2021年世界ラリー選手権(WRC)開幕戦のラリー・モンテカルロのデイ1が行なわれた。現時点でラリーをリードしているのはオット・タナク(ヒュンダイ)だ。
伝統的な開幕戦の開催地であり、難関としても知られるラリー・モンテカルロ。初日はターマック(舗装路)での2ステージが行なわれた。今季はタイヤサプライヤーがミシュランからピレリに変更となったが、開幕前のテスト機会が不足していただけでなく、新型コロナ感染拡大防止のために大会前のシェイクダウンも行なわれたかったため、各車慎重な走行を余儀なくされた。
■ピレリ、WRCのタイヤサプライヤーに。2021年からミシュランに代わり単独供給
ピレリタイヤのラバーはウェット路面や雪のコンディションではグリップが低下し、路面が乾くにつれてグリップが増す特性があると理解されている。そのため、ウエット路面かつ一部に凍結路面があるという今回のコンディションはピレリタイヤにとって最適とは言い難かった。しかし、2019年以来の王者返り咲きを狙うタナクは、ライバルたちが慎重になっているこの状況を利用したいと考えており、SS1、SS2を共にトップで通過した。
そんなタナク曰く、ヒュンダイに加入したばかりだった昨年よりも、ヒュンダイi20 WRCを楽に扱えるようになっているという。
「確かにマシンは昨年よりもかなり安定しているし、マシンからのフィードバックも間違いなく良くなっている」とタナク。
「ウエットコンディションでも(ピレリタイヤは)ある程度グリップがあって、良いパフォーマンスを発揮しているように感じる。でもぬかるんだ場所では足踏みしてしまう」
そんなタナクと3.3秒差の2番手につけているのが、トヨタの若手カッレ・ロバンペラ。そこからさらに5秒遅れて、チームメイトのエルフィン・エバンスが続いている。
ディフェンディングチャンピオンであるセバスチャン・オジェ(トヨタ)は、テストでアクシデントに見舞われたことからピレリタイヤでの走行が特に不足しているドライバーのひとりだったが、断続的なブレーキトラブルにも悩まされた結果ペースが上がらず、ティエリー・ヌービル(ヒュンダイ)に続く5番手に終わった。
オジェは次のように説明する。
「前にも言ったように僕はこのタイヤでの経験がほとんどないので、少しでもフィーリングを掴む必要があった。ステージの途中では、ブレーキを踏んだ時に突然ペダルが底まで落ちてしまって、ブレーキが全く効かなくなった」
「だからとても怖かった。幸いなことに上り坂ではポンピング(ブレーキ)ができたのでコーナー手前でマシンを減速することができたけど、それがステージ中に何度も起こるので、そこからは自信を完全に失ってしまった」
各車が慎重に走る中、ミスを犯してしまったのがMスポーツのティーム・スニネンだ。スニネンはSS1の前半セクターでタナクに匹敵するペースを記録していたが、90度の右コーナーでアンダーステアが出てしまい、外側の土手に接触。マシンは激しく回転し、コース外の立木の中に転落してしまった。
幸いスニネンとコ・ドライバーのミッコ・マルクラは無事だったが、マシンのロールゲージが破損していたことによりリスタートは叶わなかった。
「正直チームには申し訳ない気持ちでいっぱいだ」とスニネン。
「僕たちはここに来るためにここ1ヵ月頑張ってきたし、4日間テストをしたことの成果が出ていたところだった」
「あのようなタイムを出せたことは素晴らしかったけど、2台のマシンをフィニッシュさせるという目標が最初のステージの段階から達成できなかった」
「ここに来るまでにやってきたことを考えれば、これは本当に大きな痛手だ」
なお今季からヤリスWRCを駆ってフル参戦する勝田貴元は、トップから1分39秒差の11番手で初日を終えている。
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