内燃エンジン版と同等の隔離性や快適性
ランドローバーのフラッグシップ、4代目レンジローバーにプラグイン・ハイブリッド(PHEV)版が追加となった。パワートレイン以外、基本的にはこれまで試乗したレンジローバーと大きな違いはない。グレードはP510eを名乗る。
【画像】大型SUVにピッタリ ランドローバー・レンジローバーのPHEV 競合モデルと写真で比較 全153枚
先日、レンジローバー・スポーツの試乗レポートを掲載させていただいた。その時は、V8ガソリン・ツインターボ版と直6ガソリン・ターボのPHEV版を直接乗り比べる機会があった。
今回はベーシックな内燃エンジン版と一緒に比較できなかったものの、レンジローバー・スポーツと同様に、外界との隔離性や快適性といった面での違いはないと考えていいだろう。しっかり五感を働かせても、知覚できないレベルだと思う。
少なくとも、レンジローバーとレンジローバー・スポーツとの差別化については再確認できた。率直にいってしまえば、殆ど差はない。BMW X7とX5、あるいはアウディQ7とQ8の距離感と同じだと考えていい。
レンジローバーの乗り心地は素晴らしい。走行中の車内の静寂性にも驚かされる。内装素材は全体的に上質だが、お手頃な価格の方が説得力は高まる。最上位トリムグレードのSVを選ぶと、若干物足りなさがないわけではない。
英国価格は、PHEVのP510eで12万6455ポンド(約2086万円)から。最高出力が抑えられたP440eでは、10万3485ポンド(約1707万円)からとなる。自由なパーソナライゼーションが可能なSVの場合、14万9400ポンド(約2465万円)へ上昇する。
エネルギーの効率的な制御に感心
P510eの3.0L直列6気筒ターボエンジンは静かに、滑らかで即時的なレスポンスを発揮。スポーティと感じるような、鋭さが隠れている。シフトセレクターをDからSへスライドさせると、さらに反応が良くなる。
駆動用モーターが積極的にエンジンをアシストし、パワー感にまったく不足はない。中間加速時もシフトダウンすることなく、アクセルペダルを踏むだけで完了する。システム総合の最高出力は510psで、とにかく速いラグジュアリーSUVだ。
レンジローバーのPHEVで強く感心したのは、エネルギーの効率的な制御。これはレンジローバー・スポーツにも当てはまるのだが、ナビゲーションに目的地を入力すると、最も高効率で走れるよう自動的に駆動用バッテリーの消費量を調整してくれる。
ルートの途中や目的地にゼロエミッション・ゾーンがある場合は、バッテリーを温存。駆動用モーターだけで走行可能な状態が維持される。
ドライバーが望めば、駆動用バッテリーを可能な限り連続的に使用し、ガソリンエンジンを一切使わず走行することも可能。EVモード時は、バッテリーとモーターだけで最長112kmを走行可能となっている。追って充電が必要になるが。
レンジローバーの特性にピッタリなPHEV
あるいは、ガソリンの消費を最小限にしたハイブリッド・モードも選べる。駆動用バッテリーを最大限活用しつつ、エンジンのアシストを加える走り方なら、充電が必要になるまで240km位は走れるようだ。
ちなみに、より小さい駆動用バッテリーを搭載するランドローバー・ディフェンダー P400eの場合、EVモードの航続距離は43km。P510eと同様のハイブリッド・モードでは、120kmほど走れた。
PHEVは駆動用バッテリーとモーターを搭載する構造上、最新システムだとしても、内燃エンジンのみの構成より車重は増える。レンジローバー P510eの場合、2735kgもある。その結果、オフロード性能には多少の制限が生まれるはず。
しかし、パワートレインの特性に合致した乗り方なら、メリットは間違いなく享受できる。遠く離れた目的地まで天気を選ばず快適に移動したい場合や、ある程度の重量物を運びたい場合は、PHEVのSUVは理にかなった技術だといえる。
つまり、このランドローバー・レンジローバーというモデルの特性にもピッタリだといっていい。
ランドローバー・レンジローバー P510e PHEV SV(英国仕様)のスペック
英国価格:14万9400ポンド(約2545万円/試乗車)
全長:5052mm
全幅:1990mm
全高:1870mm
最高速度:241km/h
0-100km/h加速:5.6秒
燃費:110.8-125.0km/L
CO2排出量:18-21g/km
車両重量:2735kg
パワートレイン:直列6気筒2996ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:31.8kWh(実容量)
最高出力:510ps/5500-6500rpm(システム総合)
最大トルク:71.2kg-m(システム総合)
ギアボックス:8速オートマティック
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