チームは本当に燃料を素早く入れてくれて、僕たちはふたたび走り出した。もし、彼らにあの問題がなければ本当に近いところに居たと思う。勝利のために1コーナーで並ぶようなバトルをしていたと思うよ」
***ユナイテッド・オートスポーツは、レース終盤の3番手争いのなかで41号車オレカ(チームWRT)が強引に23号車をオーバーテイクしたことに抗議した。しかしこの抗議文書は、暫定結果が発表されてから30分以内に提出されなかったため、スチュワードによって却下されている。
■「トップ争いをしているつもりだった」
***LMP2クラス3位でフィニッシュしたルイ・アンドラーデ、ロバート・クビサ、ルイ・デレトラズのWRTトリオ(41号車オレカ07・ギブソン)は、ドライバーとチームの両ランキングで2位につけるインター・ユーロポル・コンペティション(34号車オレカ)とそのクルーとのポイント差を10ポイントに拡げた。
***昨年のモンツァで表彰台を獲得したベクター・スポーツによる1年前の再現は、2度の接触によって打ち砕かれた。10号車オレカは、プレマの2台からそれぞれヒット受けた。1度目はマティアス・カイザーが、ドリアーヌ・ピンがドライブする63号車オレカに押されてスピン。2度目はガブリエル・オーブリーが9号車オレカのベント・フィスカールにヒットされた直後、レズモのふたつめの出口でクラッシュを喫した。後者のアクシデントでは2度目のセーフティカーが出動している。
***ベクターチームのボスであるゲイリー・ホランドは次のように語った「そこまでは好調な週末だったが、今日は2度にわたってプレマ勢にヒットされ、彼らに対するペナルティよりもはるかに大きな“ペナルティ”を受けることになった。ここから立ち直る必要があるが、少しうんざりしてきたので、そろそろ(我々に)運が向いてきてもいいんじゃないかな、と思うよ」
***フィスカールはレース後、ベクター・スポーツのガレージに直接謝罪に出向いた。ベクターチームのスポークスマンによると、この接触で10号車オレカのギアボックス・ケーシングが損傷したという。
***LMGTEアマクラスの新チャンピオンとなったニッキー・キャツバーグは、最後のピットストップでタイヤを交換するという決定が33号車シボレー・コルベットC8.Rに損害を与えたと明かした。これによって86号車ポルシェ911 GT3 R(GRレーシング)に後れを取ったコルベットは、クラス3位になるポテンシャルを持ちながら表彰台を逃したという。
***オランダ人はこう振り返った「僕は(86号車ポルシェの)ベン・バーカーより前にいて彼を抑えていたんだ。もし(争っているのが)僕と彼だけだとわかっていたら、昨年と同じようにタイヤを替えなかったと思う。あの時は(86号車の)後ろにいてもよかった気がするんだけど、でも他の2台(優勝した77号車ポルシェと2位60号車ポルシェ)があんなふうに僕らを飛び越えているとはまったく知らなかった。だから、トップ争いをしているつもりだったんだ」
***先月のル・マン24時間レースでクラス優勝を果たした彼は、チームメイトのニコ・バローネとベン・キーティングとともに、ルイ・シボレーの腕時計をコルベット・レーシングのクルー全員にプレゼントした。「それは僕たちドライバーグループのアイデアで、みんなでお金を出し合ったんだ」とキャッツバーグは語った。
***ル・マンでもクラス3位に入ったGRレーシングは、2戦連続で表彰台を獲得した。すでに今季のチャンピオンが決定したGTEアマのランキングで5位につけているドライバーを擁するイギリスチームは、ここ2レースで合計54ポイントのうち45ポイントを獲得している。
■ライバルも認める最高のパッケージ
***ORT・バイ・TFとアイアン・デイムスは、シーズン終盤2戦を残してGTEアマのタイトルを獲得したコルベットチームを祝福した。
***アイアン・デイムスのラヘル・フレイはSportscar365に次のように語った。「彼らにとって信じられないようなシーズンだったでしょうね。すべてのサクセスバラストを積んでもなお、彼らのクルマはコース上で最強でした」
***来季2024年はLMGT3クラスでシボレー・コルベットZ06 GT3.Rを走らせる、TFスポーツのトム・フェリエ代表は「最強のラインナップ、最速のマシン。彼らはチームとしてミスを犯したことがない。また、今年はFCYの下でピット作業ができないため、ペースがすべてだった」とアメリカンチームを称賛した。
***フレイは、プロトンの99号車ポルシェ963がストップしたことによってFCYが出された後、レースコントロールがセーフティカーを導入したことに驚いた複数の競技者のひとりだった。
***トヨタのバセロンはSportscar365に対し「私たちの生活が少し難しくなるような事態が起きているようだ! コメントはできないが、セーフティカーが必要な状況には見えなかったので、驚いているとしか言いようがない」と述べた。
***クラス2位でフィニッシュしたアルピーヌ・エルフ・チームは、2020年のル・マン24時間レースでの3位以来となるLMP2ポディウムに返り咲いた。「僕たちのクルマは、今年の初めから改善が続けられており、(この結果は)チームのハードワークが実を結んだことを示している」とシャルル・ミレッシは語った。
***アルピーヌは、ブルーノ・ファミンをアルピーヌ・モータースポーツ担当副社長兼アルピーヌ経営委員会メンバーに昇格させ、ルノー・ブランドのレース活動全般を統括することになった。現在もヴィリー=シャティヨンにあるアルピーヌのモータースポーツファクトリーの責任者であるファミンは、ル・マンで初公開されたアルピーヌA424_β(新型LMDhのプレビューモデル)を開発した技術チームの指揮を執った。
***モンツァ6時間レースの公式観客動員数は6万5000人だった。ル・マンで優勝したフェラーリ499Pが母国凱旋レースに臨むということもあり、“ティフォシ”と呼ばれるフェラーリの熱烈なファンがその多くを占めた。
***このレースではル・マンを3度制したリナルド・カペッロがグランドマーシャルを務めた。また、F1で7度の優勝を誇り、ル・マンにも3度出場しているルネ・アルヌーもFIAとACOのゲストとしてモンツァを訪れていた。
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みんなのコメント
トヨタなんてハイパーカーに参戦してから一度もフルパワーで走ったことないぞ。
その性能調整で今年一番得しただろうがっ!!
まさにけしか&ラーンだぜっ・・ww