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ダイハツ、「普通車」投入の勝算は 穴場の小型国産SUV ロッキーの新しい使命

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ダイハツ、「普通車」投入の勝算は 穴場の小型国産SUV ロッキーの新しい使命

ありそうでない5ナンバーコンパクトSUV

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

【画像】ロッキー/ライズ 見た目どう違う? 全75枚

今の小型/普通車には、海外向けに開発された3ナンバー車が増えたが、新車として売られるクルマの37%前後は軽自動車だ。

小型/普通車でも、販売ランキングの上位に入るのは5ナンバー車が中心になる。日産ノートやホンダ・フィットのようなコンパクトカーの販売比率が25%前後に達するためだ。

つまり国内で売られるクルマの約60%は、ボディの小さな軽自動車とコンパクトカーになる。

その一方で、2000年以降はSUVの販売比率も高まった。今はミニバンに迫る勢いで、新車として売られるクルマの15%近くに達する。コンパクトカーとSUVが、小型/普通車の注目カテゴリーになった。

そうなると5ナンバーサイズに収まるコンパクトSUVが豊富に用意されそうだが、意外に売れ筋車種が少ない。

軽自動車を除くと、全長が4m以下に収まる5ナンバーサイズのSUVは、スズキ・クロスビーとジムニー・シエラだけだ。

ホンダ・ヴェゼル、トヨタC-HR、マツダCX-3、CX-30、日産ジュークなどもコンパクトSUVに入るが、全長は4mを超えて全幅のワイドな3ナンバー車になる。

売れ筋価格帯も、2WDのノーマルエンジン搭載車が220~250万円だから、フィットのようなコンパクトカーに比べて50~60万円高い。

買い得感の伴うコンパクトSUVは車種数が限られる。

ロッキー/ライズ登場 戦力図変わる?

その意味で注目されるのが、2019年11月に発売されたコンパクトSUVのダイハツ・ロッキーとトヨタ・ライズだ。ダイハツが開発と生産を行い、トヨタにOEM車として供給される。

直列3気筒1Lターボエンジンを搭載して、全長は3995mm、全幅は1695mmの5ナンバー車だ。フィットやアクアなどと同等の大きさになる。

ロッキーとライズのサイズは、かつて販売されていたダイハツ・ビーゴとトヨタ・ラッシュに近いが、これはエンジンを縦置きに搭載してフルタイム4WDも採用していた。ランドクルーザーのような後輪駆動ベースのオフロードSUVで、悪路走破力が高い代わりに後席と荷室は狭かった。

新しいロッキーとライズは、タントと同様、DNGAの考え方に基づく前輪駆動のプラットフォームを使う。後席と荷室も広く、低重心になって車両重量はビーゴ&ラッシュに比べると約150kg軽い。動力性能、走行安定性、燃費でも有利になっている。

そしてロッキーの価格は、16インチアルミホイールやエアコンのオート機能を備えたXが184万8000円。全車速追従型クルーズコントロールなどを装着して、アルミホイールも17インチに拡大されるGは200万2000円だ(いずれも2WD)。

ロッキーは最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)に185mmの余裕を持たせたこともあり、推奨グレードは4WDのGで価格は222万4200円だが、ヴェゼルなどに比べると装備の違いを考えても20万円ほど安い。

また1.2-1.3Lエンジンを搭載するフィットのようなコンパクトカーと比べた時の価格上昇も20万円前後だ。

1Lターボが1.5Lノーマルエンジンに匹敵する動力性能を発揮することも考えると、ロッキーは価格を割安に抑えた。

果たしてロッキーはどのくらい売れるのか?

ロッキー、ダイハツの脱軽自動車を促進?

ロッキーの1か月の販売目標は2000台だ。トヨタに供給されるライズの4100台に比べると半数以下だが、ほかの車種に比べると多い。

現行ブーンが発売された時の月販目標は1000台で、トヨタに供給されるパッソの5000台に比べると、20%にとどまっていたからだ。

ロッキーの販売目標が増えた背景には、販売面の事情がある。トヨタの完全子会社になった後のダイハツは、以前に比べると、小型車の販売に力を入れるようになった。

ダイハツ・トールではTVCMも活発に放映され、2019年度上半期(2019年4~9月)の登録台数は、1か月平均で2000台弱に達した。

この点についてダイハツの販売店では、次のようにコメントしている。

「ダイハツは軽自動車のメーカーとされていますが、需要は先行きが不透明です」

「先ごろの自動税の改訂では、1L以下の排気量を4500円値下げして年額2万5000円に抑えられました。それでも軽自動車税は1万800円と安いが、税制面の優位性が次第に薄れてきました」

「そしてスズキはスイフトなどの小型車にも力を入れています。ダイハツとしても、小型車を充実させる必要に迫られているのです」

2019年度上半期において、国内で販売されたダイハツ車のうち、軽自動車の比率は95%に達する。小型/普通車はわずか5%だ。

その点でスズキの軽自動車比率は82%だから、小型/普通車が18%になる。ダイハツも小型車比率を高めることをねらっており、ロッキーはその手段に位置付けられる。

ただしスズキとダイハツでは、決定的な違いがある。

スズキのスイフトやエスクードは自社のみで売られるが(ソリオは三菱にも供給されるが台数は少ない)、ダイハツのコンパクトカーはトヨタがOEM車として大々的に扱うことだ。

今のダイハツは、以前のシャレードのようなダイハツ専売の小型車を用意していないから、売れ行きを伸ばしにくい。

同じベース キモはダイハツ/トヨタ差別化

ロッキーの開発者は、取り巻く市場環境について、以下のようにコメントした。

「トヨタのライズは、ヴォクシーのようなミニバンのお客様、あるいはC-HRのようなSUVから乗り替えるダウンサイジング需要が期待されます」

「これに比べてダイハツの場合は、軽自動車を保有するお客様が多いため、アップサイジングのニーズも考えられるのです」

「そこでロッキーには、最上級グレードのプレミアムを設けた。ロッキーとライズで同じお客様を奪い合うのではなく、異なる顧客層をねらっていきたいです」

ロッキーのプレミアムは、ソフトレザー調のシート表皮を使うなど、ライズとは異なる内装が特徴になる。アップサイジングするユーザーは、5ナンバーサイズの中で、上質さを求めるからだ。

特に今は軽自動車の内装がよくなっているから、ロッキーが普通の造りでは、乗り替えてもアップサイジングした気分を味わえない。ソフトレザー調シート表皮などが不可欠になる。

外装色もロッキー専用のコンパーノレッドを用意した(ライズはターコイズブルーを設定)。さらにフロントマスクの見栄えもライズとはかなり違う。

ロッキーは5ナンバーサイズに収まるコンパクトSUVながら、角張った水平基調の外観はオフロードSUV風でもある。好調に売れるRAV4をコンパクトにしたようなイメージだ。

今後ダイハツが独自のドレスアップされた特別仕様車を設定するなど、魅力的な展開を図れば、ロッキーは売れ行きをさらに伸ばせるだろう。

この経験を商品開発に幅広く生かせば、ダイハツはトヨタとは違う小型車のブランドイメージを築けるかも知れない。そのためには独自の魅力をいかに表現するかが大切だ。

最も大切なことは、ベースとなるクルマ造りをしっかりと行うことだろう。素性の優れたクルマであれば、ドレスアップなども効果を発揮して、プレミアム感覚をさらに高められる。

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