Rimac Nevera
リマック ネヴェーラ
ポルシェがリマック・アウトモビリに7000万ユーロを追加出資。生産車用コンポーネントも発注
クロアチア語で「地中海の嵐」を意味するネーミング
クロアチアを拠点とする自動車メーカー、リマック・アウトモビリ(Rimac Automobili)は、開発を続けていたフルEVハイパースポーツ「C_Two」の生産仕様「ネヴェーラ(Nevera)」を公開した。ネヴェーラは最高出力1914hpという常識を超えたハイパワーを発揮し、最高速度は258mph(約415km/h)を実現。プライスタグは200万ユーロを掲げている。
「Nevera」とはクロアチア沖の大海原を駆け抜ける強力な地中海の風を意味しており、この電動ハイパースポーツが発揮する驚異的なパフォーマンスを表現。クロアチア人が誇りとする車名を採用した。
ネヴェーラは、2018年のジュネーブ・モーターショーで公開されたコンセプトカー「リマック C_Two」をベースとした市販仕様となる。プロジェクト発表以来、リマックのエンジニアは究極の電動ハイパースポーツを実現すべく開発を続けてきた。
クロアチアのファクトリーで150台を製造
ネヴェーラは150台の生産を予定しており、搭載される主要コンポーネントの大半が、クロアチアのヴェリコ・トルトヴィシチェにあるリマック本社で開発された。リマック・アウトモビリの創設者兼CEOのマテ・リマックは、ネヴェーラの発表に喜びを隠さない。
「これこそが、10年前に誰もが『不可能』と断言したもので、私が思い描いていたクルマです。私たちの努力の結晶、記録破りのハイパーカー『ネヴェーラ』が完成しました。このクルマは、パフォーマンスカーの常識を覆すために生まれました。それは性能だけではありません、総合的なパッケージとしても常識破りの存在です」
「2018年にC_Twoを初めて公開したとき、私たちは目標をとてつもなく高いレベルに設定しました。C_Twoに搭載されていた最先端の電動パワートレインと、究極のパフォーマンスに匹敵する存在は他に存在しませんでした。しかし私たちにとっては、それは出発点に過ぎなかったのです」
「日常的な使い勝手と、1914hpものハイパフォーマンスを組み合わせたネヴェーラは、技術、開発、野心に制限を設けなければ、どんなことでも可能になると証明しています。我々はいま、ハイパースポーツ市場をさらに高いレベルに押し上げるクルマを公開しました」
マテ・リマックは、クロアチアのザグレブ郊外の本社工場からデリバリーされる前に、自らがネヴェーラの生産1号車を手に入れ実際にドライブテストを行うことも表明している。
世界中の自動車メーカーに電動パワートレインを供給
マテ・リマックは、彼と同じクロアチア出身で19世紀から20世紀にかけて送電システムなどを発明したニコラ・テスラの才能に触発され、電動ビジネスを思い立ったという。2008年、20歳のときに自宅のガレージで1984年製「BMW 3シリーズ(E30)」をバッテリー駆動に改造したのが最初のEVプロジェクトとなった。
2009年にリマック・アウトモビリを設立し、そのわずか11年後の2020年には1000名もの従業員を抱えるクロアチアを代表する企業へと成長させた。現在、リマックは多くの大手自動車メーカー向けに、高性能電動ドライブトレインとバッテリーシステムを開発。その取引相手には、アストンマーティン、ポルシェ、ピニンファリーナ、ヒュンダイ/キア、ケーニグセグ、ルノー、クプラ/セアトなどが名を連ねている。
その継続的な成長を受けて、リマック・アウトモビリは先日、ザグレブ郊外に2億ユーロ、20万平方メートルの最新鋭ファクトリー「リマック・キャンパス」の建設計画を発表。リマック・キャンパスではネヴェーラなどのハイパースポーツの生産や、最先端の電動技術プロジェクトの研究開発が行われ、2500名の従業員が働くことになっている。
クロアチアの伝統をアピールする「クラバット」フォルム
ネヴェーラのデザインは、時代を超越したエレガントさを追求し、「フォルムは機能に従う」という哲学が貫かれている。また、デザインにもクロアチア発であることが重視された。例えば、リマックの特徴である「クラバット・フォルム」は、ネヴェーラのサイドビューにも組み込まれた。このクラバット形状のエアスクープについて、リマックのデザインディレクターを務めるアドリアーノ・ムドリは次のように説明する。
「クラバットはネクタイの起源となった装飾用スカーフで、クロアチアの軽騎兵が首に巻いたスカーフが元とされています。『クラバット(Cravat)』という名称もクロアチア兵を意味しています。17世紀以来、クラバットはクロアチアの強さとアイデンティティを象徴してきました」
「そこで私たちは2011年にハイパースポーツ『Concept_One』を発表したとき、このクラバットをデザインに組み込み、クロアチアの歴史と文化に敬意を表しました。ネヴェーラではこのクラバット・フォルムが、パフォーマンスの重要な機能であるリヤの冷却システムを構成するエアインテークとなりました」
コンセプトカーから大きく進化したエアロダイナミクス
コンセプト発表時から、ボディワーク、ディフューザー、インテークなどを全面的に変更したことで、初期プロトタイプと比較して空力効率は34%も向上。ボンネット形状、ピラー形状、ディフューザー、スプリッター、ラジエーターのデザインは徹底的に分析され、エアフローとダウンフォースも、大幅に改善されている。また、ブレーキシステムとパワートレインの冷却効率を高めるため、インレットと冷却チャンネルも新たに開発、低速時に30%、高速時には7%の冷却効率向上を実現した。
フロントボンネット・プロファイル、アンダーボディフラップ、リヤディフューザー、リヤウイングはそれぞれ独立して可動。複雑なアルゴリズムによって、あらゆる走行状況に応じて最適な空力構成を実現する。例えば、「ハイダウンフォース」モードから「ロードラッグ」モードに切り替えると空気抵抗が17.5%減少し、Cd値は0.3に設定。また「ハイダウンフォース」モードに戻すとダウンフォースは326%も増加する。
美しい形状のバタフライドアは、低くワイドなフォルムに対して最大限の開口部を実現しており、乗り降りしやすい広々とした空間を確保した。また、足元の軽量鍛造アロイホイールは独自の空力デザインを採用。ブレンボ製カーボンセラミック・ブレーキシステムに対し、効率的にフレッシュエアを送り込みボディサイドにスムーズなエアフローを実現している。
軽量・高剛性を実現したカーボン製モノコック
チーフエンジニアであるダニエレ・ギアキが開発した画期的な軽量モノコックは、カーボンファイバー製ルーフ、一体型構造バッテリーパック、カーボン製リヤサブフレームを備えており、自動車史上最大サイズの単一カーボンファイバー製コンポーネントを形成している。
モノコック単体の重量は200kg以下となり、2200枚のカーボンファイバーパネルと222個のアルミニウムインサートを使用。バッテリーをしっかりと守り、コンパクトでありながら強固なねじり剛性が確保された。この抜群の強度と安全性により、ネヴェーラは世界各国の厳しいホモロゲーション基準をクリアしている。
電子制御ダンパーとアクティブ車高調整機能を備えたダブルウィッシュボーン・サスペンションは、スムーズで快適な乗り心地、優れたボディコントロール、敏捷なハンドリングを実現した。
ネヴェーラの心臓部には、リマックがゼロから設計した独自のH型水冷式120kWh・6960セルのバッテリーを搭載。1.4MWの出力が可能なこのリチウム/マンガン/ニッケル・バッテリーは車両のコアに組み込まれており、カーボンファイバー製モノコックに37%もの剛性を加えている。
バッテリーはフロア中央部に配置されており、超低重心化コンセプトが推し進められた。この結果「48:52」という優れた前後重量配分が確保され、最高のハンドリングバランスを実現する。
最高出力1914hpを発揮する電動パワートレイン
高度なバッテリー冷却システムの開発により、「C_Two」発表時よりもさらに効率性が向上。より多くのパワーを長時間にわたって供給することが可能になった。各ホイールに専用の永久磁石モーターを4基搭載して個別に駆動。これらを組み合わせることで、最高出力1914hp・最大トルク2360Nmという凄まじいスペックが実現した。これは従来の内燃機関エンジンを搭載したスーパースポーツと比較すると実に3倍の出力となる。
そのパフォーマンスレベルも凄まじい。0-60mphは1.85秒、最高速度は412km/hと、ハイパースポーツの世界に新たな基準をもたらした。静止状態から161km/h加速に要する時間はわずか4.3秒。フルスロットルでの走行中も加速をキープし、0-186km/h加速は9.3秒を達成。このタイムは開発当初の目標から2.5秒も短縮されているという。
従来モデルに採用されてきた「エレクトロニック・スタビリティ・システム」や「トラクション・コントロール」に代わり、「オールホイール・トルク・ベクタリング 2(R-AWTV 2)システム」を採用。グリップとトラクションレベルを強化した。R-AWTV 2システムは、7つのドライビングモードを備え、各ホイールに供給するトルク配分を調整。1秒間に100回以上の演算を行い、ドライバーの好みや路面コンディション、コースの状況に応じた最適なトルク配分を行う。
GTとしても活用できるコクピット
コクピットには2名のパッセンジャーと、その荷物を収納できるスペースを確保。ハイパースポーツとしてだけでなく、グランドツアラーとしても優れた性能を発揮する。デジタルスクリーンは不要なトグルやスイッチを排除し、必要な触覚操作だけを残した。3基の高精細度TFTスクリーンが設置されており、ユーザーが求める情報を的確に表示することができる。
サーキット走行とグランドツアラーとしての快適性を両立させるために、コクピットレイアウトは2つのゾーンに分けられた。上部はドライビングプレジャーとパフォーマンス面にフォーカスし、下部にはインフォテインメントシステム、コンフォートコントロール、ドライビングデータを配置した。
削り出しアルミニウム製コントロールスイッチは、デジタルコクピットにアナログ的な雰囲気を加えている。また、ドライバーはコクピットから車両のテレメタリ情報をリアルタイムにモニタリングすることが可能。テレメタリデータはラップトップやスマートフォンへと転送し、後で確認することもできる。
画期的なAIを搭載した「ドライバーコーチ」システム
あらゆる能力のドライバーがネヴェーラの性能を最大限に引き出し、サーキットでのドライビングスキルをさらに向上させるため、リマックは世界初のAI(人工知能)搭載型「ドライバーコーチ」システムを開発。ドライバーコーチは、ドライバーのパフォーマンスを独自に評価し、サーキットでのパフォーマンスを向上させるためのガイダンスやアドバイスを提供する。
12基の超音波センサー、13基のカメラ、6基のレーダー、そして最新の「NVIDIA Pegasus」オペレーティングシステムを統合し、走行する世界中のサーキット情報をリアルタイムに表示。音声と映像による明快かつ正確なドライビングガイダンスを得ることができる。このガイダンスに沿うことにより、ドライバーはレーシングライン、ブレーキングポイント、加速ポイント、ステアリング入力などを完璧にこなすことが可能になる。
ドライバーコーチ機能は、2022年から利用可能になる予定。サービス前に納車された場合でも、WiFiによるシステムのアップデートが可能となっている。
無限のカスタマイズに対応するパーソナリゼーション
エクステリアやインテリアに関しては、無制限のパーソナリゼーションプログラムが用意された。クロアチアのヴェリコ・トルトヴィシチェにある本社ファクトリーからラインオフされるネヴェーラは、すべてが異なる仕様でオーナーの元にデリバリーされると言っても過言ではない。
ネヴェーラのオーナーはクロアチアに招待され、希望に合わせた仕様を決定。マテリアルやトリム類を自由に組み合わせられる「プレミアム・パーソナリゼーション・プログラム」に加えて、リマックが手掛けた「GT」「Signature」「Timeless」といった、スペシャルエディションも展開される。
ネヴェーラは、ヨーロッパ、北米、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、中東、アジアの19拠点に展開される「リマック・グローバル・ディーラー・パートナー・ネットワーク」を通じてのみ、販売される予定だ。
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