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【試乗】新型トヨタ・ヴェルファイアならこれか? 新エンジン3.5リッターV6の強烈な完成度

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【試乗】新型トヨタ・ヴェルファイアならこれか? 新エンジン3.5リッターV6の強烈な完成度

 ハイブリッド全盛でもガソリン車の動力性能も人気が高い

 国内LLクラスミニバンの75%のシェアを誇るのが、トヨタ・アルファード&ヴェルファイア。2015年1月に登場したヴェルファイアの2代目は、クラウン・アスリート以上の存在感を放つ大空間サルーンだ。

高級シートがエアロ仕様にも! トヨタ・アルファード&ヴェルファイアがマイナーチェンジ

 その2代目は、2列目シートに、ベンチシート(8人乗り)、リラックスキャプテンシート(7人乗り)、エグゼクティブパワーシート(7人乗り)に加え、最上級のVIP仕様となるエグゼクティブラウンジシートを追加。特にエグゼクティブラウンジはそれこそ新幹線のグランクラスを思わせる2脚が大空間にすき間なく並ぶ、特別なVIP向けの豪華極まる格納多機能リモコン、ウッドテーブル付き座席である。

 とはいえエグゼクティブラウンジは約700万円からのVIP価格もさることながら、3列目席の乗り降りの自由度を高める2-3列目スルーができない仕様。ファミリーユーザーであればグランクラス感覚の豪華さと、2-3列目席スルー(通路幅約145mm)の実用性を兼ね備えたエグゼクティブパワーシート仕様がベターな上級選択かもしれない。

 エグゼクティブラウンジは秘書が素早く3列目席に乗り込み降りることを想定した新機能さえあるから(レバーを引くだけで背もたれが前に倒れ、シートが前にスライドしオットマンも格納されるマニュアルウォークイン機構。4月納車から展開予定)、スマート&楽々ではあるのだが、それでも3列目席の乗降はウォークインに限られ、3列目席からの前方見通し性でもエグゼクティブパワーシートに一歩譲るのだ。

 もちろん1列目席の豪華さもさすがトヨタ最上級ミニバンならでは。運転していることを忘れさせてくれる……は大げさだが、下界を見下ろすような視界、快適感は2列目席に決して劣らない。ロールブラインドの用意もある3列目席にしても、1-3列シアターレイアウトのシート座面が2列目席よりさらに高く、見晴らし良好。USBソケットなどは付かないものの、ミニバンとして豪華すぎる空間である(2列目席がある程度前に出ていれば)。

 マイチェンしたヴェルファイアは内外装デザインの刷新とともに、大きなトピックとして第二世代のトヨタセーフティセンスを全グレードに標準装備。トヨタがプリクラッシュセーフティと呼ぶ自動ブレーキは新たに昼間の自転車、夜の歩行者にも対応。10~180km/h対応の渋滞追従機能付きレーダークルーズコントロール(ACC)、そして第二世代セーフティセンスの売りであるレーントレーシングアシストを新搭載。

 従来からあるレーンデパーチャーアラートに加え、半自動運転につながる車線の中央を維持して走る機能や車線を逸脱しそうになるとステアリングアシストで車線内に引き戻してくれる先進機能も実現している。さらにロードアサインアシスト(標識認識機能)、先行車発進告知機能、さらにセーフティセンスとは別にブラインドスポットモニターなども用意。マイチェン前とは別次元の先進安全運転支援機能を手に入れたことになる。

 基本的な走行性能、快適性能関連の進化も見逃せない。操縦性や快適性にかかわるボディ剛性を一段と高め、静粛性をさらに高めるため吸音材を各所に配置するとともに、風切り音低減のためドアミラーベースの空力を改善している。とくにこのエグゼクティブラウンジでは1列目席、2列目スライドドアのガラスを防音性の高いラミネートタイプに格上げ。ドアまわりの密閉性までもを改良しているほどだ。

 また、足まわりにはダンパーに新バルブを採用する。微低速域から減衰力を上げてゴツゴツせず、ボディの無駄な動きやバネ上のグラグラ感を押さえ、振動低減や操舵応答性を向上。ステアリングを切ったぶんだけすっきりリニアに曲がるロール方向に逃げない乗り味を追求しているという。

 では、上顧客と言えるヴェルファイアの上級グレードを購入するユーザーは、先進性あるEV走行も可能なハイブリッドと、ゆとりある加速力が魅力の3.5リッターV6とどちらが好みなのか? 答えはここで試乗したZG、つまり後者である。

 そこでトヨタは上顧客の期待に応えるべく、V6エンジンを一新。北米仕様のシエナ、ハイランダー、カムリ……と積まれてきたトヨタとして国内初のD-S4 3.5リッターV6(301馬力/361N・m+8速ATのFF用ユニット)を新搭載。0-100km/h加速は約8.2秒(以前は8.5秒)。ハイブリッドの10.7秒、2.5リッターガソリンの11.3秒を圧倒する駿足ぶりだ。

 ハイブリッドよりもいい!?  18インチのV6仕様の上質さに感動

 そんなヴェルファイアの3.5リッターV6モデルでもっともスポーティと言えるエグゼクティブパワーシート仕様、18インチタイヤをおごるZGを走らせれば、まずは新エンジンのジェントルに発揮される大トルク、ゆとり極まるパワーが神々しい。

 アクセル操作に対してレスポンスは穏やかで、一瞬のタメがあってから力強く、しかし8速ATがもたらすウルトラスムースな変速による加速態勢に入るセッティングなのは、なるほどVIPが好んで選ぶグレード=エグゼクティブラウンジにも搭載されるエンジンだからである。

 アイドリング時には2.5リッター直4のハイブリッドより少々振動を多めに伝える新V6エンジンは、先を急ぐためアクセルを深々と踏み込んで高回転まで回しても、耳に届くのは豪快ではあるものの、低音が強調された耳障りとは無縁のサウンドだ。頼もしさと上質さの見事なバランスと言っていいだろう。

 フットワークの進化にも目を見張らされた。エアロ仕様ゆえ大径18インチタイヤを装着するため、アルファード&ヴェルファイアの設計基準タイヤの17インチより回転半径が大きくなるのは致し方ないが(5.6m→5.8m)、それを補うためにEPS=パワーステアリングは独自のセッティングとなり、切り方向、戻し方向ともに素晴らしくスッキリかつリニア。

 結果、前輪のインフォメーションの確実さ、ロールの少なさ、曲りやすさ、例え道幅が狭いS字カーブや山道でも思いのほか運転がしやすいと感じ、高速レーンチェンジ時のすっと水平移動する安心感ある感覚もあって、重心の高さを感じにくいドライバーズカー的な、人車一体感、自在感ある操縦感覚を示してくれるのだからもう驚きを隠せない。

 車体の大きさの感じにくさ、という点でも、明らかに同時に試乗した17インチタイヤを履くハイブリッドモデルを凌いでいたのである。大径タイヤによる乗り心地の悪化は、ダンパーの新バルブ採用、ボディまわりの補強が効いているのか、最小限。いや、ほとんどの路面で硬めではあっても大空間高級サルーンとして不満の出ない快適感が保証されると思えた。その上で運転主体に考えるなら、迷わず18インチタイヤを履くエアログレードである。

 その印象を後押ししてくれるのが、新型アルファード&ヴェルファイアの開発陣に「自身で買うならどのグレード?」と質問した答えである。開発全体を見る主査はアルファードハイブリッドSRまたはヴェルファイアハイブリッドZR(17インチタイヤ 約510万円)。主に走行性能のまとめをする走り屋(!?)のはずの実験部の人はなるほど3.5リッターV6の18インチタイヤを履くアルファードSC、ここで試乗記をお届けしているヴェルファイアZG(18インチタイヤで約495万円)とのこと。

 実際の売れ筋グレードは2.5リッターガソリンのアルファードS”Cパッケージ”、ヴェルファイアのZ”Gエディション”(約436万円)とのことだが、もしハイブリッド、3.5リッターV6で悩んだときの絶大なる参考になると思われる。

 そうそう、冒頭でアルファード&ヴェルファイアが国産LLクラスミニバンのシェア75%を占めているとお話ししたが、開発陣いわく、その圧倒的な人気度の秘密のひとつが室内高にあるという。アルファード&ヴェルファイアの室内高はMクラスボックス型ミニバンの超売れ筋となるヴォクシー&ノア同様の1400mm。これは国産ミニバン最大級の数値でもあるのだが、どうやらミニバンの商品力、快適感に強くかかわるのがそこらしく、たしかに室内高1400mm以下のミニバンの多くは苦戦しているのである。家屋同様、天井は高いほうが気持ちいいに決まっている。

 最後に気になる実用燃費は、1名乗車、レーダークルーズコントロールON、エアコン25度オートで横浜~千葉間を高速70%、一般道30%の割合でゆったり走った結果、8.5km/Lだった。モード燃費の約78%だからなかなかとも言える。多人数乗車ならもう少し落ちるはずだが、まぁ、この2トン越えの車重で301馬力ものV6エンジンを積んだミニバンだから良し、としたい。そもそもこのクラス、グレードのミニバンに乗るには、ガソリンの価格など気にしない余裕が必要だろう。

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