はじめに
フィアットは批評家たちから、ミュージカルの古い演目にたとえられてきた。ロングラン上演は続いているが、いまさら見聞きする価値のある材料はなく、ただただ自分たちの強みを活かすように過去と同じことを繰り返している、というわけだ。
マツダ・ロードスターがベースの124スパイダーは好ましかったが、これこそ記憶に焼き付くことのないカバーアルバムのようなクルマでもあった。ティーポは、なんと今なお販売されているが、新車登場時ですら名前も中身もオールドファッションだった。
500Xや500Lも、独創性は薄い。皮肉な見方をすれば、古い材料の再解釈でしかない。そのいっぽうで、本家500のヴァリエーションは次から次へと登場し、ファンを楽しませ続けている。500ほど多くはないが、パンダもまたそうだ。
しかし、とうとうフィアットは、ひさびさに重要な新作を発表することになったと言っていいだろう。もちろんそれは、完全新設計の電動版500だ。名前はもちろん、遠目にはルックスもお馴染みのそれだが、そこにだまされてはいけない。中身は完全に新しくオリジナルで、しかも間違いなく時流に沿ったものだ。
その車名について、最初に説明しておいたほうがいいだろう。その名称はシンプルにフィアット500で、エンブレムのふたつめのゼロがeの字に見えるようデザインされているが、公式に500eと呼ばれることはない。世間的には、混乱を避けるため新型500や500EVなどという呼び名も使われているが、これもオフィシャルなものではない。
対して、生産が続いている従来の内燃機関搭載車は、現在では500ハイブリッドと呼ばれることになっている。ただし、そこに積まれるのはマイルドハイブリッドで、それもきわめて控えめな内容のものにすぎないのだが。
と、従来型500との違いも含めてご理解いただいたところで、EVの500の中身について見ていこう。フィアットにとってはこの上なく重要なモデルだろうが、そのポジションや期待に見合ったクルマとなっているのだろうか。
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
紛らわしいネーミングが、この500が完全新設計だという事実をわかりにくくしている。既存の500を手直ししたEV版なのだとお思いの読者もいるかと思うが、新旧2台を並べれば、そうではないことが明確になる。新型のサイズもプロポーションも、まったくもって違うのだ。新設計以外の何ものでもないことがよくわかる。
いまやフィアットが属するステランティスは、将来的にこのグループが販売するほとんどのEVを、旧グループPSAが開発したCMPプラットフォームをベースにするという。これは、ご存知のようにガソリン/ディーゼルのエンジン単体からハイブリッド、フルEVまで対応できる基本設計となっている。ただし、すべてのEVがそうなるというわけではない。
ましてや、新型500のプロジェクトは、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とPSAの合併以前にスタートしている。そのため、専用設計のスケートボードスタイルの専用設計プラットフォームが用いられている。これをベースにしたほかのEVも登場するのか、それとも今後はPSA系のテクノロジーに統合されるのか、現時点では不明だ。
機械的にみれば、そのレシピは比較的無難だ。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームと、コンパクトなFF車のセオリー通り。スタイリングと同じくRRレイアウトにすれば、量販EVで主流になりつつあるフォーマットともなったが、それは見送られた。とはいえ、こうしたパワーの低いコンパクトカーでは、RRによるトラクションのメリットが限定的で、しかもただでさえ小さい荷室がさらに削られてしまう。
フロア下の駆動用バッテリーは2種類で、主流はテスト車両にも積まれている42.0kWh版。実用容量は37.3kWhで、最高出力は119ps、航続距離はWLTP値で320km。下位モデルではグロス23.8kWh/ネット21.3kWhとなり、95ps/190kmだ。
いずれもクラストップレベルとはいかない数字だが、ここまで小さなクルマとしては悪くない。そう、このEVの500は非常にコンパクトなのだ。内燃エンジンの500よりは61mm長く、56mm広く、39mm高いが、ミラーを含めた全幅はほとんど同じ。クルマが混み合った市街地でも、道が狭く入り組んだ古い街でも、じつに使いやすいサイズだ。
もしかしたらフィアット500は、技術面のスペック以上にスタイリングが重視されるクルマなのかもしれないが、その点も抜かりない。ゴテゴテしてもいないが、物足りなさやつまらなさは微塵もない。手がけたクラウス・ブッセは、マセラティのデザイン担当副社長で、オートカーアワードでは2021年のデザインヒーロー賞を授与している。
ガソリン車の500と同様、通常のハッチバックと、ファブリックの開閉式ルーフを装備する500Cをラインナップ。左ハンドル車には、3+1レイアウトのキャビンと後席乗降性を高める後ヒンジの追加ドアを備える仕様も用意されるが、右ハンドル車へは今のところ設定されていない。
内装 ★★★★★★☆☆☆☆
EVとしては比較的手頃な価格設定の500だが、そのぶんキャビンにコストを費やしていないのは明らかだ。ソフトタッチなマテリアルや、高価そうなフィーリングのスイッチなどは、このクルマには多くない。
とはいうものの、デザイナーがうまい着地点を見つけたと思わせるところもある。表面の多くは硬いプラスティックで覆われているが、ダッシュボードのボディ同色パネルや、ドアトリムに張られたファブリックなどをうまく使い、レトロ感にうれしくなるデザインだ。
ズラリと並んだ空調関係のボタンは500の独自色が出ていて、実体スイッチを採用したのも使いやすくありがたい。ただし、フィールは安っぽいし、グロスブラック仕上げはタッチパネルと同じく指紋が目立つ。また、オプションのシートヒーターは、エアコンの使用機会を減らして航続距離を稼ぎたいEVには必須アイテムと言えるが、その操作はディスプレイ上で行うことになる。
シートはレトロなブルーとホワイトのファブリック表皮で、材質はプラスティックのリサイクル素材を使用。街乗りコンパクトカーとしては快適で、長距離走行で身体のあちこちが痛くなるようなものにはなっていない。座面はやや短くフラットで、ランバーサポートの調整機能はない。しかし、このセグメントであればもっと出来の悪いシートもある。
もっと深刻な不満を感じたのは、運転環境のエルゴノミクスだ。まず、運転席の高さ調整がオプション。これは標準装備にするべきだ。テスト車は未装備で、しかも座面がかなり高く感じられた。
ヘッドルームは十分すぎるほどあるのだが、フロントウインドウの上側3分の1あたりから周囲を見下ろすようなことになるので、ルームミラーに前方視界を遮られる。背が高いドライバーは身をかがめて運転することになるわけで、長時間乗っていると腰が痛くなる。
さらに、フィアットの右ハンドル化は相変わらずひどい。ペダルは比較的センター寄りのポジションだが、大ぶりなセンターコンソールがフットウェルに張り出しているので、左足の置き場が非常に狭い。
いちおう、フットウェルの壁面に狭いプラスティックのトリムを設置してフットレストとしているが、たいして役に立たない。しょっちゅう足が滑り落ち、ブレーキペダルの下に入り込んでしまうので、かなりストレスが溜まる。
室内スペースは、コンパクトカーに想像する通りといったレベルで、制約はある。前席を一般的なポジションにすると、後席レッグルームは大人が座るには狭くなりすぎるし、頭上も余裕がない。ただし、小さな子供なら問題なく乗れるだろうし、ISOFIXは2か所用意されている。
イコン以上のグレードでは、後席は50:50の分割可倒式となり、積載性が向上する。荷室容量そのものは小さいが、フロアはフラットで、使いやすいスクエアな形状をしている。
走り ★★★★★★★★★☆
ガソリンエンジンのコンパクトカーなら、0−100km/h加速が11秒を優に超えるのもやむなし、と思われてきた。ところがEVであれば、電気モーターの出力特性によって、はるかに威勢のいいものになる。今回のフィアット500は、パフォーマンスモデルというわけではないにもかかわらず、フォルクスワーゲンUp GTIより0.3秒早く97km/hに到達してみせた。
スモールカーとしては、295kgのバッテリーパックのせいでかなり重いものになっていて、1365kgの公称重量は、パフォーマンスに多少の悪影響を及ぼしている。それでも、0−97km/hは8.1秒をマークした。また、2016年にテストした1.2Lガソリンの500Cとの比較ならば、英国の高速道路の制限速度には8秒も早く到達する。リミッターが作動する148km/hにも、易々と届くのだ。
走行モードは、ノーマル/レンジ/シェルパの3つが用意される。ノーマルでは回生ブレーキの効きがわずかで、ガソリン車のエンジンブレーキと同程度。レンジでは初期加速が鈍くなり、スロットルレスポンスも落ちるが、回生ブレーキがかなり強くなる。ただし、ワンペダル運転ができるまでには至らない。シェルパはレンジと似たようなものだが、空調関係が停止して、最高速度は80km/hに制限される。
ノーマルで走ると、ブレーキペダルのフィールはプログレッシブで心地いい。緊急ブレーキでの制動力は、同じくコンパクトEVのヴォグゾール・コルサ−eあたりと同程度だが、異常なピッチングや、わざわざお伝えするほどの不安定さは発生しなかった。
使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
インフォテインメント
イタリアのブランドが、インフォテインメントシステムでライバルを凌ぐことはまずないと思われがちだが、フィアットは今回かなりいい仕事をした。
インターフェイスは、一見すると情報過多で、やや圧倒されてしまう。しかし、レイアウトにはすぐに慣れるし、そうなってみるとこれがじつにロジカルで、しかもレスポンスのよさにも満足できる。
左側には常にショートカットが並び、ワイヤレス接続のApple CarPlay/Android Autoはスムースに作動する。ワイヤレス充電器も、ほとんどのグレードに設定されている。その代わり、USB端子は2口のみだ。
イコンとラ・プリマの両グレードには、10.25インチのディスプレイを搭載。いっぽうで、ベースグレードのアクションではラジオすら付かず、携帯電話のクレードルとアプリのみが備わる。発売時にちょっと試してみたところ、そのアクションの仕様も機能的には上々だった。ただし、850ポンド(約13.2万円)のラジオパックを追加すれば、7.0インチ画面付きにアップグレードできる。
燈火類
ほとんどのグレードがLEDランニングライトを備える500だが、標準装備のヘッドライトはハロゲン。LEDに慣れているとガッカリだが、ハロゲンとしてはまずまず。
ステアリングとペダル
センタートンネルがかなり張り出していて、フットレストはほとんど用を為さない。これは右ハンドル化の弊害としていの一番に気づくところだが、ペダルを右方向へずらしたことで多少は事態の改善をみている。
操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆
シティカーと呼ばれる、街乗りメインのコンパクトコミューターは一般的に、ハンドリングの魅力で訴求するようなものではない。シンプルなサスペンションレイアウト、控えめなグリップ限界と概してコンサバティブなホイールジオメトリー、アジリティよりスタビリティを優先したセッティングなどの結果だ。
結局、まずまずといえるものになっていれば御の字、というのがこのカテゴリーのハンドリングである。しかしうれしいことに、フィアットは500のそれをもっとずっと上のレベルに引き上げていた。
テスト車は17インチホイールに、205/45サイズのコンチネンタル・エココンタクト6を履く。これは、ボディサイズの割にはかなり太めのタイヤ選択だ。その結果、この500はグリップもトラクションも十分以上にある。
低価格のEVはえてしてそこに苦戦し、初歩的なトラクションコントロールが、電気モーターの瞬時に立ち上がるトルクを抑えきれなくなる。ただし、500には185幅や195幅のタイヤを装着する仕様もあるので、それらはまた違った走りを見せるかもしれない。
サスペンションはかなり硬く、コーナリング時のロールは極めて小さい。そのため、軽い手応えのステアリングが路面のフィールをまったく手元に伝えてこないにもかかわらず、速度が高くてもコーナーでのライン取りに自信が持てる。
実際、コーナー進入時に減速の必要がないと思えることもしばしばある。それでも狙いどおりにターンインしてしっかり回っていくのだ。加えて、ショートホイールベースが産むアジリティにより、シャシーはドライバーの操作へ素直に従ってくれる。どことなく、オリジナルのミニに似たものを感じる。
高めの速度域では、高速道路での巡航時にも、テストコースでグリップ限界を探るようなドライビングをした際にも、シャシーが安定していることが実感できる。アンダーステアが出ても、スロットルを抜けばタックインする。この手のクルマとしては、賢明なセッティングだ。
こうしたことから、この電動500用プラットフォームは、辛口に仕立てたアバルト仕様にもマッチするのではないかと思われる。180ps程度にパワーアップし、ステアリングを改良してスポーツシートを載せ、より振り回せるシャシーバランスにすれば、ミニ・エレクトリックの強敵になりうるだろう。しかも、航続距離では大きく水を開けて、実用に適うものになるはずだ。
とはいえ、500の本分と言えるシティカーとしてのハンドリングの秀逸さを損ねることは避けてもらいたい。ステアリングの初期フィールはスローだが、それは舵角を大きく取ったからだ。このクルマは、望めばみごとに小回りが効くところを披露する上に、車体の四隅がドライバーから近いので見切りもじつにいい。
快適性/静粛性 ★★★★★★☆☆☆☆
乗り心地とハンドリングは、どこかで妥協し合わなければならないが、フィアットはこの500で、みごとな折衷案を示してみせた。高速道路では優れたスタビリティを見せるうえに、長距離走行時の高い快適性や洗練性までも兼ね備えているのだ。
そうは言っても、これはハイウェイをかっ飛ばすより、シティカーとしての性格がずっと強いクルマに仕立てられている。つまるところ、高速道路の速度域にあっては、風切り音やロードノイズがかなり出てしまうのだ。少なくとも、エンジンが唸りを上げることだけはないのだが。
運動性能と引き換えになったのが顕著に感じられるのは、低速での乗り心地かもしれない。サスペンションが硬く、ホイールベースが短い上に、タイヤのあしらいがぎこちないところもあるので、大きめのバンプなどではやや乗り心地がよくない。ひょこひょこした上下動やバウンドに面食らうこともある。
それもすぐに慣れてしまうし、舗装の穴では必ずしも気に障るようなことになるわけではない。しかし、路面に隆起を見つけるたびに、少なからず突き上げられるのではないか、と思ってしまうようになるのにも時間はかからない。
快適性に影響するもうひとつのファクターが、ドライバーの感覚だ。比較的古めのコンパクトカーに乗っていればよくわかるはずだが、それでもこの500より大きいクルマから乗り換えると、少なからず驚きを感じるだろう。それはまるで、クルマが行き交う中に、剥き出しで投げ込まれたような感じ。同じコンパクトカーでも、最近のフルサイズのものでは味わうことのない感覚だ。
その原因は、この500の高いドライビングポジションと、左右のドアやボンネット先端までの距離の短さにある。最新のユーロNCAPでは4つ星を獲得し、申し分ない安全性を実証している。それでも、自分の周りに余地がないことは、衝突時の安全性に一抹の不安を抱かせるのだ。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
もっとも安価なグレードのアクションは、バッテリーも小容量版となるが、価格は2万3495ポンド(約364万円)から。補助金を差し引けば2万1995ポンド(約341万円)となる。スマートEQフォーツーを除けば、英国で買える新車のEVではもっとも安い。
むろん、ルノー・トゥイージーやシトロエン・アミのようなマイクロEVも、販売終了したセアト・ミイやスコダ・シティゴーは比較対象外だ。また、スマートに比べれば、室内スペースも、シートの数も、航続距離も、フィアットのほうがずっと上回っている。
フォルクスワーゲンUpやヒュンダイi10、またセアト・イビザのようなガソリンエンジンのコンパクトカーと比較すれば、当然ながら価格は高い。しかし、それはほとんどのEVに言えることだ。
トップエンドの仕様になると、価格は3万ポンド(約465万円)台前半。これは、広さや航続距離で上回るプジョーe−208の同等グレードよりやや安く、ヴォグゾール・コルサ−eやルノー・ゾエと近い。マツダMX−30はこれらより低価格だが、航続距離で劣る。
航続距離に関して、フィアットは320kmという公称値を謳うが、実測の結果を踏まえると楽観的な数字だと思える。テスト時は寒かったが、高速道路での走行を含めても225km程度というのが現実的なところだ。
もしも市街地のみで、天候にも恵まれれば、260km近くに届くかもしれない。残念だったのは、満充電時に表示される航続距離表示が、楽観的な数字を示しがちだったことだ。
充電スピードはまずまずだが、それ以上のことはない。小容量版は50kW、大容量版は85kWまでにそれぞれ対応し、0~80%のチャージは35分かかるという。これは、われわれのテスト結果とも一致している。
スペック
レイアウト
フィアット500のEV版は、スケートボード形状のEV専用プラットフォームを採用。現時点では、他車と共用はしていない。
バッテリーはキャビンのフロア下に積まれ、フロントに置かれたモーターで前輪を駆動する。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームだ。
パワーユニット
駆動方式:フロント横置き前輪駆動
形式:永久磁石同期電動機
駆動用バッテリー:水冷式リチウムイオンバッテリー、-42.0kWh(グロス値)/37.3kWh(ネット値)
最高出力:119ps/-rpm
最大トルク:22.4kg-m/-rpm
許容回転数:-rpm
馬力荷重比:87ps/t
トルク荷重比:16.5kg-m/t
ボディ/シャシー
全長:3631mm
ホイールベース:2322mm
オーバーハング(前):732mm
オーバーハング(後):577mm
全幅(ミラー含む):1840mm
全幅(両ドア開き):-mm
全高:1527mm
全高:(テールゲート開き):2000mm
足元長さ(前):最大1030mm
足元長さ(後):最大620mm
座面~天井(前):最大1005mm
座面~天井(後):最大860mm
積載容量:185~550L
構造:スティールモノコック
車両重量:1365kg(公称値)/-kg(実測値)
抗力係数:-
ホイール前・後:7.0Jx17
タイヤ前・後:205/45 R17 V XL
コンチネンタル・エココンタクト6
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)
変速機
形式:1速リダクションギア
ギア比
最終減速比:-
リダクション比・前/後:-/-
1000rpm時車速:-km/h
電力消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:6.1km/kWh
ツーリング:6.4km/kWh
動力性能計測時:4.3km/kWh
メーカー公表値:消費率
混合:7.1km/kWh
公称航続距離:320km
テスト時平均航続距離:229km
CO2排出量:0g/km
サスペンション
前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:トーションビーム
ステアリング
形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:3.0回転
最小回転直径:9.7m
ブレーキ
前:281mm通気冷却式ディスク
後:203mmドラム
制御装置:ABS
ハンドブレーキ:自動(センターコンソールにスイッチ配置)
静粛性
アイドリング:-dBA
全開走行時(145km/h):74dBA
48km/h走行時:57dBA
80km/h走行時:64dBA
113km/h走行時:71dBA
安全装備
ABS/ESC/LKA/AEB/4エアバッグ/居眠り警告
Euro N CAP:4つ星(2021年)
乗員保護性能:成人76%/子供80%
交通弱者保護性能:67%
安全補助装置性能:67%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温8℃
0-30マイル/時(48km/h)3.1秒
0-40(64):4.3秒
0-50(80):6.0秒
0-60(97):8.1秒
0-70(113):10.8秒
0-80(129):14.3秒
0-90(145):19.3秒
0-402m発進加速:16.5秒(到達速度:136.5km/h)
0-1000m発進加速:-秒(到達速度:-km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
ヴォグゾール・コルサ−e エリート・ナビ(2021年)
テスト条件:乾燥路面/気温13℃
0-30マイル/時(48km/h):3.0秒
0-40(64):4.3秒
0-50(80):6.0秒
0-60(97):8.3秒
0-70(113):11.1秒
0-80(129):14.7秒
0-90(145):19.6秒
0-402m発進加速:16.6秒(到達速度:135.2km/h)
0-1000m発進加速:-秒(到達速度:-km/h)
キックダウン加速
20-40mph(32-64km/h):2.3秒
30-50(48-80):2.9秒
40-60(64-97):3.8秒
50-70(80-113):4.8秒
60-80(97-129):6.2秒
70-90(113-145):8.5秒
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温8℃
30-0マイル/時(48km/h):8.4m
50-0マイル/時(64km/h):23.4m
70-0マイル/時(80km/h):45.3m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.70秒
ライバルの制動距離ヴォグゾール・コルサ-e エリート・ナビ(2021年)
テスト条件:乾燥路面/気温13℃
30-0マイル/時(48km/h):9.1m
50-0マイル/時(64km/h):23.7m
70-0マイル/時(80km/h):45.9m
結論 ★★★★★★★★☆☆
フィアットの絶頂期はだいぶ過去の話となったが、この新たな電動バージョンの500をもって、ついに返り咲きを果たすこととなりそうだ。
エクステリアはもちろん、インテリアもこれまでどおりひと目でそれとわかるキュートなデザインだ。しかし、レトロ調でありながらどこから見てもモダンだ。500ほどスタイリングを重視した物件としては、ほぼ大成功だといっていい。
とはいえ、このクルマの魅力はそこにとどまらない。所有し、運転する上でも納得できる一台だ。もっとパワフルで航続距離の長いEVはあるが、この500がそれらに大きく劣っているというわけではない。
また、ボディサイズと回転半径の小ささゆえに、シティカーとしての本分でも満足させてくれる。逆に、シティカーという出自を完全に隠しきれないところもあるが、広く開けた道に連れ出しても、驚くほどいい走りを見せる。
価格帯は広い。それゆえ、比較的手頃なEVとしても、この上なくファッショナブルなプレミアムコンパクトとしても選択肢に入りうる。
EVだからといって、もちろん必ずしもすべてが2t級の巨漢でなければいけない、というわけではない。それを体現するコンパクトEVのランキング上位に、フィアットはいきなり食い込んできた。手に入れやすく、見ても、乗っても、走らせても楽しい一台だ。
担当テスターのアドバイス
イリヤ・バプラート今まで乗ったクルマの中で、もっとも予想していなかったほど楽しませてくれる一台だと感じる場面があった。小さなサイズにレスポンスのいいシャシー、ほどよいトラクションと電気モーターの瞬時に立ち上がるトルク。それらが相まって、自宅周辺の狭い田舎道でもかなりハードに走らせることができるのだ。もちろん、安全に配慮して、制限速度以下で、の話だけど。
リチャード・レーン500のお知らせチャイムは調子っ外れな感じ。フェリーニの映画音楽なども含んだクリエイティブなイタリアンスピリットにインスパイアされた、というのだが、ちょっとばかりむずがゆくなることもある音だ。とはいえ、イライラさせられることだけはまったくない。
オプション追加のアドバイス
近場を走るだけなら、低価格の500アクションはかなりのおすすめ。オプションを乗せすぎなければ、かなり安く買える。日常の足としてもっと高い利便性を求めるなら、大きいほうのバッテリーはもちろん、ウィンターパックとコンフォートシートパックの追加は必須だ。
改善してほしいポイント
・ブレーキペダルをもう少しだけ右に寄せて、ちゃんとしたフットレストをつけてほしい。
・スパイスの効いたアバルトバージョンの登場を期待する。
・薄っぺらくて指紋がつきやすいエアコン関係のスイッチは要改善。シートヒーターのスイッチもつけてもらいたい。
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みんなのコメント
全く読んでない。
もうちょい安いと嬉しいが。