WEC世界耐久選手権でキャデラックVシリーズ.Rに初めてのポールポジションをもたらしたアレックス・リンは、2年近く「小さな勝利」を目指してきたチームにとって、富士で予選最速となったことを「素晴らしい勝利」と称賛した。
リンはチップ・ガナッシ・レーシングが運営するキャデラック・レーシングの2号車のステアリングを握り、日曜の決勝レースに先駆けて行われた『富士6時間耐久レース』の予選で最速タイムを記録。4年連続でポールポジションを獲得してきたTOYOTA GAZOO Racingから“指定席”を奪ってみせた。
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このイギリス人ドライバーは、富士スピードウェイでの最初のフライングラップを15号車BMW MハイブリッドV8(BMW MチームWRT)に追いついてしまったため中断することとなった。このBMWをドライブしていたドリス・ファントールは最終的に、一時ワン・ツーを築いたトヨタの一台をかわし2列目3番手に食い込んでいる。
「BMWは最初のプッシュラップがうまくいかなかったので、ペースを落とさざるを得なかった」とリンは説明した。
「今にして思えば、そうしなければよかったと思う。なぜなら、最終的に出したタイム(1分28秒901)よりも速かったからだ」
「デルタはコンマ2秒だった。うまくいけば1分28秒7か8だったろう。でも、それが人生なんだ」
アメリカの旗を掲げるこのチームは、シーズンを通して、なかなか手に入らない初のポールポジション獲得に向けて扉を叩いていた。リンと彼のチームメイトであるアール・バンバーは5月のスパ・フランコルシャン6時間以来、過去5レースすべてでトップ4に入っている。
「必死だったよ」と予選後に語ったリン。
「本当に、本当にポールポジションが欲しかったのだけど、何度も10分の1秒の差やそれに近い僅差で逃してきた」
「個人的には、細部にまで目を向け、毎ラップほんの数秒を見つけるようチームを強くプッシュしたような気がする。本当にわずかな差だけど、そうやって向上していくんだ」
「(ポールポジションを獲得できたことは)本当に大きいと思う。士気を高めるという意味でもね」
「ポールポジションの獲得という、ちょっとした栄光を手にすることができた。このために皆がバックグラウンドで本当に一生懸命働いていた。これは週末のほんの一部に過ぎないけれど、すでに素晴らしい勝利のように感じている」
「とくにこのような強力な競争相手に対しては、ときには“小さな勝利”を楽しむ必要があると思うんだ」
Sportscar365から、15日(日)行われる6時間の決勝レースでキャデラックがポールポジションをWEC初優勝につなげる可能性について尋ねられたリンは、それほど多くのことは必要ないだろうと答えた。
「レースには速いクルマが揃っている」と彼は言った。「カタールは(レース後にリザルトから)除外されてしまったが、エラーや問題がまったくなく、クリーンな1日を過ごしたのはそれ以来、(前戦の)COTAが初めての機会だった。そして、そこでは4位になった。(優勝を争った)トヨタとフェラーリはとても速かったとはいえ、僕たちとしてはCOTAのレースは良かった」
「今週末のロングランペースはそれよりも少し速いと思うので、うまくいけば明日の彼らの出方次第では、僕たちも混戦に加わることができるかもしれない」
またリンは、トヨタ、フェラーリ、ポルシェが三つ巴のチャンピオン争いを展開している現在の状況が、2号車キャデラックに有利に働く可能性があると考えている。
「彼らが戦略などについて僕たちをカバーするとは思えない」とリン。
「残りのレース数が少なくなるにつれ、彼らはお互いを意識して責め合うだろうから、僕たちはそれをうまく利用できればと思っているんだ」
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