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WEC上海:“ラストレース”に臨んだ澤圭太「2018年のうっぷんを晴らせると思っただけに悔しさ100倍」

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WEC上海:“ラストレース”に臨んだ澤圭太「2018年のうっぷんを晴らせると思っただけに悔しさ100倍」

 11月18日、WEC世界耐久選手権第5戦上海6時間レースが中国、上海国際サーキットで行われ、澤圭太を擁するクリアウォーター・レーシングの61号車フェラーリ488 GTE(澤/ウェン-サン・モク/マット・グリフィン組)は“ラストレース”をLM-GTEアマクラス7位で終えた。

 2018年5月から2019年6月まで、1年強に渡って争われるWEC“スーパーシーズン”のうち18年最後のレースとなった第5戦上海は、クリアウォーター・レーシングにとっても現体制でのラストレースに。この上海で“有終の美”を飾るべく、チームは前戦富士で採った戦略からモクとグリフィンが予選アタックを担当する通常の作戦に戻している。

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 そうしたなかで、澤は金曜の練習走行でウエット時のバランスチェックを実施。終盤にはドライタイヤでもチェックを行いクラス3番手タイムをマークすると、天候が回復した土曜のFP3ではクラス2番手に入った。土曜午後の予選は、クラス2番手から7番手までがコンマ5秒以内というハイレベルな戦いが繰り広げられるなか、61号車フェラーリはクラス6番手から決勝を迎えることとなった。

■チームのラストレースでクラストップに浮上

“最後”の決勝は朝から雨が降り続く難しいコンディションではあったが、チームオーナー兼ドライバーであるモクの希望で、自ら引退レースのスタートドライバーを務めることに。澤が長年に渡ってコーチを務めてきたモクは、大雨で2度も赤旗が提示されるレースのなかで懸命にクルマをコース上に留めると、5番手でグリフィンにバトンをつないだ。

 その後、エースドライバーのグリフィンはクラス2番手まで順位を挽回。さらに、コース上でトップの車両を捉えてクラス首位に躍り出ることに成功する。ここでチームは後続とのさらにギャップをさらに広げるべく、ピットストップを遅らせる戦略をとった。しかし、これが裏目に。

 残り1時間45分で澤に交代した61号車フェラーリは、セーフティカーラン中にドライバー交代を行なったライバルに先行を許しクラス6位にドロップしてしまう。また、交換した深溝のフルウエットタイヤと乾き始めた路面がマッチせず、想定よりも約1秒遅いタイムで周回することに。

 さらに、澤の駆る61号車フェラーリは最後のスプラッシュ時に浅溝タイヤに履き替え最後の挽回を試みるが、無情にもレース終盤にふたたび雨が強まってしまう。多くの浅溝タイヤ装着車がコースに留まるのがやっとの状況となるなかで、澤も2度コースオフしながらなんとかマシンをチェッカーまで運び、クラス7位でクリアウォーターでのラストレースを終えることとなった。

■澤圭太「敗因は2度目のドライバー交代タイミング」

「(前戦の)富士戦に続いて『本当に終わっちゃいました』というのが正直な感想です。ただ、前回は自分のパートはしっかり戦えてのクラス7位だったので納得していた部分はあったのですが、今回の7位は本当に最後の最後に悔しさ山積みまくりの1戦でした」とチームメイトとともに戦った最後のレースを振りかえる澤。

「練習走行ではウエット路面もドライ路面も、そしてその両方の変わり目の見極めも上出来で、決勝は『自分の想いをしっかりと走りに表現しよう』と意気込みながらスタート後はモニターで戦況を見守ってました」

「(グリフィンが)クラストップに躍り出てチームも盛り上がるなか、少し緊張しましたが、しっかり(自分の仕事を)やりきれる自信はありました。結果論ではありますが、今回の敗因は完全に残り2時間の時点で出たSCラン時にドライバー交代をしなかった点に尽きます。あのタイミングでドライバー交代をしたチームが結局上位5台を占めましたから」

「あそこでクルマをピットに戻して僕に交代し、僕が最低ドライブ時間を消化するゴールまで残り40分の時点で再度マット(・グリフィン)に変わり、その時に一番路面に適したタイヤで戦っていれば、そのまま勝てたか、少なくとも表彰台圏内でゴールできたはず。今年の苦戦のうっ憤を晴らす有終の美を飾る結果になっていたと思うと悔しさ100倍です」

 自身のスティントについては「深溝レインで雨の少ないコースを、浅溝レインで雨の多い暗いコースを走る。僕に与えられた1時間45分は非常に困難なコンディションでした」と澤。

「最後の40分は本当にこれが最後になるかと思うと余計に苦痛で……。クラッシュ車両の破片を前の車両が跳ね上げて、そのパーツを避けるために変えたライン上に他のパーツが落ちていてクルマにヒットさせてしまったり、浅溝レインで豪雨のなかを走っていた時には、バックストレートエンドのブレーキングで前を走るLMPカーに追突しそうになったりと本当にひやひやものの走行でした」

■「チャンスがあれば、またWEC/ル・マンにチャレンジしたい」

「この10年、チームの一員として(コーチとして、一緒に組んでドライバーとして)GTアジア、アジアン・ル・マン・シリーズ、MMER(マレーシア・メルデカレース)、そして念願だったル・マン24時間にも3回行くことができ、WECのこの2年は特に本当に思い出ばかりです」とクリアウォーター・レーシングでの思い出を語った澤。

「想い出深いのはやはりWECデビュー戦のスタートです。ド緊張のなかでヘルメットから見た景色とデビュー戦での優勝。また、WEC参戦前ですが、2016年のル・マン初参戦の決勝スタートグリッドで万感こみ上げた瞬間、今年のル・マンでは自身最後のスティントでジャンカルロ・フィジケラが近づいてくるなかで見た景色も強く印象に残っています」

「2年で全14回のWECシリーズ戦でスタートドライバーを9回も任せてくれたチームにも感謝していますし、自分もきっちり役割を果たせた自負しています。いまだにまだまだドライバーとして成長をしていて、澤圭太というドライバーのキャラクターも完成形になりつつあると感じています」

 一度WECを去ることを決めたものの、チャンスがあればル・マンもWECも再チャレンジしたいという澤は参戦終了を理由を次のように語った。

「WECに参戦したのもウェン(-サン・モク)の引退をしっかり最初から最後まで傍で見届けるため。だからウェンが引退を決意した今、私もWECへの挑戦は“一旦”の終了することを決意しました」

「チームからは来季のクリアウォーター・レーシングのWEC参戦体制発表が間もなくされるでしょう」

「一方、僕は来季以降何をするかまだ決まっていません。少し休んでから考えようかな? と思っています。国内海外を問わず、チャレンジしがいのあるレースに誘ってくださる関係者の方からの連絡を待ちたいと思います。来年以降のレース活動については、決まり次第改めて発表します」

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